~三途の川で究極の選択~
ー/ー
人はいくつかの重要な選択肢を選び続け、今の人格や環境を作り出している。
甲田瞬汰は大学を辞め、ホストの道を選んだ。 それも大きな選択の一つだった。ホストクラブ「KIRA」では、ナンバー1ホストの麻世にシャンパンタワーが頼まれている。
コールで盛り上げるホストの中に瞬汰はいた。
麻世は姫(女性客)の肩を抱き、シャンパングラスで乾杯した。
瞬汰がテーブルに戻り、神代優羽に言う。
「いいなあ、優羽もシャンパンタワーをやってくれよ」
「そんなお金どこにあるのよ。ここに来るだけでも学生の私には大金なんだからね?」
優羽は瞬汰の大学時代の友人で大学を辞めてからも仲が良かった。
最初の頃は思いを寄せていたが、瞬汰がホストになってから、優羽の中で男友達として定着していた。
「俺がイケメンだったら優羽じゃなくて太客が付いたのにな」
「細客で悪かったわね。あのね、男は顔じゃないから」
「ホストは顔だよ。俺なんかメイクしてこれだぜ?」
「トークが面白ければ付いてくるよ」
「トーク力ってさ、手術出来ないないじゃん。顔は出術出来るんだ。整形しようっと」
「顔はイジんないでよ。若い頃やっちゃうと、年取ってからおかしな顔になるよ?」
「俺がおじさんになった時の顔なんて関係ないだろ」
「なくないよ!」
否定する優羽に瞬汰は驚いた。
優羽は、「年寄りになっても友達なんだからね」と強く言った。
瞬汰はこの店では下から数えた方が早い売上だった。 優羽がどんなに整形を否定しようと心の中で手術することは決めているのだ。
翌日、瞬汰は予約していた整形外科に向かった。新大久保で高倉整形外科の看板を見つけた。テレビCMするほど有名な整形外科だ。
診断室に行くと、テレビで見る高倉外科医が瞬汰を待っていた。
「こんにちは」
高倉外科医は優しい笑顔で迎えた。
「今回はどうされたいんですか?」
「ホストをやっていていろいろいじりたいのですが、まず目を二重にして、鼻を高くして、掘りを深くして、頬骨と顎を削りたいです」
「いろいろやりますねぇ。画像でシミュレーションしてみましょう」
十五分待って再び呼ばれた。
「シュミレーションしましたが、二重にして顎と頬骨を削って鼻頬角を調整すると、こんなイメージになります」
画像では、GACKTのように見違える自分がいた。
「いいですね!」
「でも一千万は掛かりますね」
「一千!?そんなお金ないですよ。先生、売掛っていうのは出来ないですか?」
「そんなツケはやっておりません」
肩を落として瞬汰がビルから出て来る。
歩いていると、「高倉整形外科」と似たロゴの「高村整形外科」という看板を見つけた。
瞬汰は気になり予約していないが中に入ってみた。
高村整形外科の受付がすぐに診断室に案内した。
医師の高村と瞬汰が面談する。
高倉整形外科で話したシミュレーションをもう一度高村医師に伝えると、 「二百万ぐらい…でしょうか」
瞬汰は即答で、「やります!」と即答した。
「整形した後のシミュレーションを見せてもらったけど、大学の友人とは思えないほどイケメンになるぞ」
「そんな安い整形やめなって。瞬汰は疾患もあるでしょ」
「優羽知らないだろ。今整形はかなり安全で、かなり安くなってる。明日早速手術するから」
「え、明日!?」
「迷っていてもしょうがない」
手術台では麻酔で眠っている瞬汰が横たわっていた。
助手の若い医師の明智が顔にメスを入れている。それを高倉が見ている。
「あれ?削りすぎましたかね」と明智。
「ヒアルロン酸、打っとくか」
明智が心電図を見て、 「先生、麻酔が切れそうです」
「増しとこう」
すると心電図の心拍が弱まっていく。
高村が「この患者、心臓疾患がなかったっけ?」と聞く。
明智は「あったかも…」
「おい、麻酔で合併症引き起こしたかもよ?」
「ど、どうします?止まりそうです!」
「胸骨圧迫!」
整形手術なのに明智が瞬汰の胸を圧迫する。
・・・瞬汰が意識を戻す。浅い川の真ん中に立っていた。
周りを見渡しながら川を渡る瞬汰。
「ここどこ?」
とりあえず向こう岸に渡ろうとする。
向こう岸では、白い毛のチンパンジーの神様ククと道着姿の日本猿の神様ツムが、渡って来る瞬汰を見ている。

「また来たましたか、変わるべき人間が」とクク。
「クク様、この若い者もこれまで選択を何度も間違っています。
また余計な人助けをしますか?」
「ツム、若いのにここを渡らせるのも気の毒でしょう?」
「そうですけど、クク様、楽しんでません?」
ククとツム 瞬汰が、向こう岸に二匹の猿がいることに気付いた。
「そこで止まりなさい」と白いチンパンジーのクク。
瞬汰は「猿が喋った!」と驚く。
「俺はなんで猿の惑星にいるんだよ!」
「わしらは、おまえらの祖先だろ」とツム。
「ここは三途の川です。あの世の入り口です」とクク。
