「君たちが、物も持てない、何も考えられない、
どこにでもいる猿だった頃にね、
我々は素晴らしい資源があるという星、
現在の地球に調査しに来たんだ。
その時、二足歩行で歩く猿がいたんだ。
正直どうでもいいと思っていたけど、
他の隊員がうっかりその猿に知恵をあげてしまったんだ。
それに気づいたのは、母星に帰ってからだったし、
そいつは、責任取ってもらったけどね。
あれからしばらく経ったころ、
今度は侵略という名目で地球に来たんだ。
するとびっくり。あの時の面影もないほどにその土地は発展して、
簡易的な建造物が並んでいたんだ。
まあ、我々の技術に比べると、ちっぽけなものだけどね。
で、調査をしていると、一匹の猿…じゃなくて一人の地球人が話しかけてきた。
どうやら一番偉い地球人らしく、我々が知恵を授けたことを話すと、
とても感謝して、何かお礼がしたいと言った。
それなら…と、一つの契約をした。
我々がまた来た時、地球人の最高位として迎えろ、と」
「な…何が言いたいんだ?その契約を果たしにきた、と言いたいのか?」
「いや?我々が言いたいことは、
もし反抗しても、地球人の知能を消すことができる、ということだよ」
…!
「ん?顔色が悪いねえ?でも、君は我々の味方だから大丈夫だよね?」
「あ、ああ…そんな過去があったなんて…初めて知ることだから、驚いてしまって…」
…もう打つ手がない…反抗しても、知恵を消されてはどうにもならない…いや、落ち着け…!考えろ…!何か…何か方法があるはず…!あるはず…
「…やっぱり、知ってる人を奴隷にするのは気が引ける?やっぱり君って、優しい感じだし、ね?…そうだ!一ついいことを考えたんだけど…」
そうして、私の顔目前まで身を乗り出したメシアは、目を細めて提案した。
「この会談を知らない時代になってから侵略を始めるとか」
メシアを含む宇宙人たちの対談の結果、
十世紀…つまり1000年たったのち、地球を無条件に明けわすと共に侵略を開始することとなり、更に地球人が太陽系を脱出するそぶりを見せれば直ちに侵略することが決まった。
見渡せるほどの晴天に帰っていくUFOを見てから、地球全土に向けて生放送していると思われるテレビカメラに向かう。何も知らない市民たちに向かって、微笑んだ。
「もう安心だ。我々は…安泰だ」