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第14話 レッツプレイ、死神ハント!

ー/ー



 まさか自分たち異能者と死神の戦いがゲーム扱いされるなど、リーダーにも予測しえなかった。

 彼ら“チーム・カタストロフィ”はそのゲームで一位を独走している。

 だが、彼らカタストロフィは元々大事件におびき寄せられた死神を殺すために動き始めたのだから、ゲーム内で目立つほど死神の方から殺されに向かってくるという状況は彼らにとっては好都合だった。

 理由は一つ。未知のゲーム「シニガミ・キリングフィールド」が死神にも認知され始めたからだ。

 死神たちにとってカタストロフィは優先すべき敵にされ始めたようだ。なのでカタストロフィはその状況をできる限り利用するつもりだった。

 ただ、そのゲームもいいところばかりではなかった。

 彼らを引きずり降ろそうと、異能者同士の仲間割れが始まったからだ。

 おかげで弱い死神を殺したのか、強い異能者を殺したのかリーダーには最早判別がつかなかった。

 ゲームはポイント制で、死神の強さによって獲得ポイントが変動するので、何人殺したのかの指標としてはあまり当てにならない。

 それに捕まえた死神を拷問したところによると、まだこの段階ではあまり強い死神は出てきていないらしい。食うに困った死神が賞金首を狩るために参戦しているのが現状だそうだ。

「馬鹿にしやがって。それなら大物が出てくるまで殺し続けるだけだ。人間も異能者も、死神もまとめて殺す」

 そしてこの「シニガミ・キリングフィールド」という現実で行われているゲームはプレイヤーによる妨害行為へのペナルティーがない様子。

 現に目の前に警官たちに紛れて攻撃してきた異能者の死体が転がっているが、逃げたチームの生き残りのポイントが下がった様子はない。

「どう見るマイスター? 本当にただの死神狩りのゲームだと思うか」

「奇妙ですよね。本当に死神だけを殺したいのなら妨害行為に何らかの規定があるはずでしょう」

「……あいつらは俺たちにも死んでもらいのかもな」

 普段は口数の少ないスナイパーが珍しく意見を口にする。

 ドクターは寝ている。彼の能力のおかげでカタストロフィの面々は不眠不休で動くことができる。ただドクター本人は休息を取る必要があるようだ。

 すると突然リーダーの手にしたスマートフォンがけたたましくなる。普段の着信音とは違う軽快なメロディー。ドクターが迷惑そうに起きる

 発信者は「ラグナロク」と表示されていた。

「ラグナロクが今さら何の用だ。それともゲームの運営者気取りか?」

「あれ~? 私たちが運営してるってバレちゃった? さっすがぶっちぎり一位のチーム・カタストロフィのリーダーさん。頭がキレるのね」

 電話の相手は甘ったるい声の女。

「今すぐ用件を言わないと切る」

「当てよっか? 今機動隊に包囲されてる真っ最中だからでしょ~?」

「切るぞ」

 リーダーは電話を切る。するとすぐさま再びけたたましい着信音が奪ったミニバンに響き渡る。リーダーは渋々と電話に出る。

「何だ」

「何でホントに切っちゃうの~!? あなたたちに中間順位一位の特典をプレゼントしようって話なんだけど~!」

「それで? 新しい能力か? 武器か? 早く言えよ」

 機動隊の陣形が整う。彼らがカタストロフィの制圧に移るのも時間の問題だった。

「ある意味それより貴重なものかも~!? なんとなんと我らラグナロク首領とお話いただけま~す!」

「そうか。代われ」

「……よう。いい殺しっぷりだな。お前らみたいなイキのいい連中が出てきて嬉しいぜ、カタストロフィ」

 電話しながらリーダーは手で運転席のマイスターに行動開始の指示を送る。

 マイスターの手で強化されたミニバン。

 それの前面に防壁の作成を能力とするメンバー、シールドがさらに防壁を展開する。

「何の目的で異能者と死神の戦いをゲームにした? 目的はなんだ?」

「腹芸は得意じゃないんだ。率直に言わせてもらう。できるだけ多くの死神に死んで欲しい。ただ異能者を暴れさせるのが俺たちの目的じゃないってことだ」

「それで? 俺達にも死んでほしいんじゃないのか?」

 リーダーはスナイパーの意見を首領とやらにぶつけてみる。

「まあ、そうじゃないと言えば嘘になるな。華々しく死神たちと相打ちになってくれれば上々だ。それに内輪もめについても俺たちは関与しない。より過激な方が面白いゲームになるからな」