「三途の川?これ夢?」
ククが言う。
「あなたはこれまでいくつかの選択を間違えて、ここに来たのです」
「選択を間違った?」
ツムがノートを読む。
「甲田瞬汰、二十一歳。十五歳で初めて付き合ったギャル風の女子と交際して勉強をせず偏差値の低い高校に入学。十七歳で彼女にフラれ、今度は陸上部のマネージャーを好きになり、走り高跳びに打ち込む」
「合ってる…」と瞬汰。
ツムが続ける。
「陸上はやめたかったが、学費が安いからとスポーツ推薦で京城大学に進学。しかし大学二年生でホストのアルバイトを始め、ハマってしまい、大学を中退。ホストで上位になるために友人の意見も聞かずに整形をするが、ほぼアマチュアの整形外科を選んで失敗」
「整形が失敗?」
ツムが、「失敗して死にそうだから、三途の川にいるんだぞ」
ククは、「いくつかの大きな選択を繰り返して今のあなたが作られました。そして選択を繰り返した結果、今あなたはここにいます」
「じゃあ引き返すよ」 と言った。
「引き返すには、いくつか究極の選択に答えてもらう」と日本猿のツム。
「なんでだよ」
「選択を間違ってきたなら、新しい選択により新しい人生を作り直します」とチンパンジーのククが告げる。
「その選択って何?」
「ツム、問うてあげなさい」
「そうだなあ…」
「今考えるのかよ」
「もらうならどっち?現金十万円か、宝くじ百万円分」
「そんな選択か。いいじゃん。現金の方が確実だけど十万か…。そんな機会ないから宝くじ百万円分をもらうよ」
「ふーん。では次。周りの人に無視され続けるか、周りの人に馬鹿にされ続ける、どっち?」
「意地悪な質問だな。無視は寂しいし、コミュ力があればなんとかなりそうだから、馬鹿にされ続けるよ」
「では、次。毛深くなるか、頭がハゲになるか」
「ハゲのホストなんかいるかよ。ハゲならワイルドなもじゃもじゃ男になるよ」
そして最後はククが質問する。
「それでは最後の選択です。なるならどっち?知能がチンパンジーになるか、顔がチンパンジーになる」
「小学生がやりそうな質問だな」
「こっちは真面目だ」とツム。
「どっちも嫌だよ。もじゃもじゃで顔までチンパンジーになったら完全な猿じゃないか」
「答えないと戻れないぞ」
「これ、夢だろ?頭がチンパンジーということは『ウッキー』しか言わないのか?」
「チンパンジーはそんな声は出さん」とツム。
「通常の猿の知能は四歳児レベルです」とククが言う。
「四歳児?お客とまともなトークが出来ないな。顔がチンパンジーなら普通に会話が出来るのか。でも顔はホストの命…」
ツムが「どうする?」と聞く。
「優羽が言ってたようにトークで勝負すればいいし、また整形すっか。じゃあ顔がチンパンジーだ」
「そうですか。おまけにもう一つ聞きますが、最後の晩餐に食べるならどっち?母の作った唐揚げか、ファストフードのチーズバーガー」
「チーズバーガーだろ」
「アホな答えだな」とツムが言った。
高村の汗を明智が拭く。
心電図は正常だ。
「一命は取り留めたな」と高村。
「でもどんな顔になるか判りませんね」と明智。
「また医療事故扱いされるかな?」
「出来次第ですね」
眠ったままの顔に包帯が巻かれた瞬汰。
瞬汰は麻酔が抜けると、アパートに帰っていった。
一週間フェイスバンドは被ったままだ。 その間はホストを休み、たまに優羽が来て料理を作っていった。
一週間後、瞬汰は鏡の前でフェイスバンドを外す。「・・・・・・チンパンジーじゃん!!!!」
「夢じゃなかったんだ…」

瞬汰が気付いて取りに行く。
「甲田瞬汰様」とだけ書かれた封筒。
開けると中には宝くじの束が入っていた。数えれば百枚だ。
サングラスにマスク姿の瞬汰が高村整形外科でドアを強く叩く。「おい!ヤブ医者、出て来い!」
中は暗く、誰もいない。
「逃げたな!」
同じくそこにサングラスにマスクの女性が泣きながら現れる。
「私も逃げられました」
ぞろぞろと数人のサングラスやマスクをした女性が現れる。
瞬汰が唖然とする。
外に出るとマスコミの記者とカメラマンが数組集まっていた。
「この病院で手術を受けられた方ですか?被害相談が複数件あるようですが、警察に届けましたか」
瞬汰は彼らの差し出すマイクを無視して走り去っていった。
「やっぱりヤブ医者だったのか…」
夜の公園で優羽が一人、ブランコに乗って瞬汰を待っていた。サングラスにマスク姿の瞬汰がやって来た。
優羽は不審者が近づいて来たので驚いて逃げようとする。
瞬汰が「俺だよ、優羽!」と言う。
「瞬汰?」
瞬汰が頷く。
「どうして顔を隠してるの?」
「整形が失敗した」
「うそ!?見せて」
「驚かないで」
瞬汰がサングラスとマスクを取る。
「チンパン・・・」
「ジーになった」
「ほんとに整形失敗したの??」
「クールダウンすれば良くなるかもしれないけど、三途の川で選ばされたんだ」
