〜4〜
ー/ーそれからアンは、はじきを探して町を歩いていました。売りものの傘も全部なくなったので、もう店じまいです。
「わーん、わーん。わーん、わーん」
どこからか、だれかの泣き声が聞こえてきました。
「あれ、この泣き声は……」
アンは声のする方へと歩いていくと、大声で泣いているはじきを見つけました。傘をさしていないので雨にぬれてびしょびしょです。
「いったいどうしたの、はじき。びしょぬれじゃない」
アンがかけよって声をかけますが、はじきは泣いたままで訳が分かりません。
「どうしてそんなに泣いてるの?はじきの傘はどこにやったの?」
アンははじきに聞いてみますが、はじきはやっぱり泣いたままです。このままでは話になりません。
「はじき、こっちにおいで」
アンははじきの手をとると、ジュースの自動販売機の前まで連れて行きました。はじきの手はとても冷えてしまっています。さいふからお金を一枚取り出すと、あたたかいココアを買いました。
「はい、これ飲んで」
はじきはアンからココアをうけとると、ゆっくり飲みはじめました。甘くてあたたかいココアが、はじきのなみだを止めてくれます。
「落ちついた?」
「うん、ありがとう」
「じゃぁ、話してくれる?どうして泣いてたの?」
はじきはその理由をゆっくり話し出しました。
「今日はね、傘が全部売れたんだ」
「さすが、はじき」
アンの目がかがやきます。でも、それならなぜはじきは泣いていたのでしょう?
「だけど、気がついたらポケットに入れてたはずのおさいふがなくなってたんだ」
「あらら」
「すっごく、なんどもなんども探したんだ。今日歩いた道をなんどもなんども歩き回って。でも、見つからないんだぁ」
はじきは言いながらまた泣き出してしまいました。
「そっかぁ。でも、もしかしたらだれかが拾って届けてくれてるかもしれないよ。おまわりさんのところに行ってみようよ」
アンがそう言うと、はじきはべそをかきながらうなずきました。
「そういえば、はじきの傘はどうしたの?」
はじきはお気に入りの自分の傘を売るはずはないので、アンは不思議に思いました。
「えーっと、それは……」
はじきは今日会った女の子の話をしました。
「はじき、えらーい!」
アンははじきのあたまをなんどもなでて、その行いをほめてあげました。
「今晩はごちそうだって考えたら、傘ぐらい別にいいやって思ったんだ」
「すごいよ、はじき。わたし見直した」
なんどもアンはほめてくれるので、はじきはくすぐったい気分になりました。
「へへへ、でもさいふ落としちゃうし。バカみたい」
「そんなことないよ。女の子とてもよろこんでたでしょ」
「うん。でもごちそう食べたかったなぁ」
はじきはまだちょっと元気がありません。アンはそのとき思い出しました。雨男さんにもらった石です。
「はじき、これ見て」
さいふから石を取り出すと、はじきにわたしました。
「うわぁ、きれいな石だね」
「それを空に思いきり放り投げてみて」
アンはなにか期待した目ではじきに言いました。はじきはよく分からないまま、言われたとおり空に石を放り投げました。すると。
「すごーい、すごーい」
アンは声を出してよろこんでます。はじきは声もだせずにおどろいています。雨はゆっくりあがっていき、雲間から夕日が顔を出しました。そしてなんと、空に大きな虹がかかったのです。はじきの気持ちは、ようやくおどろきからよろこびに変わりました。
「アン、すごいよ。虹だよ。あんな大きな虹」
そう言ったはじきの顔には笑顔がもどってきていました。
「そうだね。大きな虹だね」
アンもはじきにつられて笑顔になるのでした。
「そういえばアンの今日の売り上げは?」
「じゃーん」
アンが自慢げにさいふの中身をはじきに見せます。
「はー、やっぱりね。期待しないでよかった」
「あー、もう。なんでそういうこと言うの。わたしには大事なたからものなんだから」
「そのたからものじゃ、ごちそうたべれないなぁ」
「もう、はじきのくいしんぼう」
こうして今日もいろんなことがあったアンとはじきの一日は過ぎていくのでした。
おや、アンとはじきのもとへ走っていく男の子がいます。
「お姉ちゃん、こっちこっちー。タヌキいたよ」
甘いイチゴのアメ玉をなめている男の子は、後ろについてくる女の子にそう言いました。
「あー、よかった。見つかって」
ほっとした女の子は、ひろっただれかの落し物を持って弟を追いかけていきました。
みんなのリアクション