「だが、今出てきてる死神は末端の雑魚なんだろ? 内輪もめしながら死神を相手しきれると思っているのか」

 配置に付いた機動隊員が一斉に自動小銃を構えた。

 マイスターがアクセルをべた踏みにして突っ込む。一斉射撃が開始されるが、シールドの作った防壁は銃弾などものともしない。

「いくらなんでも自惚れ過ぎだろ。お前らはヴァルキリー率いる死神の戦力を少しでも削るための駒だ。だがお前らに期待しているのは本当なんだぜ? シーズン終了まで生き延びたらきちんと報酬を渡す。精々頑張ってくれや」

「最後に一つ聞かせろ。お前は誰だ」

 機動隊員が退避する。その先にあるのは道路を塞ぐように配置された装甲車の列。だがそれをものともせずに強化ミニバンが装甲車を弾き飛ばす。

「言えないな。一応“神殺し”とでも言っておこうか。じゃあ俺も忙しいんでな」

 電話の主が先ほどの軽薄な女に代わる。

「どう? 何か攻略の役に立ちそう? それじゃあよい狩りを! レッツプレイ、死神ハント!」

 電話が切れた。ゲームに役立つ情報はなかったが、リーダーには一つだけ確信したことがあった。

「あーきっつ。ぶっ通しで全方位シールドなんかあんまやらせないでよね。で、さ。なんか収穫あったん?」

 車内で伸びをしている少女。シールドがぼやきながら言った。

「一つだけわかった。俺たちはより上位の死神、そしてヴァルキリーを表に引きずり出すための呼び水だってことだ」

 「世界の管理者」ヴァルキリー。やつらを害することができれば世界はもっと混沌としたものになるだろう。

(ただ利用されるだけで終わるものかよ。何としてでも生き延びて、ヴァルキリーのツラに一発かましてやる)