「どういうこと?」
「神様が聞くんだ。なるならどっち?って。知能がチンパンジーになるか、顔がチンパンジーになる」
「何それ?」
「神様と言ってもチンパンジーだけど」
「何言ってるの?」
「俺、ホストでやっていけないよな?」
「何がなんだかわからないよ!その胸毛もどうしたの?」
「もう俺はチンパンジーだよ!これでホストなんて笑い者だよな。優羽、これまでお金使わせて悪かった。受け取って」
美羽に封筒を渡す。
「何、これ?」
「神様の慰み」
それは宝くじ100枚だった。
瞬汰は、宝くじだけ渡して去って行った。
今夜もホストクラブ「KIRA」は賑わっている。マスクマン姿の瞬汰が、麻世のヘルプで女性客に付いている。
「この子、プロレスラー?」
「マスク・ド・ホストです」
「こいつ、整形が失敗したんだよ」
「先輩、そこは秘密にって」
女性客が「マスクを脱いで見せて」とねだる。
「いやあ、それは…」
「見せて!」
女性客がマスクを取ろうとする。
瞬汰は「やめろよ!」と本気で抵抗し、女性客の手を強く払う。
麻世が「瞬汰!俺の姫だぞ!」と怒った。
「すみませんでした…」
なおも女性客が「マスク取って!」と言うので渋々瞬汰がマスクを取ると…。
女性客は「きゃあ!」という悲鳴の後、大笑いした。
「ヤバい…チンパンじゃん(笑)」
麻世が「こいつさ、フルーツ大好きなんだよ。頼んであげてよ」と言う。
「いいよ。チンパンにあげるよ」
「姫からフルーツ盛り合わせ、いただきましたー!」とボーイ。
麻世が、「売上になったな(笑)」と瞬汰の肩を叩いた。
瞬汰は、苦笑いで応えた。
「KIRA」のトイレで瞬汰が鏡に映る自分の顔を涙目で見ている。
「もうやっていけないわ」
瞬汰は店を3時に上がり、ファストフードで一人、サングラスを掛け口元を隠しながらチーズバーガーを食べている。 「ただの見世物じゃないか」
そして今夜も公園。
木の枝を見上げる瞬汰。
「最後は盛大な見世物だ」
手にはロープ。
サングラスとマスク姿で枝にロープをかけようとする。
「瞬汰!」
その時、優羽が走ってくる。
「優羽!なんでここに?」
「お店にも家にいなかったから!」
瞬汰がロープをポケットに仕舞う。
「瞬汰から受け取った封筒、すごい数の宝くじだった」
「そうだよ。当たってるか分からないけど」
「それが当たってたの!」
「え!いくら?」
「一千万!」
「まじで?」
「これで整形し直そう!」
「いいのか!?」
「元々瞬汰のものだから」
「ありがとう!!」
「私は…気にしないつもりだったよ。顔が変わっても瞬汰は瞬汰だよ。今の方が性格は昔みたいで好きだけど」
「ありがとう」
瞬汰が優羽を抱きしめる。
「俺、優羽の大切さを忘れていたのかも」
「いいんだよ。私が勝手に気に掛けてただけだから」
優羽が瞬汰の胸に顔を埋める。
アパートでスマホを見ている瞬汰と優羽。見ているのは宝くじサイトの画面。
宝くじの番号とサイトの画面の一千万円の当選番号を照らし合わせる。
「120749…ほんとだ!」
「今度はちゃんとしたところで手術し直そう!」
「ああ」
もう一度宝くじと当選番号の画面を読み上げる。
「第1037回」と瞬汰が宝くじの開催回を読み上げる。
優羽はサイトの開催回を伝える。
「第1036回…」
二人、「……」
「…回が違ったね」と瞬汰。
「そうみたいだね…」と優羽。
無言で見つめ合う二人・・・。
終わり
みんなのリアクション
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
人はいくつかの重要な選択肢を選び続け、今の人格や環境を作り出している。
甲田瞬汰は大学を辞め、ホストの道を選んだ。 それも大きな選択の一つだった。
ホストクラブ「KIRA」では、ナンバー1ホストの麻世にシャンパンタワーが頼まれている。
コールで盛り上げるホストの中に瞬汰はいた。
麻世は姫(女性客)の肩を抱き、シャンパングラスで乾杯した。
瞬汰がテーブルに戻り、神代優羽に言う。
「いいなあ、優羽もシャンパンタワーをやってくれよ」
「そんなお金どこにあるのよ。ここに来るだけでも学生の私には大金なんだからね?」
優羽は瞬汰の大学時代の友人で大学を辞めてからも仲が良かった。
最初の頃は思いを寄せていたが、瞬汰がホストになってから、優羽の中で男友達として定着していた。
「俺がイケメンだったら優羽じゃなくて太客が付いたのにな」
「細客で悪かったわね。あのね、男は顔じゃないから」
「ホストは顔だよ。俺なんかメイクしてこれだぜ?」
「トークが面白ければ付いてくるよ」
「トーク力ってさ、手術出来ないないじゃん。顔は出術出来るんだ。整形しようっと」
「顔はイジんないでよ。若い頃やっちゃうと、年取ってからおかしな顔になるよ?」
「俺がおじさんになった時の顔なんて関係ないだろ」
