エピローグ
ー/ー 赤城亜衣が目的の場所に着き車を路肩に停めたタイミングで、携帯電話の着信音が鳴った。
「はい、もしもし」
「亜衣、今、電話しても平気?」
「うん、大丈夫だよ。どうしたの恵理」
亜衣と理恵は高校の時から今でも付き合いの続く、仲の良い友人同士であった。
「さっき亜衣と電話してたじゃない」
「うん」
「あの後、珍しいお客さんが来てさ」
「へ~、誰?」
「私の妹」
「お~、ずっと疎遠になってたっていう妹さん?突然だね」
理恵が高校を卒業してしばらく一緒に住んでいた友達が亜衣なのであった。理恵の家庭の事情なども彼女は親身に良く聞いていた。
「ホントよ、びっくりしちゃった」
「どうだった?久しぶりに会った感想は」
「うん、最初は正直何なのって感じだったんだけど……結婚するから式に来てとか言うんだよ。ずっと付き合いなかったのに」
「へ~、すごいね。よっぽど恵理に来てほしかったんだね」
そんな事情を知る亜衣だからこそ、突然の理恵からのニュースを自分のことの様に喜んだ。
「で、この電話は結婚式に行くか行かないかの相談ってとこ?」
「ううん、短い時間に紆余曲折ありまして、行くことにした」
「ああ、そう!良いんじゃない。とても良いと思うよ」
「うん。でもね、ちょっと引っかかることがあるんだよね」
「ん、何?」
「亜衣も知ってると思うんだけど、私ずっと家族と連絡とってなかったのよ」
「うんうん、そうだよね」
「何で妹が私の住んでる部屋の場所知ってたんだろうって」
「ほう、確かに不思議だね。探偵さん的なところで調査でもしてもらったのかしらね」
「はぁ、なるほど。探偵さんかぁ。私はてっきりどこかの世話焼きさんが、お節介でもしてくれたんだと思ったんだけど……亜衣、誰か心当たりない?」
数日前のことである。彼女は秋宮理恵を探して高校から足取りを辿っていた。すると当時理恵のことを気にかけていたという寮母に会うことができた。彼女の素性を知ると寮母は喜んで理恵のことを調べてくれた。
「確か卒業してすぐに、あの子葉書を送ってきたのよ。あったわ、これこれ」
そこには赤城亜衣という同級生と暮らしていると書かれていた。
「あの子も本当意地っ張りね。まだそんな状況だったなんて。でも、会えると良いわね」
彼女は寮母に礼を言い葉書の送り先の住所に向かってみた。
だがその葉書の消印からすでに6年という月日が流れていた。たどり着いた住所の表札は無表記で、その部屋の住人が赤城である確証がなかった。引っ越してしまって全く関係の無い人が住んでいたら、理恵を探す手がかりが無くなってしまう。むしろその可能性のほうが高かった。彼女は祈る気持ちでドアチャイムを鳴らす。
はーいという返事がドアの向こうから聞こえる。彼女は愕然とした。その声は明らかに男性のものだったから。
少しの間をおいて予想通り男が玄関の扉を開けた。
「はい、ごくろうさん。ってあれ?」
失意で肩を落とす彼女を見た男は自分の思っていた来客でないことに気づく。
「宅配便じゃないのか。誰?亜衣の知り合い?」
「え?亜衣?もしかして赤城亜衣さんのお宅ですか?」
「ん?そうだけど」
6年の月日がたち、理恵はすでに別の部屋に越していた。だが幸いにも赤城亜衣は別の同居人と今も同じ部屋に住んでいたのだ。
「さぁ、見当もつきませんねぇ。あ、何か急に電波悪くなって来た。もしもーし」
「え、なに急に。もしもし?もしも……ピッ」
亜衣はおもむろに通話切りボタンを押し、助手席を見ながら満足そうな笑みを浮かべた。緊張から開放され先ほどからずっと眠り続けていた彼女に声をかける。
「さぁ奈々ちゃん、起きて。お家着いたよ」
みんなのリアクション
