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5話 歓迎の裏側

ー/ー



「目覚めたか?」

「いや、もう少しだ。」

ん?なんだ?声が聞こえる。
それに、
さっきまでの底なしの痛みがない。乗り越えられたのか。

………。

それって、なんのことだっけ。

おかしい。
本当に思い出せない。
思い出そうとすると、
誰かにグワッと脳が掴まれ、体が拘束されるような感覚になるし、

あぁ、これはきっと忘れたほうが良いんだろう。
深く考えるのは止めよう。

ゆっくりと目を開けると、深く皺が刻まれている顔が入ってくる。
帽子を目深に被っているせいで目元は見えないが、じっとこっちを見つめているみたいだ。

「おぉ!!起きたぞ!」

その一声でわらわらと他の人たちが駆け寄ってくる。
見なくてもドタバタとうるさすぎる足音だけで分かった。
その中に聞き慣れた足音もあったような気がする。

ドルカやファイ、ルチナ、リンネとネロンは大丈夫なのだろうか。

そんな事を考えながら、俺はゆっくりと起き上がった。
周りに居た人たちが興味深そうに俺を見ていた。

すると、あの白いひげの老人が高揚した様子で
一歩俺に近づいた

「おぉ、目が覚めたか!お主は我らが神の直々の招待でここに招かれた存在ぞ!
 丁重にもてなすのが我らの使命!気のゆくまでゆるりと過ごすといいぞ!」

「「ようこそ我らが村へ」」

「え、あぁ、。えっと、ここは『世界で一番美しい村』と言われるところなのか?」

「ああ、そんな言われ方もありますな。何しろ、
 ここは嫌なことが一切ない楽園みたいなものですから。

 ……それはさておき、
お主のお仲間さんたちが先に招待されていましてほら―こちらに。」

そう言って白い爺さんは横に移動した。

そこにはドルカ、ファイ、ルチナがいた。
みんな無事で良かった。

「みんな、先にこれたんだな。俺はこの村に来たばかりだからあいにくどんな状態なのかわかっていないんだが、、ここならみんなで幸せに暮らすことができるかもな。ここの人たちは俺達のことを歓迎してくれている様子だしな。」

「うん。ここなら安心だと思うよ!うちらはこの村に一週間前からいたけど争いごともないし、
 みんな親切で食べ物や住むところも用意してくれたの。」

満足そうにファイはおしえてくれたが、
妙に違和感を覚える。一週間前?俺たちは…。

「まあ、その分お手伝いとかはいつも通りにしたけど。僕はここ、いいと思うよ。」
 ドルカが満足そうに答えた。
「ところで、リンネとネロンが見当たらないが、二人はどこにいるかわかるか?」

「あー、あの二人はお花を見に行ったんだよ。カイルも見に行く?。」

ルチナがそう言って村の奥の方に視線を向けた。
たしかに人だかりができている。

「ああ、二人の様子も気になるし見に行きたいな。」

「なるほど、なるほど。花を見に行くんですね。
これらはわしらの村での自慢でして、いいでしょう。村長として皆さまをご案内いたしましょう。
それにこの村に住まいになるのであれば目にしておいたほうがいいですし、
誇らしげになってほしいものですからね。」

そう言ってなにやら俺たちをなにやらどこかの宗教の教祖のように
恭しく囲みながら案内し始めた。
なんとも言えない気持ち悪さが体に巻き付く。
歓迎されているのはわかるんだが、。

この白いもやもやとした生ぬるい空気を
無意識に払いたいようなそんな気持ちもするけど、、。

ここなら幸せに安全に暮らせるのか?


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「目覚めたか?」
「いや、もう少しだ。」
ん?なんだ?声が聞こえる。
それに、
さっきまでの底なしの痛みがない。乗り越えられたのか。
………。
それって、なんのことだっけ。
おかしい。
本当に思い出せない。
思い出そうとすると、
誰かにグワッと脳が掴まれ、体が拘束されるような感覚になるし、
あぁ、これはきっと忘れたほうが良いんだろう。
深く考えるのは止めよう。
ゆっくりと目を開けると、深く皺が刻まれている顔が入ってくる。
帽子を目深に被っているせいで目元は見えないが、じっとこっちを見つめているみたいだ。
「おぉ!!起きたぞ!」
その一声でわらわらと他の人たちが駆け寄ってくる。
見なくてもドタバタとうるさすぎる足音だけで分かった。
その中に聞き慣れた足音もあったような気がする。
ドルカやファイ、ルチナ、リンネとネロンは大丈夫なのだろうか。
そんな事を考えながら、俺はゆっくりと起き上がった。
周りに居た人たちが興味深そうに俺を見ていた。
すると、あの白いひげの老人が高揚した様子で
一歩俺に近づいた
「おぉ、目が覚めたか!お主は我らが神の直々の招待でここに招かれた存在ぞ!
 丁重にもてなすのが我らの使命!気のゆくまでゆるりと過ごすといいぞ!」
「「ようこそ我らが村へ」」
「え、あぁ、。えっと、ここは『世界で一番美しい村』と言われるところなのか?」
「ああ、そんな言われ方もありますな。何しろ、
 ここは嫌なことが一切ない楽園みたいなものですから。
 ……それはさておき、
お主のお仲間さんたちが先に招待されていましてほら―こちらに。」
そう言って白い爺さんは横に移動した。
そこにはドルカ、ファイ、ルチナがいた。
みんな無事で良かった。
「みんな、先にこれたんだな。俺はこの村に来たばかりだからあいにくどんな状態なのかわかっていないんだが、、ここならみんなで幸せに暮らすことができるかもな。ここの人たちは俺達のことを歓迎してくれている様子だしな。」
「うん。ここなら安心だと思うよ!うちらはこの村に一週間前からいたけど争いごともないし、
 みんな親切で食べ物や住むところも用意してくれたの。」
満足そうにファイはおしえてくれたが、
妙に違和感を覚える。一週間前?俺たちは…。
「まあ、その分お手伝いとかはいつも通りにしたけど。僕はここ、いいと思うよ。」
 ドルカが満足そうに答えた。
「ところで、リンネとネロンが見当たらないが、二人はどこにいるかわかるか?」
「あー、あの二人はお花を見に行ったんだよ。カイルも見に行く?。」
ルチナがそう言って村の奥の方に視線を向けた。
たしかに人だかりができている。
「ああ、二人の様子も気になるし見に行きたいな。」
「なるほど、なるほど。花を見に行くんですね。
これらはわしらの村での自慢でして、いいでしょう。村長として皆さまをご案内いたしましょう。
それにこの村に住まいになるのであれば目にしておいたほうがいいですし、
誇らしげになってほしいものですからね。」
そう言ってなにやら俺たちをなにやらどこかの宗教の教祖のように
恭しく囲みながら案内し始めた。
なんとも言えない気持ち悪さが体に巻き付く。
歓迎されているのはわかるんだが、。
この白いもやもやとした生ぬるい空気を
無意識に払いたいようなそんな気持ちもするけど、、。
ここなら幸せに安全に暮らせるのか?