「なくないよ!」
否定する優羽に瞬汰は驚いた。
優羽は、「年寄りになっても友達なんだからね」と強く言った。
コールで盛り上げるホストの中に瞬汰はいた。
麻世は姫(女性客)の肩を抱き、シャンパングラスで乾杯した。
瞬汰がテーブルに戻り、神代優羽に言う。
「いいなあ、優羽もシャンパンタワーをやってくれよ」
「そんなお金どこにあるのよ。ここに来るだけでも学生の私には大金なんだからね?」
優羽は瞬汰の大学時代の友人で大学を辞めてからも仲が良かった。
最初の頃は思いを寄せていたが、瞬汰がホストになってから、優羽の中で男友達として定着していた。
「俺がイケメンだったら優羽じゃなくて太客が付いたのにな」
「細客で悪かったわね。あのね、男は顔じゃないから」
「ホストは顔だよ。俺なんかメイクしてこれだぜ?」
「トークが面白ければ付いてくるよ」
「トーク力ってさ、手術出来ないないじゃん。顔は出術出来るんだ。整形しようっと」
「顔はイジんないでよ。若い頃やっちゃうと、年取ってからおかしな顔になるよ?」
「俺がおじさんになった時の顔なんて関係ないだろ」
「なくないよ!」
否定する優羽に瞬汰は驚いた。
優羽は、「年寄りになっても友達なんだからね」と強く言った。
瞬汰はこの店では下から数えた方が早い売上だった。
優羽がどんなに整形を否定しようと心の中で手術することは決めているのだ。
優羽がどんなに整形を否定しようと心の中で手術することは決めているのだ。
翌日、瞬汰は予約していた整形外科に向かった。
新大久保で高倉整形外科の看板を見つけた。テレビCMするほど有名な整形外科だ。
診断室に行くと、テレビで見る高倉外科医が瞬汰を待っていた。
「こんにちは」
高倉外科医は優しい笑顔で迎えた。
「今回はどうされたいんですか?」
「ホストをやっていていろいろいじりたいのですが、まず目を二重にして、鼻を高くして、掘りを深くして、頬骨と顎を削りたいです」
「いろいろやりますねぇ。画像でシミュレーションしてみましょう」
十五分待って再び呼ばれた。
「シュミレーションしましたが、二重にして顎と頬骨を削って鼻頬角を調整すると、こんなイメージになります」
画像では、GACKTのように見違える自分がいた。
「いいですね!」
「でも一千万は掛かりますね」
「一千!?そんなお金ないですよ。先生、売掛っていうのは出来ないですか?」
「そんなツケはやっておりません」
肩を落として瞬汰がビルから出て来る。
歩いていると、「高倉整形外科」と似たロゴの「高村整形外科」という看板を見つけた。
瞬汰は気になり予約していないが中に入ってみた。
高村整形外科の受付がすぐに診断室に案内した。
医師の高村と瞬汰が面談する。
高倉整形外科で話したシミュレーションをもう一度高村医師に伝えると、 「二百万ぐらい…でしょうか」
瞬汰は即答で、「やります!」と即答した。
新大久保で高倉整形外科の看板を見つけた。テレビCMするほど有名な整形外科だ。
診断室に行くと、テレビで見る高倉外科医が瞬汰を待っていた。
「こんにちは」
高倉外科医は優しい笑顔で迎えた。
「今回はどうされたいんですか?」
「ホストをやっていていろいろいじりたいのですが、まず目を二重にして、鼻を高くして、掘りを深くして、頬骨と顎を削りたいです」
「いろいろやりますねぇ。画像でシミュレーションしてみましょう」
十五分待って再び呼ばれた。
「シュミレーションしましたが、二重にして顎と頬骨を削って鼻頬角を調整すると、こんなイメージになります」
画像では、GACKTのように見違える自分がいた。
「いいですね!」
「でも一千万は掛かりますね」
「一千!?そんなお金ないですよ。先生、売掛っていうのは出来ないですか?」
「そんなツケはやっておりません」
肩を落として瞬汰がビルから出て来る。
歩いていると、「高倉整形外科」と似たロゴの「高村整形外科」という看板を見つけた。
瞬汰は気になり予約していないが中に入ってみた。
高村整形外科の受付がすぐに診断室に案内した。
医師の高村と瞬汰が面談する。
高倉整形外科で話したシミュレーションをもう一度高村医師に伝えると、 「二百万ぐらい…でしょうか」
瞬汰は即答で、「やります!」と即答した。
ファミレスで瞬汰と優羽が食事をしながら話している。
「整形した後のシミュレーションを見せてもらったけど、大学の友人とは思えないほどイケメンになるぞ」
「そんな安い整形やめなって。瞬汰は疾患もあるでしょ」
「優羽知らないだろ。今整形はかなり安全で、かなり安くなってる。明日早速手術するから」
「え、明日!?」
「迷っていてもしょうがない」
「整形した後のシミュレーションを見せてもらったけど、大学の友人とは思えないほどイケメンになるぞ」
「そんな安い整形やめなって。瞬汰は疾患もあるでしょ」