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
それからアンは、はじきを探して町を歩いていました。売りものの傘も全部なくなったので、もう店じまいです。「わーん、わーん。わーん、わーん」
どこからか、だれかの泣き声が聞こえてきました。
「あれ、この泣き声は……」
アンは声のする方へと歩いていくと、大声で泣いているはじきを見つけました。傘をさしていないので雨にぬれてびしょびしょです。
「いったいどうしたの、はじき。びしょぬれじゃない」
アンがかけよって声をかけますが、はじきは泣いたままで訳が分かりません。
「どうしてそんなに泣いてるの?はじきの傘はどこにやったの?」
アンははじきに聞いてみますが、はじきはやっぱり泣いたままです。このままでは話になりません。
「はじき、こっちにおいで」
アンははじきの手をとると、ジュースの自動販売機の前まで連れて行きました。はじきの手はとても冷えてしまっています。さいふからお金を一枚取り出すと、あたたかいココアを買いました。
「はい、これ飲んで」
はじきはアンからココアをうけとると、ゆっくり飲みはじめました。甘くてあたたかいココアが、はじきのなみだを止めてくれます。
「落ちついた?」
「うん、ありがとう」
「じゃぁ、話してくれる?どうして泣いてたの?」
はじきはその理由をゆっくり話し出しました。
「今日はね、傘が全部売れたんだ」
「さすが、はじき」
アンの目がかがやきます。でも、それならなぜはじきは泣いていたのでしょう?
「だけど、気がついたらポケットに入れてたはずのおさいふがなくなってたんだ」
「あらら」
「すっごく、なんどもなんども探したんだ。今日歩いた道をなんどもなんども歩き回って。でも、見つからないんだぁ」
はじきは言いながらまた泣き出してしまいました。
「そっかぁ。でも、もしかしたらだれかが拾って届けてくれてるかもしれないよ。おまわりさんのところに行ってみようよ」
アンがそう言うと、はじきはべそをかきながらうなずきました。
「そういえば、はじきの傘はどうしたの?」
はじきはお気に入りの自分の傘を売るはずはないので、アンは不思議に思いました。
「えーっと、それは……」
はじきは今日会った女の子の話をしました。
「はじき、えらーい!」
アンははじきのあたまをなんどもなでて、その行いをほめてあげました。
「今晩はごちそうだって考えたら、傘ぐらい別にいいやって思ったんだ」
「すごいよ、はじき。わたし見直した」
なんどもアンはほめてくれるので、はじきはくすぐったい気分になりました。
「へへへ、でもさいふ落としちゃうし。バカみたい」
「そんなことないよ。女の子とてもよろこんでたでしょ」
「うん。でもごちそう食べたかったなぁ」
はじきはまだちょっと元気がありません。アンはそのとき思い出しました。雨男さんにもらった石です。
「はじき、これ見て」
さいふから石を取り出すと、はじきにわたしました。
「うわぁ、きれいな石だね」
「それを空に思いきり放り投げてみて」
アンはなにか期待した目ではじきに言いました。はじきはよく分からないまま、言われたとおり空に石を放り投げました。すると。
「すごーい、すごーい」
アンは声を出してよろこんでます。はじきは声もだせずにおどろいています。雨はゆっくりあがっていき、雲間から夕日が顔を出しました。そしてなんと、空に大きな虹がかかったのです。はじきの気持ちは、ようやくおどろきからよろこびに変わりました。
「アン、すごいよ。虹だよ。あんな大きな虹」
そう言ったはじきの顔には笑顔がもどってきていました。
「そうだね。大きな虹だね」
アンもはじきにつられて笑顔になるのでした。
「そういえばアンの今日の売り上げは?」
「じゃーん」
アンが自慢げにさいふの中身をはじきに見せます。
「はー、やっぱりね。期待しないでよかった」
「あー、もう。なんでそういうこと言うの。わたしには大事なたからものなんだから」
「そのたからものじゃ、ごちそうたべれないなぁ」
「もう、はじきのくいしんぼう」
こうして今日もいろんなことがあったアンとはじきの一日は過ぎていくのでした。
おや、アンとはじきのもとへ走っていく男の子がいます。
「お姉ちゃん、こっちこっちー。タヌキいたよ」
甘いイチゴのアメ玉をなめている男の子は、後ろについてくる女の子にそう言いました。
「あー、よかった。見つかって」
ほっとした女の子は、ひろっただれかの落し物を持って弟を追いかけていきました。