「今何か馬鹿なことを考えてません?」

 包囲を突破したミニバンで道路を爆走させながらマイスターがリーダーへと問いかける。

「まあな。でも馬鹿やってる方が楽しいだろ?」

 能力を授かる前までただ世界に不満を持っているだけの青年だったリーダーは、朗らかな笑顔で答えた。




みんなのリアクション

 まさか自分たち異能者と死神の戦いがゲーム扱いされるなど、リーダーにも予測しえなかった。
 彼ら“チーム・カタストロフィ”はそのゲームで一位を独走している。
 だが、彼らカタストロフィは元々大事件におびき寄せられた死神を殺すために動き始めたのだから、ゲーム内で目立つほど死神の方から殺されに向かってくるという状況は彼らにとっては好都合だった。
 理由は一つ。未知のゲーム「シニガミ・キリングフィールド」が死神にも認知され始めたからだ。
 死神たちにとってカタストロフィは優先すべき敵にされ始めたようだ。なのでカタストロフィはその状況をできる限り利用するつもりだった。
 ただ、そのゲームもいいところばかりではなかった。
 彼らを引きずり降ろそうと、異能者同士の仲間割れが始まったからだ。
 おかげで弱い死神を殺したのか、強い異能者を殺したのかリーダーには最早判別がつかなかった。
 ゲームはポイント制で、死神の強さによって獲得ポイントが変動するので、何人殺したのかの指標としてはあまり当てにならない。
 それに捕まえた死神を拷問したところによると、まだこの段階ではあまり強い死神は出てきていないらしい。食うに困った死神が賞金首を狩るために参戦しているのが現状だそうだ。
「馬鹿にしやがって。それなら大物が出てくるまで殺し続けるだけだ。人間も異能者も、死神もまとめて殺す」
 そしてこの「シニガミ・キリングフィールド」という現実で行われているゲームはプレイヤーによる妨害行為へのペナルティーがない様子。
 現に目の前に警官たちに紛れて攻撃してきた異能者の死体が転がっているが、逃げたチームの生き残りのポイントが下がった様子はない。
「どう見るマイスター? 本当にただの死神狩りのゲームだと思うか」
「奇妙ですよね。本当に死神だけを殺したいのなら妨害行為に何らかの規定があるはずでしょう」
「……あいつらは俺たちにも死んでもらいのかもな」
 普段は口数の少ないスナイパーが珍しく意見を口にする。
 ドクターは寝ている。彼の能力のおかげでカタストロフィの面々は不眠不休で動くことができる。ただドクター本人は休息を取る必要があるようだ。
 すると突然リーダーの手にしたスマートフォンがけたたましくなる。普段の着信音とは違う軽快なメロディー。ドクターが迷惑そうに起きる
 発信者は「ラグナロク」と表示されていた。
「ラグナロクが今さら何の用だ。それともゲームの運営者気取りか?」
「あれ~? 私たちが運営してるってバレちゃった? さっすがぶっちぎり一位のチーム・カタストロフィのリーダーさん。頭がキレるのね」
 電話の相手は甘ったるい声の女。
「今すぐ用件を言わないと切る」
「当てよっか? 今機動隊に包囲されてる真っ最中だからでしょ~?」
「切るぞ」
 リーダーは電話を切る。するとすぐさま再びけたたましい着信音が奪ったミニバンに響き渡る。リーダーは渋々と電話に出る。
「何だ」
「何でホントに切っちゃうの~!? あなたたちに中間順位一位の特典をプレゼントしようって話なんだけど~!」
「それで? 新しい能力か? 武器か? 早く言えよ」
 機動隊の陣形が整う。彼らがカタストロフィの制圧に移るのも時間の問題だった。
「ある意味それより貴重なものかも~!? なんとなんと我らラグナロク首領とお話いただけま~す!」
「そうか。代われ」
「……よう。いい殺しっぷりだな。お前らみたいなイキのいい連中が出てきて嬉しいぜ、カタストロフィ」
 電話しながらリーダーは手で運転席のマイスターに行動開始の指示を送る。
 マイスターの手で強化されたミニバン。
 それの前面に防壁の作成を能力とするメンバー、シールドがさらに防壁を展開する。
「何の目的で異能者と死神の戦いをゲームにした? 目的はなんだ?」
「腹芸は得意じゃないんだ。率直に言わせてもらう。できるだけ多くの死神に死んで欲しい。ただ異能者を暴れさせるのが俺たちの目的じゃないってことだ」
「それで? 俺達にも死んでほしいんじゃないのか?」
 リーダーはスナイパーの意見を首領とやらにぶつけてみる。
「まあ、そうじゃないと言えば嘘になるな。華々しく死神たちと相打ちになってくれれば上々だ。それに内輪もめについても俺たちは関与しない。より過激な方が面白いゲームになるからな」
「だが、今出てきてる死神は末端の雑魚なんだろ? 内輪もめしながら死神を相手しきれると思っているのか」
 配置に付いた機動隊員が一斉に自動小銃を構えた。
 マイスターがアクセルをべた踏みにして突っ込む。一斉射撃が開始されるが、シールドの作った防壁は銃弾などものともしない。
「いくらなんでも自惚れ過ぎだろ。お前らはヴァルキリー率いる死神の戦力を少しでも削るための駒だ。だがお前らに期待しているのは本当なんだぜ? シーズン終了まで生き延びたらきちんと報酬を渡す。精々頑張ってくれや」
「最後に一つ聞かせろ。お前は誰だ」
 機動隊員が退避する。その先にあるのは道路を塞ぐように配置された装甲車の列。だがそれをものともせずに強化ミニバンが装甲車を弾き飛ばす。
「言えないな。一応“神殺し”とでも言っておこうか。じゃあ俺も忙しいんでな」
 電話の主が先ほどの軽薄な女に代わる。
「どう? 何か攻略の役に立ちそう? それじゃあよい狩りを! レッツプレイ、死神ハント!」
 電話が切れた。ゲームに役立つ情報はなかったが、リーダーには一つだけ確信したことがあった。
「あーきっつ。ぶっ通しで全方位シールドなんかあんまやらせないでよね。で、さ。なんか収穫あったん?」
 車内で伸びをしている少女。シールドがぼやきながら言った。
「一つだけわかった。俺たちはより上位の死神、そしてヴァルキリーを表に引きずり出すための呼び水だってことだ」
 「世界の管理者」ヴァルキリー。やつらを害することができれば世界はもっと混沌としたものになるだろう。
(ただ利用されるだけで終わるものかよ。何としてでも生き延びて、ヴァルキリーのツラに一発かましてやる)
「今何か馬鹿なことを考えてません?」
 包囲を突破したミニバンで道路を爆走させながらマイスターがリーダーへと問いかける。
「まあな。でも馬鹿やってる方が楽しいだろ?」
 能力を授かる前までただ世界に不満を持っているだけの青年だったリーダーは、朗らかな笑顔で答えた。


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