「優羽知らないだろ。今整形はかなり安全で、かなり安くなってる。明日早速手術するから」
「え、明日!?」
「迷っていてもしょうがない」
翌日。高村整形外科・手術室。
手術台では麻酔で眠っている瞬汰が横たわっていた。
助手の若い医師の明智が顔にメスを入れている。それを高倉が見ている。
「あれ?削りすぎましたかね」と明智。
「ヒアルロン酸、打っとくか」
明智が心電図を見て、 「先生、麻酔が切れそうです」
「増しとこう」
すると心電図の心拍が弱まっていく。
高村が「この患者、心臓疾患がなかったっけ?」と聞く。
明智は「あったかも…」
「おい、麻酔で合併症引き起こしたかもよ?」
「ど、どうします?止まりそうです!」
「胸骨圧迫!」
整形手術なのに明智が瞬汰の胸を圧迫する。
手術台では麻酔で眠っている瞬汰が横たわっていた。
助手の若い医師の明智が顔にメスを入れている。それを高倉が見ている。
「あれ?削りすぎましたかね」と明智。
「ヒアルロン酸、打っとくか」
明智が心電図を見て、 「先生、麻酔が切れそうです」
「増しとこう」
すると心電図の心拍が弱まっていく。
高村が「この患者、心臓疾患がなかったっけ?」と聞く。
明智は「あったかも…」
「おい、麻酔で合併症引き起こしたかもよ?」
「ど、どうします?止まりそうです!」
「胸骨圧迫!」
整形手術なのに明智が瞬汰の胸を圧迫する。
・・・瞬汰が意識を戻す。
浅い川の真ん中に立っていた。
周りを見渡しながら川を渡る瞬汰。
「ここどこ?」
とりあえず向こう岸に渡ろうとする。
向こう岸では、白い毛のチンパンジーの神様ククと道着姿の日本猿の神様ツムが、渡って来る瞬汰を見ている。
浅い川の真ん中に立っていた。
周りを見渡しながら川を渡る瞬汰。
「ここどこ?」
とりあえず向こう岸に渡ろうとする。
向こう岸では、白い毛のチンパンジーの神様ククと道着姿の日本猿の神様ツムが、渡って来る瞬汰を見ている。
ツムが「死亡リストに入っていない人間です」と言う。
「また来たましたか、変わるべき人間が」とクク。
「クク様、この若い者もこれまで選択を何度も間違っています。
また余計な人助けをしますか?」
「ツム、若いのにここを渡らせるのも気の毒でしょう?」
「そうですけど、クク様、楽しんでません?」
ククとツム 瞬汰が、向こう岸に二匹の猿がいることに気付いた。
「そこで止まりなさい」と白いチンパンジーのクク。
瞬汰は「猿が喋った!」と驚く。
「俺はなんで猿の惑星にいるんだよ!」
「わしらは、おまえらの祖先だろ」とツム。
「ここは三途の川です。あの世の入り口です」とクク。
「三途の川?これ夢?」
ククが言う。
「あなたはこれまでいくつかの選択を間違えて、ここに来たのです」
「選択を間違った?」
ツムがノートを読む。
「甲田瞬汰、二十一歳。十五歳で初めて付き合ったギャル風の女子と交際して勉強をせず偏差値の低い高校に入学。十七歳で彼女にフラれ、今度は陸上部のマネージャーを好きになり、走り高跳びに打ち込む」
「合ってる…」と瞬汰。
ツムが続ける。
「陸上はやめたかったが、学費が安いからとスポーツ推薦で京城大学に進学。しかし大学二年生でホストのアルバイトを始め、ハマってしまい、大学を中退。ホストで上位になるために友人の意見も聞かずに整形をするが、ほぼアマチュアの整形外科を選んで失敗」
「整形が失敗?」
ツムが、「失敗して死にそうだから、三途の川にいるんだぞ」
ククは、「いくつかの大きな選択を繰り返して今のあなたが作られました。そして選択を繰り返した結果、今あなたはここにいます」
「じゃあ引き返すよ」 と言った。
「引き返すには、いくつか究極の選択に答えてもらう」と日本猿のツム。
「なんでだよ」
「選択を間違ってきたなら、新しい選択により新しい人生を作り直します」とチンパンジーのククが告げる。
「その選択って何?」
「ツム、問うてあげなさい」
「そうだなあ…」
「今考えるのかよ」
「もらうならどっち?現金十万円か、宝くじ百万円分」
「そんな選択か。いいじゃん。現金の方が確実だけど十万か…。そんな機会ないから宝くじ百万円分をもらうよ」
「ふーん。では次。周りの人に無視され続けるか、周りの人に馬鹿にされ続ける、どっち?」
「意地悪な質問だな。無視は寂しいし、コミュ力があればなんとかなりそうだから、馬鹿にされ続けるよ」
「では、次。毛深くなるか、頭がハゲになるか」
「ハゲのホストなんかいるかよ。ハゲならワイルドなもじゃもじゃ男になるよ」
そして最後はククが質問する。
「それでは最後の選択です。なるならどっち?知能がチンパンジーになるか、顔がチンパンジーになる」
「小学生がやりそうな質問だな」
「こっちは真面目だ」とツム。
「どっちも嫌だよ。もじゃもじゃで顔までチンパンジーになったら完全な猿じゃないか」
