落花流水の情4 The love that flows with the current.
ー/ー ラ・シェットへ続く通りに入ると、田中がスルッと前に出て地下への階段を下りていく。
続いて崇直と紅緒が並んで、降りていく。
耳元で崇直が紅緒に何か囁いてる。
紅緒が嬉しそうに笑って、崇直を見つめ返したかと思ったらいきなり崇直のケツをぶっ叩いた。
「いってぇなぁ」
何やってんだ、あの二人は。
吹き出したら、崇直が煩いと言わんばかりに不貞腐れた顔をして僕を見上げた。
ええっ、笑っちゃまずかったのかよ。
店に入ると、笑顔でギャルソンが迎えてくれ、以前来た時と同じテーブルに案内される。
キッチン寄りの、僕的には一番いい席。
ほぼ正方形のテーブルの一辺に一人ずつ座れるから、ゆったりと食事スペースが取れるのだ。
その奥に崇直、左に田中。
崇直の向かいの席に僕、そして紅緒と案内される。
シェフが跳ね上げ式のカウンターを片手で上げ、出てきた。
今夜の主役である崇直に挨拶をするが。
「あれ、笠神様ですよね」
とおかしなことを聞く。
崇直もいぶかし気に頭を傾げる。
そのままシェフに椅子を引いてもらい、席に着いた。
するとそれを待ってたかのように田中が話し始める。
「シェフも騙されちゃった?」
ん? 直樹とは面識ないよな。
「後ろで髪の毛を束ねただけで、笠神の顔が親友だった直樹に変わるんですよ」
「なるほど。笠神様とは思ったんですが。どこか違う気がしたのはそのせいでしたか」
へー。この人、崇直と直樹の違いが分かるんだ。
珍しいこともあるな。
「俺もさっき見せられて、驚いたのなんの。直樹と笠神を見分けられる奴なら絶対泣いちゃうって」
ええっ、泣くのか? そこは泣くのが正解なのか? そりゃ驚いたけど泣くほどか。
田中もしかして泣くのを堪えて顔が赤かったのか。
「田中くんには、それは嬉しい驚きでしたね」
へぇ。そうなんだ。
田中が照れたように頭を掻きながら、崇直を見てる。
直樹の顔した崇直は、バツが悪そうにシェフと田中の顔に視線を泳がせてるよ。
シェフは二人に微笑むと、またカウンターに戻り今度はワゴンに載せられた何かを運んできた。
「それでは、改めて笠神崇直様。お誕生日おめでとうございます」
そう言ってクローシュを持ち上げると、山盛りのフルーツが乗ったタルトが現れた。
それを見て全員が息を呑む。
美しく飾られたフルーツもさることながら、そのボリュームが凄かったのだ。
「こちら私が誕生日ケーキとしてご用意させていただきましたタルト・オ・フリュイでございます。後ほど、お楽しみくださいね」
そう言われて、珍しく崇直が口ごもる。
「あ、ありがとうございます」
再びクローシュをかぶせ、シェフがワゴンを押して厨房に戻って行った。
それを見送り、紅緒がつぶやいた。
「あの人、崇ちゃんとの違いが分かったんだ……」
だよな。他人で、しかも二回しか会ってないよね彼は。
「うん、シェフだけあって目利きなんだよ」
そう言うと一斉にみんなが僕を見た。
「なんつって、ね……」
え? 田中、笑いをこらえてる顔かそれ。
それとも、またやっちまったのか?
「えっと。何、僕また……」
「グリーンアスパラのムース、一口奴のそら豆ピューレがけでございます」
ギャルソンの声がして、僕と紅緒の間に料理を持った彼の腕が見えた。
紅緒の前にアミューズが置かれると、ほぼ同時に僕らの前にも料理が運ばれてきた。
ギャルソンに感謝。いい仕事してくれるよ、助かった。
「うわぁ、綺麗な緑色」
その声で、僕の失態はどこかに消えて行った。
続いて崇直と紅緒が並んで、降りていく。
耳元で崇直が紅緒に何か囁いてる。
紅緒が嬉しそうに笑って、崇直を見つめ返したかと思ったらいきなり崇直のケツをぶっ叩いた。
「いってぇなぁ」
何やってんだ、あの二人は。
吹き出したら、崇直が煩いと言わんばかりに不貞腐れた顔をして僕を見上げた。
ええっ、笑っちゃまずかったのかよ。
店に入ると、笑顔でギャルソンが迎えてくれ、以前来た時と同じテーブルに案内される。
キッチン寄りの、僕的には一番いい席。
ほぼ正方形のテーブルの一辺に一人ずつ座れるから、ゆったりと食事スペースが取れるのだ。
その奥に崇直、左に田中。
崇直の向かいの席に僕、そして紅緒と案内される。
シェフが跳ね上げ式のカウンターを片手で上げ、出てきた。
今夜の主役である崇直に挨拶をするが。
「あれ、笠神様ですよね」
とおかしなことを聞く。
崇直もいぶかし気に頭を傾げる。
そのままシェフに椅子を引いてもらい、席に着いた。
するとそれを待ってたかのように田中が話し始める。
「シェフも騙されちゃった?」
ん? 直樹とは面識ないよな。
「後ろで髪の毛を束ねただけで、笠神の顔が親友だった直樹に変わるんですよ」
「なるほど。笠神様とは思ったんですが。どこか違う気がしたのはそのせいでしたか」
へー。この人、崇直と直樹の違いが分かるんだ。
珍しいこともあるな。
「俺もさっき見せられて、驚いたのなんの。直樹と笠神を見分けられる奴なら絶対泣いちゃうって」
ええっ、泣くのか? そこは泣くのが正解なのか? そりゃ驚いたけど泣くほどか。
田中もしかして泣くのを堪えて顔が赤かったのか。
「田中くんには、それは嬉しい驚きでしたね」
へぇ。そうなんだ。
田中が照れたように頭を掻きながら、崇直を見てる。
直樹の顔した崇直は、バツが悪そうにシェフと田中の顔に視線を泳がせてるよ。
シェフは二人に微笑むと、またカウンターに戻り今度はワゴンに載せられた何かを運んできた。
「それでは、改めて笠神崇直様。お誕生日おめでとうございます」
そう言ってクローシュを持ち上げると、山盛りのフルーツが乗ったタルトが現れた。
それを見て全員が息を呑む。
美しく飾られたフルーツもさることながら、そのボリュームが凄かったのだ。
「こちら私が誕生日ケーキとしてご用意させていただきましたタルト・オ・フリュイでございます。後ほど、お楽しみくださいね」
そう言われて、珍しく崇直が口ごもる。
「あ、ありがとうございます」
再びクローシュをかぶせ、シェフがワゴンを押して厨房に戻って行った。
それを見送り、紅緒がつぶやいた。
「あの人、崇ちゃんとの違いが分かったんだ……」
だよな。他人で、しかも二回しか会ってないよね彼は。
「うん、シェフだけあって目利きなんだよ」
そう言うと一斉にみんなが僕を見た。
「なんつって、ね……」
え? 田中、笑いをこらえてる顔かそれ。
それとも、またやっちまったのか?
「えっと。何、僕また……」
「グリーンアスパラのムース、一口奴のそら豆ピューレがけでございます」
ギャルソンの声がして、僕と紅緒の間に料理を持った彼の腕が見えた。
紅緒の前にアミューズが置かれると、ほぼ同時に僕らの前にも料理が運ばれてきた。
ギャルソンに感謝。いい仕事してくれるよ、助かった。
「うわぁ、綺麗な緑色」
その声で、僕の失態はどこかに消えて行った。
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