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うちのじいちゃん

ー/ー



 最近、うちのじいちゃんは話しかけても反応してくれない事が多い。こっちは用事があって話しかけてるのに。もちろん、ちゃんと相手をしてくれることもあるんだけど。この年代の人はしょうがないのかな。・・多分、認知症とかそういうものではないはず、だよね。


「ねぇ、起きて!時間だよ!」

 毎朝の日課。この時間に起こしてくれって言う割に、一回で起きた事はないんだ。起きてって言えば言うだけ、僕の声が聞こえないように布団にもぐってしまうんだよね。

 毎日こうだから、友達のじいちゃん、ばあちゃんはどうなのかと聞いてみたら、起こす前に起きてる事が多いらしい。うちのじいちゃんとは大違いだ。

 起きてくれないのに声をかけ続けるのは大変だから、十分くらい経ってからもう一度声をかける事にしているんだ。

「ねぇ、起きて!時間だよ!」

「わかったわかった!起きるから!」

 ようやく起きてくれた。絶対すぐには起きないんだから、早起きなんかしなければいいのに。どうせ仕事に行くわけでもないんだし。

 じいちゃんは布団からのそのそと起きると、顔を洗ったり、着替えたり、朝ごはんを食べたり、テレビを見たりして過ごすんだ。これも毎日の事。ちなみに、この家には僕達しか住んでいない。だから、すぐにやる事がなくなってしまう。まぁ、僕は僕でご飯さえ食べれれば、ぼーっとしてるのが好きだからいいんだけど。僕もじいちゃんも話好きってわけではないしね。


 そんなふうにぼーっとしてると、たまーにじいちゃんに電話がかかってくる。そんな時は声をかけて教えるんだ。

「じいちゃん、電話!」

 こっちを見たけど、知らない番号だったみたいで電話にでようとしない。しばらく着信音が鳴ってから、電話が切れちゃった。でなくてもよかったのかと思っていたら、すぐにもう一度かかってきた。

「じいちゃん、さっきと同じとこから電話!」

 今度は、しぶしぶって感じで、じいちゃんは通話ボタンを押した。

「もしもし?どなた?」

 なかなか電話にでなかった理由がすぐにわかった。

「あー、いらん!・・ったく、やっぱり勧誘だったな!」

 僕に向かって言われると、ちょっと罪悪感を覚える。もちろん僕に言ってるわけじゃないってわかるんだけど。・・代わりにでてあげるぐらいすれば良かったかな。


 お昼ごはんを食べて少し経った頃、じいちゃんが散歩に行くと言いだした。僕も暇だか・・いや、じいちゃんが心配だからからついていく事にした。

 散歩は特に目的地が決まっているわけではない。それでも行くところが少ないのか、だいたいいつも同じ場所に行く事が多い。途中、友達を見かけたから話したかったけど、じいちゃんはどんどん先に進んじゃう。友達と話してる余裕がない。あまり会う機会が多くないから残念だなぁ。もう少しゆっくりすればいいのに。

 今日の目的地である図書館には、じいちゃんと同じような年代の人が多かった。いつきても、平日の日中はこんな感じ。別の時間帯なら、勉強してる学生とかいるのかな。

 今日はどんな本を読むんだろう。じいちゃんのそばにいないといけないから、いつも一緒に読むんだけど、さっぱりわからない。わからないから、読むっていうより、眺めている。気がつくと、結局家にいる時と同じようにぼーっとして過ごしてる事が多いんだ。

 どれくらいの時間が経ったのか。じいちゃんの「そろそろ帰るか」って声が聞こえた。それに何か返事をしようとしたら、どうしてだか体が動かくなっていた。じいちゃんの声は聞こえる。周りの音も聞こえる。でも、何も見えないし、何も話せない。

 ど、どうして?じ、じいちゃん!助けて!

「おい、どうした?おい!」

 そんな僕に気づいたのか、じいちゃんの少し慌てた様子の声が聞こえてきた。動けないって伝えたいのに、伝えられない。

「うーん、困ったなぁ」

 そのまま家には帰らずにどこかへ連れて行かれた。病院に連れて行ってくれるのかな。

 急に眠くなって、起きてみたら体がいつも通りに動いてくれた。じいちゃんと知らない人が一緒に僕を見ていた。

「たまに休ませてあげてください。こうなった時は・・・」

 知らない人がじいちゃんに何か教えてる。お医者さんなのかな?

「わかりました。そうしてみます」

 じいちゃんは少し恥ずかしそうに、でも、嬉しそうにそう言って病院のようなところをでた。




 枕元からアラームの音がかすかに聞こえてくる。その音が徐々に大きくなってきた。目を覚ましてみると朝の5時半。いつもどおりにスマホのアラームが鳴っている。アラームを止めようとスマホを手に取ると、数日前の事を思い出した。

 いつもの図書館の帰りに、突然スマホが動かなくなってしまい、故障したのかと慌てて携帯ショップに行った。そしたら、長い間の動かしっぱなしは良くないから、たまには休ませろ。そうじゃないとまたなるぞというような事を店員に言われたのだ。