「答えないと戻れないぞ」
「これ、夢だろ?頭がチンパンジーということは『ウッキー』しか言わないのか?」
「チンパンジーはそんな声は出さん」とツム。
「通常の猿の知能は四歳児レベルです」とククが言う。
「四歳児?お客とまともなトークが出来ないな。顔がチンパンジーなら普通に会話が出来るのか。でも顔はホストの命…」
ツムが「どうする?」と聞く。
「優羽が言ってたようにトークで勝負すればいいし、また整形すっか。じゃあ顔がチンパンジーだ」
「そうですか。おまけにもう一つ聞きますが、最後の晩餐に食べるならどっち?母の作った唐揚げか、ファストフードのチーズバーガー」
「チーズバーガーだろ」
「アホな答えだな」とツムが言った。
「また来たましたか、変わるべき人間が」とクク。
「クク様、この若い者もこれまで選択を何度も間違っています。
また余計な人助けをしますか?」
「ツム、若いのにここを渡らせるのも気の毒でしょう?」
「そうですけど、クク様、楽しんでません?」
ククとツム 瞬汰が、向こう岸に二匹の猿がいることに気付いた。
「そこで止まりなさい」と白いチンパンジーのクク。
瞬汰は「猿が喋った!」と驚く。
「俺はなんで猿の惑星にいるんだよ!」
「わしらは、おまえらの祖先だろ」とツム。
「ここは三途の川です。あの世の入り口です」とクク。
「三途の川?これ夢?」
ククが言う。
「あなたはこれまでいくつかの選択を間違えて、ここに来たのです」
「選択を間違った?」
ツムがノートを読む。
「甲田瞬汰、二十一歳。十五歳で初めて付き合ったギャル風の女子と交際して勉強をせず偏差値の低い高校に入学。十七歳で彼女にフラれ、今度は陸上部のマネージャーを好きになり、走り高跳びに打ち込む」
「合ってる…」と瞬汰。
ツムが続ける。
「陸上はやめたかったが、学費が安いからとスポーツ推薦で京城大学に進学。しかし大学二年生でホストのアルバイトを始め、ハマってしまい、大学を中退。ホストで上位になるために友人の意見も聞かずに整形をするが、ほぼアマチュアの整形外科を選んで失敗」
「整形が失敗?」
ツムが、「失敗して死にそうだから、三途の川にいるんだぞ」
ククは、「いくつかの大きな選択を繰り返して今のあなたが作られました。そして選択を繰り返した結果、今あなたはここにいます」
「じゃあ引き返すよ」 と言った。
「引き返すには、いくつか究極の選択に答えてもらう」と日本猿のツム。
「なんでだよ」
「選択を間違ってきたなら、新しい選択により新しい人生を作り直します」とチンパンジーのククが告げる。
「その選択って何?」
「ツム、問うてあげなさい」
「そうだなあ…」
「今考えるのかよ」
「もらうならどっち?現金十万円か、宝くじ百万円分」
「そんな選択か。いいじゃん。現金の方が確実だけど十万か…。そんな機会ないから宝くじ百万円分をもらうよ」
「ふーん。では次。周りの人に無視され続けるか、周りの人に馬鹿にされ続ける、どっち?」
「意地悪な質問だな。無視は寂しいし、コミュ力があればなんとかなりそうだから、馬鹿にされ続けるよ」
「では、次。毛深くなるか、頭がハゲになるか」
「ハゲのホストなんかいるかよ。ハゲならワイルドなもじゃもじゃ男になるよ」
そして最後はククが質問する。
「それでは最後の選択です。なるならどっち?知能がチンパンジーになるか、顔がチンパンジーになる」
「小学生がやりそうな質問だな」
「こっちは真面目だ」とツム。
「どっちも嫌だよ。もじゃもじゃで顔までチンパンジーになったら完全な猿じゃないか」
「答えないと戻れないぞ」
「これ、夢だろ?頭がチンパンジーということは『ウッキー』しか言わないのか?」
「チンパンジーはそんな声は出さん」とツム。
「通常の猿の知能は四歳児レベルです」とククが言う。
「四歳児?お客とまともなトークが出来ないな。顔がチンパンジーなら普通に会話が出来るのか。でも顔はホストの命…」
ツムが「どうする?」と聞く。
「優羽が言ってたようにトークで勝負すればいいし、また整形すっか。じゃあ顔がチンパンジーだ」
「そうですか。おまけにもう一つ聞きますが、最後の晩餐に食べるならどっち?母の作った唐揚げか、ファストフードのチーズバーガー」
「チーズバーガーだろ」
「アホな答えだな」とツムが言った。
高村整形外科の手術室。
高村の汗を明智が拭く。
心電図は正常だ。
「一命は取り留めたな」と高村。
「でもどんな顔になるか判りませんね」と明智。
「また医療事故扱いされるかな?」
「出来次第ですね」
眠ったままの顔に包帯が巻かれた瞬汰。
高村の汗を明智が拭く。
心電図は正常だ。
「一命は取り留めたな」と高村。
「でもどんな顔になるか判りませんね」と明智。
「また医療事故扱いされるかな?」
「出来次第ですね」
眠ったままの顔に包帯が巻かれた瞬汰。
