洗面台から戻り、
手癖で作るいつもと同じメニューの
朝食を口に運んでいると
スコンッ
と玄関の方からニュースカセットが
投函された音が聞こえた。
塗料の使用、所持が全面的に
禁止された後の世界では
新聞は姿を消して
その代わりに情報は
カセットテープで音声として
早朝と夕方に届く。
まぁ俺にとって有益な情報が
なんなのかは俺もわからない、
これも作業として聞き流す物だ。
『..zづき..しては、昨夜またしても灰人ギャング組織"ETO"(エトー)による構成員同士の抗争が行われ、現場に駆けつけたGOODBAT隊員複数名が重軽傷を負い、2名が死亡しました。昨夜の抗争はチームNo.9"猿王"(マシラオ)とチームNo.11"三頭狂犬"(ケルベロス)による縄張り争いが激化したことによr』
(こんなんばっかりだな、、この世界は)
この落影街には灰人をまとめ上げる
十二人のボスがいて
それぞれがチームを率いている、
元々は1つのチームだったらしく
当時のチーム名が
"Evil Twelve Outlow"
それが今の通称"ETO"の原型だ。
チームだなんだと群れといて
後に縄張り争いだとか
普通に仲が悪くて殺し合うとか
どちらにしても希望もない時代に
まだ人より欲しがり奪い合う奴らは
ある意味この世界を体現したような
"人間"そのものもで
とびっきりのクズだと思う。
そんな奴らが騒ぐたびに
沢山の血が流れることも
この街では珍しいことじゃない、
というかこれも日常だ。
音を止めた俺はいつも通りの
白いシャツと白いパンツに
身を包み、白いキャップを深く被る。
入部初日の野球少年のような
出立ちでバイト先へ向かった。