白い爺さんたちに案内されながら
ドルカ、ファイ、ルチナとともに村の自慢だという花を見に行く。
どうやら、そこにリンネとネロンがいるらしい。
今まで転々としてきた村では初めのうちは歓迎されなかった。
必ずと行ってもいいほど
’’はやく出ていってくれ’’という空気をまとってたのに
ここに来てからはそれが全くと言ってもいいほどない。
妙な気持ち悪さを感じるがその半分それでもいいのかという気持ちに支配される。
「ささ、着きましたぞ!存分に楽しんでください。我が村の自慢の景色ゆえ。」
はっと意識を戻すと
案内されていたのはありふれた家だった。
「嘘だろ?まさかここに花があると言ってるのか?爺さん、流石におかしくはないか?」
「いえいえ、全く間違っておりませぬ。中に入ってみればわかりますぞ。」
仲間の様子を見ると
みんな頷いている。どうやら、ここらしい。
「カイルー。はやく見よ。」
「早くして、ほんとにあんた遅い。」
恐る恐るドアを開けるとー。
甘くてそれでいてくどくない花の匂いがふわっと強烈に印象を残す。
「あ、リンネ。カイル、きた。」
「ネロンほんと?あっ、カイル待ってた!」
二人が俺の元にとととっと駆けてくる。
「ねえねえ、カイルリンネねちゃんといいコしてたんだよ〜。」
「うん、カイル、褒めてもいい、よ。」
相変わらずこの二人の雰囲気は変わらなくてほっとした。
「うん。僕からもカイルに言おう。二人ともちゃんとこの村でお手伝いをしてたよ。」
「そうなのか、ドルカ。リンネとネロンは偉いな。」
よしよしと頭を優しく撫でる。
すこしごわつく感覚を手が覚えてるのに今の感覚はサラサラしている。
「ちょっと、カイルお花を見に来たんでしょ?」
どっかと俺の背中をルチナが押す。
「ちょっと、ルチナ。カイルも今来たばっかでいろいろ混乱もあるだろうし、ね?」
ファイがルチナをなだめる。
「あー!そうなの?リンネが案内してあげるね。」
「こっち、ついてきて。」
そういって奥の扉を開けると
綺麗な花が、確かに咲いていた。
人に。根を生やし、まるで我こそがこの体の主というように。
これはー、
「ねえねえ、カイル。きれいでしょ?村の人はこうきれいに咲きたいんだって。
リンネもちゃんと咲けるかな?」
「大丈夫。リンネはいつも綺麗な色してる、から。」
ぎゅっとリンネの手を掴むネロンの姿が視界に写っている。
「ちょっと、止まってないで間近で見てきたら?疲れているならすこしは和むんじゃない?
あっ、えっと…そうそう!こんなに綺麗に咲く人は珍しいって、村の人が言ってたし、。」
「あはは、もう、ルチナったら素直じゃないんだから。」
どうして普通でいられるんだ。
おかしいと思わないのか?
「…。ああ、そうだよ、な。あの、これが普通なのか?」
「ああ、そうだよ。カイルもしかして忘れたのか?死んでしまったら花が咲く。
それが当たり前じゃないか?その時期が来るのは人それぞれ違うらしいけどね。」
そんなことはない。と思うほどに脳が誰かに掴まれる感覚が強くなる。
息が浅くなる。目が、視界が激しく揺れるー。
ぐらりと思考がずらされ、
必要ない思考がまるごと削ぎ落とされる。
視界がザーっと黒いノイズの様になり、曖昧な声だけが俺の世界を埋め尽くす。。
気づいたときにはフッと思考の糸を手放していた。
その隙ができた瞬間、スッとナニカに思考を完全に塗り替えられた感じがした。