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
赤城亜衣が目的の場所に着き車を路肩に停めたタイミングで、携帯電話の着信音が鳴った。
「はい、もしもし」
「亜衣、今、電話しても平気?」
「うん、大丈夫だよ。どうしたの恵理」
亜衣と理恵は高校の時から今でも付き合いの続く、仲の良い友人同士であった。
「さっき亜衣と電話してたじゃない」
「うん」
「あの後、珍しいお客さんが来てさ」
「へ~、誰?」
「私の妹」
「お~、ずっと疎遠になってたっていう妹さん?突然だね」
理恵が高校を卒業してしばらく一緒に住んでいた友達が亜衣なのであった。理恵の家庭の事情なども彼女は親身に良く聞いていた。
「ホントよ、びっくりしちゃった」
「どうだった?久しぶりに会った感想は」
「うん、最初は正直何なのって感じだったんだけど……結婚するから式に来てとか言うんだよ。ずっと付き合いなかったのに」
「へ~、すごいね。よっぽど恵理に来てほしかったんだね」
そんな事情を知る亜衣だからこそ、突然の理恵からのニュースを自分のことの様に喜んだ。
「で、この電話は結婚式に行くか行かないかの相談ってとこ?」
「ううん、短い時間に紆余曲折ありまして、行くことにした」
「ああ、そう!良いんじゃない。とても良いと思うよ」
「うん。でもね、ちょっと引っかかることがあるんだよね」
「ん、何?」
「亜衣も知ってると思うんだけど、私ずっと家族と連絡とってなかったのよ」
「うんうん、そうだよね」
「何で妹が私の住んでる部屋の場所知ってたんだろうって」
「ほう、確かに不思議だね。探偵さん的なところで調査でもしてもらったのかしらね」
「はぁ、なるほど。探偵さんかぁ。私はてっきりどこかの世話焼きさんが、お節介でもしてくれたんだと思ったんだけど……亜衣、誰か心当たりない?」
数日前のことである。彼女は秋宮理恵を探して高校から足取りを辿っていた。すると当時理恵のことを気にかけていたという寮母に会うことができた。彼女の素性を知ると寮母は喜んで理恵のことを調べてくれた。
「確か卒業してすぐに、あの子葉書を送ってきたのよ。あったわ、これこれ」
そこには赤城亜衣という同級生と暮らしていると書かれていた。
「あの子も本当意地っ張りね。まだそんな状況だったなんて。でも、会えると良いわね」
彼女は寮母に礼を言い葉書の送り先の住所に向かってみた。
だがその葉書の消印からすでに6年という月日が流れていた。たどり着いた住所の表札は無表記で、その部屋の住人が赤城である確証がなかった。引っ越してしまって全く関係の無い人が住んでいたら、理恵を探す手がかりが無くなってしまう。むしろその可能性のほうが高かった。彼女は祈る気持ちでドアチャイムを鳴らす。
はーいという返事がドアの向こうから聞こえる。彼女は愕然とした。その声は明らかに男性のものだったから。
少しの間をおいて予想通り男が玄関の扉を開けた。
「はい、ごくろうさん。ってあれ?」
失意で肩を落とす彼女を見た男は自分の思っていた来客でないことに気づく。
「宅配便じゃないのか。誰?亜衣の知り合い?」
「え?亜衣?もしかして赤城亜衣さんのお宅ですか?」
「ん?そうだけど」
6年の月日がたち、理恵はすでに別の部屋に越していた。だが幸いにも赤城亜衣は別の同居人と今も同じ部屋に住んでいたのだ。
「さぁ、見当もつきませんねぇ。あ、何か急に電波悪くなって来た。もしもーし」
「え、なに急に。もしもし?もしも……ピッ」
亜衣はおもむろに通話切りボタンを押し、助手席を見ながら満足そうな笑みを浮かべた。緊張から開放され先ほどからずっと眠り続けていた彼女に声をかける。
「さぁ奈々ちゃん、起きて。お家着いたよ」