瞬汰は麻酔が抜けると、アパートに帰っていった。
一週間フェイスバンドは被ったままだ。
その間はホストを休み、たまに優羽が来て料理を作っていった。
その間はホストを休み、たまに優羽が来て料理を作っていった。
一週間後、瞬汰は鏡の前でフェイスバンドを外す。
「・・・・・・チンパンジーじゃん!!!!」
「夢じゃなかったんだ…」
「・・・・・・チンパンジーじゃん!!!!」
「夢じゃなかったんだ…」
その時、ドアの郵便物入れに何かが入る音がする。
瞬汰が気付いて取りに行く。
「甲田瞬汰様」とだけ書かれた封筒。
開けると中には宝くじの束が入っていた。数えれば百枚だ。
瞬汰が気付いて取りに行く。
「甲田瞬汰様」とだけ書かれた封筒。
開けると中には宝くじの束が入っていた。数えれば百枚だ。
サングラスにマスク姿の瞬汰が高村整形外科でドアを強く叩く。
「おい!ヤブ医者、出て来い!」
中は暗く、誰もいない。
「逃げたな!」
同じくそこにサングラスにマスクの女性が泣きながら現れる。
「私も逃げられました」
ぞろぞろと数人のサングラスやマスクをした女性が現れる。
瞬汰が唖然とする。
外に出るとマスコミの記者とカメラマンが数組集まっていた。
「この病院で手術を受けられた方ですか?被害相談が複数件あるようですが、警察に届けましたか」
瞬汰は彼らの差し出すマイクを無視して走り去っていった。
「やっぱりヤブ医者だったのか…」
「おい!ヤブ医者、出て来い!」
中は暗く、誰もいない。
「逃げたな!」
同じくそこにサングラスにマスクの女性が泣きながら現れる。
「私も逃げられました」
ぞろぞろと数人のサングラスやマスクをした女性が現れる。
瞬汰が唖然とする。
外に出るとマスコミの記者とカメラマンが数組集まっていた。
「この病院で手術を受けられた方ですか?被害相談が複数件あるようですが、警察に届けましたか」
瞬汰は彼らの差し出すマイクを無視して走り去っていった。
「やっぱりヤブ医者だったのか…」
夜の公園で優羽が一人、ブランコに乗って瞬汰を待っていた。
サングラスにマスク姿の瞬汰がやって来た。
優羽は不審者が近づいて来たので驚いて逃げようとする。
瞬汰が「俺だよ、優羽!」と言う。
「瞬汰?」
瞬汰が頷く。
「どうして顔を隠してるの?」
「整形が失敗した」
「うそ!?見せて」
「驚かないで」
瞬汰がサングラスとマスクを取る。
「チンパン・・・」
「ジーになった」
「ほんとに整形失敗したの??」
「クールダウンすれば良くなるかもしれないけど、三途の川で選ばされたんだ」
「どういうこと?」
「神様が聞くんだ。なるならどっち?って。知能がチンパンジーになるか、顔がチンパンジーになる」
「何それ?」
「神様と言ってもチンパンジーだけど」
「何言ってるの?」
「俺、ホストでやっていけないよな?」
「何がなんだかわからないよ!その胸毛もどうしたの?」
「もう俺はチンパンジーだよ!これでホストなんて笑い者だよな。優羽、これまでお金使わせて悪かった。受け取って」
美羽に封筒を渡す。
「何、これ?」
「神様の慰み」
それは宝くじ100枚だった。
瞬汰は、宝くじだけ渡して去って行った。
サングラスにマスク姿の瞬汰がやって来た。
優羽は不審者が近づいて来たので驚いて逃げようとする。
瞬汰が「俺だよ、優羽!」と言う。
「瞬汰?」
瞬汰が頷く。
「どうして顔を隠してるの?」
「整形が失敗した」
「うそ!?見せて」
「驚かないで」
瞬汰がサングラスとマスクを取る。
「チンパン・・・」
「ジーになった」
「ほんとに整形失敗したの??」
「クールダウンすれば良くなるかもしれないけど、三途の川で選ばされたんだ」
「どういうこと?」
「神様が聞くんだ。なるならどっち?って。知能がチンパンジーになるか、顔がチンパンジーになる」
「何それ?」
「神様と言ってもチンパンジーだけど」
「何言ってるの?」
「俺、ホストでやっていけないよな?」
「何がなんだかわからないよ!その胸毛もどうしたの?」
「もう俺はチンパンジーだよ!これでホストなんて笑い者だよな。優羽、これまでお金使わせて悪かった。受け取って」
美羽に封筒を渡す。
「何、これ?」
「神様の慰み」
それは宝くじ100枚だった。
瞬汰は、宝くじだけ渡して去って行った。
今夜もホストクラブ「KIRA」は賑わっている。
マスクマン姿の瞬汰が、麻世のヘルプで女性客に付いている。
「この子、プロレスラー?」
「マスク・ド・ホストです」
「こいつ、整形が失敗したんだよ」
「先輩、そこは秘密にって」
女性客が「マスクを脱いで見せて」とねだる。
「いやあ、それは…」
「見せて!」
女性客がマスクを取ろうとする。
瞬汰は「やめろよ!」と本気で抵抗し、女性客の手を強く払う。
麻世が「瞬汰!俺の姫だぞ!」と怒った。
「すみませんでした…」
