女子たちに相談。普通に考えたら、妥当な判断だと思う。しかし。
「いやぁ」
「なんだよ」
俺が渋っていると、大槻が不思議そうに見てくる。
まぁ、どっかで話さないといけないことだけどさ……。
「女子たちがどう思うかだよねー」
「そうなんだよな」
「どういうことだよ?」
どうやら山路は分かっているようだ。
未だにイメージの付いていない大槻に山路が説明する。
「単純な話だよー。女子たちが、田島が手を抜いていることを知ったらどう思うだろうかなー」
「どうって…………あれ? ブチギレる?」
「「「正解」」」
俺たちは三人の声が揃う。
しかもこの春大会の直前で、そんなことしてみろよ。マジでどうなるか。
……とはいえ、椎名には説明しないとなんだよなぁ。ああ、ちょっと胃が痛くなってきた。
「つってもさ。女子のことは女子の方が詳しいだろ? なんつーの、ほら、もちが棚からじゃなくて」
「餅は餅屋にだねー」
「そう! それな!」
「まぁ、大槻の言っていることも一理ある。現状打つ手がないなら、それもまた一手だろうな……ただ、宥める必要は出てくるだろうな」
どうやら、樫田は女子に言うこと自体は反対ではないようだ。かといって俺と同じで乗り気でもない。
てか、待てよ。椎名に説明するのは俺だと思っていたけど、みんなを集めて一斉に説明した方が良いのではないだろうか。宥めることに関しては樫田とかがいた方が良いし、変に誰には言って、誰には言わずみたいな状況を作るよりは断然いいんじゃないだろうか。
「じゃあ、みんなで一度集まるか」
俺がそう結論付けると、三人はそれぞれ頷いた。
「決まりだな。どうする? どうやって女子に言う?」
「杉野が椎名を通じて集合かけたらー?」
「いや、早くしたいなら、今日会えるかもしれないぞ」
予想外のことを樫田が言い出した。
樫田に視線が集まる中、スマホを取り出してどこかへと連絡する。
たまらず山路が聞く。
「どういうこと樫田ー?」
「実は、女子たちが先輩たちの引退式どうのこうのって話をしていたのを偶然聞いてな。何でも今日帰りに必要なもの買うとかで」
「ああ、そういえば」
言われて、部活終わりに椎名と増倉が話していたのを思い出す。
あれはそういうことだったのか。夏村のやつ、そうならそうで言ってくれればいいのに。
「てことは、まだ帰ってないってことか」
「かもしれない」
「女子の買い物って長いもんねー」
そう言って山路が苦笑する。
スマホと格闘している樫田に、大槻が聞く。
「で、誰に連絡とってんの?」
「夏村。既読ついたから、今説明している」
「……お前らってそんな仲良かったっけ?」
「別に。今日話を聞いたのが夏村からってだけだよ」
表情を変えずに樫田は答える。
対して聞いた大槻は「ふーん、そっか」と何か言いたげにしていた。
山路と俺が視線を合わせる。え、気まず。と二人で困っていると、樫田がスマホから視線を外す。
「よし。会えるって」
「じゃあ、どこで会おうかー」
「そ、そうだな。ここでもいいけど、そろそろ見回りの先生とか来るかもな」
「あー、じゃあ移動するか」
何事もなかったかのように、大槻が提案する。
俺たちは頷き、立ち上がった。
三人は持っていた飲み物などを片し出す。
ゴミ箱に向かう前に、樫田がさらっと口にする。
「説明するのは杉野、よろしくな」
「え」
「そりゃそうだろ、田島から話聞いたのお前じゃん」
「だねー。よろしくー」
大槻と山路も、当然だろという感じだった。
え、マジっすか。
――――――――――――――
俺たちが待ち合わせ場所に選んだのは、駅近くのあの公園だった。
人はいないし、少しぐらいなら騒いでも大丈夫だろうということ、そして何より俺たちらしい場所ということが決め手だった。
どう上手く説明したものか、考えながら公園へと向かう。
思えば、七人で集まるのは山路の一件以来か。この頻度が多いのか少ないのか分からないが、一難去ってまた一難という感じではあった。
そして、すぐに公園へと辿り着く。
駅近くのわりにいったい誰が使っているのか分からない公園(俺たちは結構使っているが)。
中に入ると、既に女子たちが来ていた。
ベンチに椎名と夏村が座っていた。その前に増倉が立って何やら話をしていた。
近づくと、座っていた二人が俺たちに気づく。
始めに口を開いたのは樫田だった。
「よお、急に悪いな」
「まったく、急すぎ」
「ごめんって」
夏村がどこか呆れた様子で答えると、樫田は苦笑いをする。
それを横目に、増倉が聞いてくる。
「それで、大切な話があるって聞いたけど、どうしたの?」
「ああ、それなんだが……ほら、杉野」
樫田が俺を呼び、女子たちの前に出す。そして主導権を俺に譲るようにして、一歩後ろへ下がった。
大槻と山路もなぜか距離を取っている。
俺だけが前に出ると、今度は椎名が不思議そうに聞いてくる。
「あら、用があるのは杉野だったの?」
「用があるっていうか……まぁ、話さなきゃいけないことがあってな」
「何かしら?」
女子三人の視線が俺へと集まる。
ええい、ままよ。どうなっても知らんからな!
「実はな――」
俺はゆっくりと、田島のことを話し出した。