第6話 :『エピローグ』
ー/ー あれから3年が過ぎた。 スーパーマーケットの米売り場は、今日も殺風景なままだ。
かつて「再起動」の名の下に切り捨てられた限界集落。その結果がこれだ。 人が消え、管理されなくなった棚田や畑は、ただの荒れ地へと戻った。俺たちが忘れていた事実――「田んぼは天然のダムである」という機能を失った代償は高くついた。 保水力を失った大地は雨を留めることができず、下流の都市部では土砂崩れや洪水が頻発。逆に夏になれば、荒川水系は干上がり、取水制限が日常となった。
「……高いな」
俺は棚に残った数少ない米袋の値札を見て、独りごちた。 かつての『令和の米騒動』なんぞが可愛く見えるほどの高騰ぶりだ。だが、今の日本にそれを自給する力はもう残っていない。
店内のモニターから、能天気なニュース音声が流れてくる。 『政府は本日、食料危機への対策として、隣国からの緊急輸入枠の拡大を決定しました。これにより、米不足は解消に向かう見通しです――』
俺は乾いた笑いを漏らすしかなかった。 国土を荒廃させ、水を奪い、最後に食い扶持まで握る。 もし、あのアニメも、この結末も、すべてあいつらが最初から描いていたシナリオ通りだとしたら? ミサイル一発撃つこともなく、奴らはこの国を「植民地」にしちまったわけだ。
俺は、輸入されたという真新しい米袋を手に取った。 パッケージには、生産地として隣国の名前が誇らしげに記されている。
「……味はどうだか」
俺はそれをカゴに放り込み、逃げるようにレジへと向かった。 その米を噛み締めるたびに、俺たちは自らの愚かさを味わうことになるんだろう。
(完)
かつて「再起動」の名の下に切り捨てられた限界集落。その結果がこれだ。 人が消え、管理されなくなった棚田や畑は、ただの荒れ地へと戻った。俺たちが忘れていた事実――「田んぼは天然のダムである」という機能を失った代償は高くついた。 保水力を失った大地は雨を留めることができず、下流の都市部では土砂崩れや洪水が頻発。逆に夏になれば、荒川水系は干上がり、取水制限が日常となった。
「……高いな」
俺は棚に残った数少ない米袋の値札を見て、独りごちた。 かつての『令和の米騒動』なんぞが可愛く見えるほどの高騰ぶりだ。だが、今の日本にそれを自給する力はもう残っていない。
店内のモニターから、能天気なニュース音声が流れてくる。 『政府は本日、食料危機への対策として、隣国からの緊急輸入枠の拡大を決定しました。これにより、米不足は解消に向かう見通しです――』
俺は乾いた笑いを漏らすしかなかった。 国土を荒廃させ、水を奪い、最後に食い扶持まで握る。 もし、あのアニメも、この結末も、すべてあいつらが最初から描いていたシナリオ通りだとしたら? ミサイル一発撃つこともなく、奴らはこの国を「植民地」にしちまったわけだ。
俺は、輸入されたという真新しい米袋を手に取った。 パッケージには、生産地として隣国の名前が誇らしげに記されている。
「……味はどうだか」
俺はそれをカゴに放り込み、逃げるようにレジへと向かった。 その米を噛み締めるたびに、俺たちは自らの愚かさを味わうことになるんだろう。
(完)
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あれから3年が過ぎた。 スーパーマーケットの米売り場は、今日も殺風景なままだ。
かつて「再起動」の名の下に切り捨てられた限界集落。その結果がこれだ。 人が消え、管理されなくなった棚田や畑は、ただの荒れ地へと戻った。俺たちが忘れていた事実――「田んぼは天然のダムである」という機能を失った代償は高くついた。 保水力を失った大地は雨を留めることができず、下流の都市部では土砂崩れや洪水が頻発。逆に夏になれば、荒川水系は干上がり、取水制限が日常となった。
「……高いな」
俺は棚に残った数少ない米袋の値札を見て、独りごちた。 かつての『令和の米騒動』なんぞが可愛く見えるほどの高騰ぶりだ。だが、今の日本にそれを自給する力はもう残っていない。
俺は棚に残った数少ない米袋の値札を見て、独りごちた。 かつての『令和の米騒動』なんぞが可愛く見えるほどの高騰ぶりだ。だが、今の日本にそれを自給する力はもう残っていない。
店内のモニターから、能天気なニュース音声が流れてくる。 『政府は本日、食料危機への対策として、隣国からの緊急輸入枠の拡大を決定しました。これにより、米不足は解消に向かう見通しです――』
俺は乾いた笑いを漏らすしかなかった。 国土を荒廃させ、水を奪い、最後に食い扶持まで握る。 もし、あのアニメも、この結末も、すべてあいつらが最初から描いていたシナリオ通りだとしたら? ミサイル一発撃つこともなく、奴らはこの国を「植民地」にしちまったわけだ。
俺は、輸入されたという真新しい米袋を手に取った。 パッケージには、生産地として隣国の名前が誇らしげに記されている。
「……味はどうだか」
俺はそれをカゴに放り込み、逃げるようにレジへと向かった。 その米を噛み締めるたびに、俺たちは自らの愚かさを味わうことになるんだろう。
(完)