 ・・早起きしても用事ないしな。アラーム鳴らさなくてもいいかなぁ。あー、再起動とかってのも言われたな。確か、電源ボタンを長押しして・・再起動再起動っと、これだな。

 電源が切れて、また入った事を見届けてから充電器をさした。

「もう少し労るから、これからもよろしく頼むぞ」

 返事をするように、スマホがピッと充電音を鳴らした。





みんなのリアクション

 最近、うちのじいちゃんは話しかけても反応してくれない事が多い。こっちは用事があって話しかけてるのに。もちろん、ちゃんと相手をしてくれることもあるんだけど。この年代の人はしょうがないのかな。・・多分、認知症とかそういうものではないはず、だよね。
「ねぇ、起きて!時間だよ!」
 毎朝の日課。この時間に起こしてくれって言う割に、一回で起きた事はないんだ。起きてって言えば言うだけ、僕の声が聞こえないように布団にもぐってしまうんだよね。
 毎日こうだから、友達のじいちゃん、ばあちゃんはどうなのかと聞いてみたら、起こす前に起きてる事が多いらしい。うちのじいちゃんとは大違いだ。
 起きてくれないのに声をかけ続けるのは大変だから、十分くらい経ってからもう一度声をかける事にしているんだ。
「ねぇ、起きて!時間だよ!」
「わかったわかった!起きるから!」
 ようやく起きてくれた。絶対すぐには起きないんだから、早起きなんかしなければいいのに。どうせ仕事に行くわけでもないんだし。
 じいちゃんは布団からのそのそと起きると、顔を洗ったり、着替えたり、朝ごはんを食べたり、テレビを見たりして過ごすんだ。これも毎日の事。ちなみに、この家には僕達しか住んでいない。だから、すぐにやる事がなくなってしまう。まぁ、僕は僕でご飯さえ食べれれば、ぼーっとしてるのが好きだからいいんだけど。僕もじいちゃんも話好きってわけではないしね。
 そんなふうにぼーっとしてると、たまーにじいちゃんに電話がかかってくる。そんな時は声をかけて教えるんだ。
「じいちゃん、電話!」
 こっちを見たけど、知らない番号だったみたいで電話にでようとしない。しばらく着信音が鳴ってから、電話が切れちゃった。でなくてもよかったのかと思っていたら、すぐにもう一度かかってきた。
「じいちゃん、さっきと同じとこから電話!」
 今度は、しぶしぶって感じで、じいちゃんは通話ボタンを押した。
「もしもし?どなた?」
 なかなか電話にでなかった理由がすぐにわかった。
「あー、いらん!・・ったく、やっぱり勧誘だったな!」
 僕に向かって言われると、ちょっと罪悪感を覚える。もちろん僕に言ってるわけじゃないってわかるんだけど。・・代わりにでてあげるぐらいすれば良かったかな。
 お昼ごはんを食べて少し経った頃、じいちゃんが散歩に行くと言いだした。僕も暇だか・・いや、じいちゃんが心配だからからついていく事にした。
 散歩は特に目的地が決まっているわけではない。それでも行くところが少ないのか、だいたいいつも同じ場所に行く事が多い。途中、友達を見かけたから話したかったけど、じいちゃんはどんどん先に進んじゃう。友達と話してる余裕がない。あまり会う機会が多くないから残念だなぁ。もう少しゆっくりすればいいのに。
 今日の目的地である図書館には、じいちゃんと同じような年代の人が多かった。いつきても、平日の日中はこんな感じ。別の時間帯なら、勉強してる学生とかいるのかな。
 今日はどんな本を読むんだろう。じいちゃんのそばにいないといけないから、いつも一緒に読むんだけど、さっぱりわからない。わからないから、読むっていうより、眺めている。気がつくと、結局家にいる時と同じようにぼーっとして過ごしてる事が多いんだ。
 どれくらいの時間が経ったのか。じいちゃんの「そろそろ帰るか」って声が聞こえた。それに何か返事をしようとしたら、どうしてだか体が動かくなっていた。じいちゃんの声は聞こえる。周りの音も聞こえる。でも、何も見えないし、何も話せない。
 ど、どうして?じ、じいちゃん!助けて!
「おい、どうした?おい!」
 そんな僕に気づいたのか、じいちゃんの少し慌てた様子の声が聞こえてきた。動けないって伝えたいのに、伝えられない。
「うーん、困ったなぁ」
 そのまま家には帰らずにどこかへ連れて行かれた。病院に連れて行ってくれるのかな。
 急に眠くなって、起きてみたら体がいつも通りに動いてくれた。じいちゃんと知らない人が一緒に僕を見ていた。
「たまに休ませてあげてください。こうなった時は・・・」
 知らない人がじいちゃんに何か教えてる。お医者さんなのかな?
「わかりました。そうしてみます」
 じいちゃんは少し恥ずかしそうに、でも、嬉しそうにそう言って病院のようなところをでた。
 枕元からアラームの音がかすかに聞こえてくる。その音が徐々に大きくなってきた。目を覚ましてみると朝の5時半。いつもどおりにスマホのアラームが鳴っている。アラームを止めようとスマホを手に取ると、数日前の事を思い出した。
 いつもの図書館の帰りに、突然スマホが動かなくなってしまい、故障したのかと慌てて携帯ショップに行った。そしたら、長い間の動かしっぱなしは良くないから、たまには休ませろ。そうじゃないとまたなるぞというような事を店員に言われたのだ。
 ・・早起きしても用事ないしな。アラーム鳴らさなくてもいいかなぁ。あー、再起動とかってのも言われたな。確か、電源ボタンを長押しして・・再起動再起動っと、これだな。
 電源が切れて、また入った事を見届けてから充電器をさした。
「もう少し労るから、これからもよろしく頼むぞ」
 返事をするように、スマホがピッと充電音を鳴らした。


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