なおも女性客が「マスク取って!」と言うので渋々瞬汰がマスクを取ると…。
女性客は「きゃあ!」という悲鳴の後、大笑いした。
「ヤバい…チンパンじゃん(笑)」
麻世が「こいつさ、フルーツ大好きなんだよ。頼んであげてよ」と言う。
「いいよ。チンパンにあげるよ」
「姫からフルーツ盛り合わせ、いただきましたー!」とボーイ。
麻世が、「売上になったな(笑)」と瞬汰の肩を叩いた。
瞬汰は、苦笑いで応えた。
「KIRA」のトイレで瞬汰が鏡に映る自分の顔を涙目で見ている。
「もうやっていけないわ」
マスクマン姿の瞬汰が、麻世のヘルプで女性客に付いている。
「この子、プロレスラー?」
「マスク・ド・ホストです」
「こいつ、整形が失敗したんだよ」
「先輩、そこは秘密にって」
女性客が「マスクを脱いで見せて」とねだる。
「いやあ、それは…」
「見せて!」
女性客がマスクを取ろうとする。
瞬汰は「やめろよ!」と本気で抵抗し、女性客の手を強く払う。
麻世が「瞬汰!俺の姫だぞ!」と怒った。
「すみませんでした…」
なおも女性客が「マスク取って!」と言うので渋々瞬汰がマスクを取ると…。
女性客は「きゃあ!」という悲鳴の後、大笑いした。
「ヤバい…チンパンじゃん(笑)」
麻世が「こいつさ、フルーツ大好きなんだよ。頼んであげてよ」と言う。
「いいよ。チンパンにあげるよ」
「姫からフルーツ盛り合わせ、いただきましたー!」とボーイ。
麻世が、「売上になったな(笑)」と瞬汰の肩を叩いた。
瞬汰は、苦笑いで応えた。
「KIRA」のトイレで瞬汰が鏡に映る自分の顔を涙目で見ている。
「もうやっていけないわ」
瞬汰は店を3時に上がり、ファストフードで一人、サングラスを掛け口元を隠しながらチーズバーガーを食べている。
「ただの見世物じゃないか」
そして今夜も公園。
木の枝を見上げる瞬汰。
「最後は盛大な見世物だ」
手にはロープ。
サングラスとマスク姿で枝にロープをかけようとする。
「瞬汰!」
その時、優羽が走ってくる。
「優羽!なんでここに?」
「お店にも家にいなかったから!」
瞬汰がロープをポケットに仕舞う。
「瞬汰から受け取った封筒、すごい数の宝くじだった」
「そうだよ。当たってるか分からないけど」
「それが当たってたの!」
「え!いくら?」
「一千万!」
「まじで?」
「これで整形し直そう!」
「いいのか!?」
「元々瞬汰のものだから」
「ありがとう!!」
「私は…気にしないつもりだったよ。顔が変わっても瞬汰は瞬汰だよ。今の方が性格は昔みたいで好きだけど」
「ありがとう」
瞬汰が優羽を抱きしめる。
「俺、優羽の大切さを忘れていたのかも」
「いいんだよ。私が勝手に気に掛けてただけだから」
優羽が瞬汰の胸に顔を埋める。
「ただの見世物じゃないか」
そして今夜も公園。
木の枝を見上げる瞬汰。
「最後は盛大な見世物だ」
手にはロープ。
サングラスとマスク姿で枝にロープをかけようとする。
「瞬汰!」
その時、優羽が走ってくる。
「優羽!なんでここに?」
「お店にも家にいなかったから!」
瞬汰がロープをポケットに仕舞う。
「瞬汰から受け取った封筒、すごい数の宝くじだった」
「そうだよ。当たってるか分からないけど」
「それが当たってたの!」
「え!いくら?」
「一千万!」
「まじで?」
「これで整形し直そう!」
「いいのか!?」
「元々瞬汰のものだから」
「ありがとう!!」
「私は…気にしないつもりだったよ。顔が変わっても瞬汰は瞬汰だよ。今の方が性格は昔みたいで好きだけど」
「ありがとう」
瞬汰が優羽を抱きしめる。
「俺、優羽の大切さを忘れていたのかも」
「いいんだよ。私が勝手に気に掛けてただけだから」
優羽が瞬汰の胸に顔を埋める。
アパートでスマホを見ている瞬汰と優羽。
見ているのは宝くじサイトの画面。
宝くじの番号とサイトの画面の一千万円の当選番号を照らし合わせる。
「120749…ほんとだ!」
「今度はちゃんとしたところで手術し直そう!」
「ああ」
もう一度宝くじと当選番号の画面を読み上げる。
「第1037回」と瞬汰が宝くじの開催回を読み上げる。
優羽はサイトの開催回を伝える。
「第1036回…」
二人、「……」
「…回が違ったね」と瞬汰。
「そうみたいだね…」と優羽。
無言で見つめ合う二人・・・。
見ているのは宝くじサイトの画面。
宝くじの番号とサイトの画面の一千万円の当選番号を照らし合わせる。
「120749…ほんとだ!」
「今度はちゃんとしたところで手術し直そう!」
「ああ」
もう一度宝くじと当選番号の画面を読み上げる。
「第1037回」と瞬汰が宝くじの開催回を読み上げる。
優羽はサイトの開催回を伝える。
「第1036回…」
二人、「……」
「…回が違ったね」と瞬汰。
「そうみたいだね…」と優羽。
無言で見つめ合う二人・・・。
終わり