魔神戦は、拍子抜けするほどあっけないものだった。
あれほど恐れられた存在も、神様からの祝福で強化された私の剣が、その心臓を貫いた瞬間、闇は煙のように消えていった。
「……終わった……?」
「やったぞ……リサラ様!」
「おおおおおっ!」
その場にいた全員が、歓声と涙で崩れ落ちた。
長い戦いが、ようやく終わったのだ。
それから、平和な時が流れた。
王都の片隅に、ユリエルが冒険者学校を作った。
魔法学も剣術も学べる総合学校で、街の子どもたちや若き冒険者たちが集う。
そのすぐ隣では、リッドが店を切り盛りしている。
扱っているのはガルドが鍛えた剣や鎧、魔道具だ。
彼らの作るものはどれも評判で、店はいつも賑わっている。
そして、学校の教壇に立つのは――元四天王たちと、私、勇者リサラだった。
「みんな、ちゃんと魔法陣の描き方覚えた?ほら、そこの子、手が止まってるよ!」
教室の後ろで毒の花が優雅に講義をし、氷の牙が厳しく剣術を教え、雷の鎚が力強く体術を伝える。鋼の剣も黙々と実技を見せている。
ある日の放課後、生徒たちがくすくす笑いながら聞いてきた。
「先生、先生は結婚してるんですか?」
「……え、ええ。してるわよ。」
「えー、誰とですか?」
私は少し笑って、指を一本一本折りながら答えた。
「……全員だよ!!!」
「「「えええええええええっ!!??」」」
教室が大騒ぎになる。そう、私は魔王を含め、ガルドもユリエルもリッドも、元四天王たちとも、全部ひっくるめて結婚してしまったのだ。
そして、子どもたちもたくさんいる。わが家は毎日お祭り騒ぎだ。
「一番強いって言われてるのは……やっぱり魔王との子なのよね。」
私が笑うと、隣で雷の鎚が「そりゃそうだろ!」と豪快に笑い、毒の花が「でもうちの子の方が可愛いわよ?」と肩をすくめる。
氷の牙は静かに紅茶を飲み、鋼の剣は黙って子どもたちを見守っている。
それでも、どの子も可愛くて、みんなにモテモテだ。誰に似たのかは……みんなの自慢が入り混じっていて、誰にも答えられない。
――こうして、勇者リサラの物語は平和の中で続いていく。戦いのあとに広がるのは、愛と笑顔と、たくさんの小さな手。今日もまた、にぎやかな声が教室に響いている。