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12話 昨日のお礼

ー/ー




 祭りで部署ごとに分かれて店を出すというのはエレとゼロの中では決定事項になっているみたい。それをまずは知らせなければと地図を見ながら一枚一枚何も決まっていないに等しいお知らせを手書きで書いている。書き終わると、転送魔法で送るを繰り返している。

 連絡魔法具がないから主様に頼むという考えにはならないみたい。僕に連絡して欲しいと頼めばそのくらいするのに、なぜか頼まれたのは手書きで書くのを手伝っての方。

 エレは字を書くのが苦手だからと言う理由で、必要かどうか分からない可愛い花の絵を一枚一枚丁寧に描くのを担当している。

 その作業を一時間くらいして全部の宮に送った。

 転送魔法もどこに転送するのか分からないエレは使ってない。一番何もしていないけど、一番疲れている。

「お外で気分転換するの」

 エレがそう言って立ち上がった。直ぐには歩かず、両手を上げて伸びをしている。

「お疲れ様」

「疲れたならエレの俺だから俺が抱っこで外連れてってやる。俺のエレだから断んないよな? 」

「楽できるならお断りする理由なんてないの」

 エレの俺と俺のエレに関しては完全無視。これ多分日常化している。

 ゼロがエレを抱っこして部屋を出る。僕はそれを追いかける。

 追いかけている途中、デューゼとルノが掃除をしているのを発見。

「ふにゃ⁉︎ お疲れ様なの。エレは少しお外へ行ってくるの」

「おお、気ぃつけてな」

「エレ、庭の掃除した方が良い? 」

「そこはエレ達でがんばるから大丈夫なの」

 花の手入れもしないといけないから慣れていないデューゼとルノに任せられないが半分、二人の負担を増やしたくないが半分なのかな。

「お掃除もしなくて良いの。エレとゼロを愛ていれば良いの。エレとゼロはお気になさらず、自分達のお仕事に専念してくれて良いの」

 ギュゼルの方の仕事は主様から何か頼まれない限りない。今は正式に双子宮勤務で、ギュゼルの仕事がないと仕事なんて何もないって知っているのかな。

 ゼロはここの組織構造とか詳しそうだから知ってそうなんだけど。

「自分達の仕事が今これ」

「なら家具の設置手伝って。エレは非力すぎて何もできないから、俺一人やだ」

 そこはできないじゃないのかな。

 今日家具が届くから、手伝ってくれると助かるけど……僕も手伝うのになんで数入れてくれてないの? フィルは魔法具製作で忙しくて手伝えないかもしれないけど、僕は手伝えるよ?

「おお」

「やった。これで二人人出手に入れた。三人なら少し早い」

 だから僕も手伝うって。でも、なんか自分から言うより、僕もゼロに頼まれたい。

「そんな事今は良いからお外行くのー。お花見なの」

「そうだったな。悪い。デューゼにぃ、ルノ、また後で」

 話終わった。エレが催促してくるなら自分で言えば良かった。

 また家具は届いてないから、後で言おうかな。それとも、ゼロに頼まれるの待とうかな。

      **********

 デューゼとルノとは一旦別れて、外に出てきた。ゼロがエレを降ろして花畑の方へ行く。

 エレは門の方に向かっているからそっちに着いて行く。

「……まだ届いてないの」

 家具が届いたか確認したかったのかな。届いてないと知ると残念そうに外を見つめていた。

 ここから見える限りでは、魔の森の方に魔物はいない。双子宮が比較安全な場所にあるからという理由なだけだろうけど。

「……ぷにゅ? ねぇ、門開かないのにどうやってお荷物配達するの? ここの配達一人って聞くから、一人でがんばってよじ登ってもらう? 」

 その前に一人でどうやって大量の家具を持ってくるのかって部分は疑問に思わないのかな。家具とかの重い荷物は一人で運ばないよ。

 あと、門が開かないのはゼロがエレに開けさせないように細工してあるから。多分ゼロは開けられる。

 知らずに不思議がるエレの姿が可愛いから黙っているけど。

 僕が黙っているから、エレはきょとんと首を傾げて考えている。

 エレがよじ登れるかなとか小声で言って門をよじ登ろうとしているから抱っこして止める。

 エレを花畑に連れて行こうとすると、魔の森の奥の方から複数人の人影が見えた。人影は双子宮の方へ近づいてくる。

「昨日はありがとうございます。ベレンジェア様、双子姫様」

 人影はフュリーナ達。見回りついでにきたんだろう。

「……ちゃんと見るととってもきれいなの。昨日はお急ぎでちゃんと挨拶できなくてごめんなさいなの。エレはエレなの。もう一人一緒にいたのはゼロなの。気軽に呼んで欲しいの」

 エレが僕を見てにやっと笑みを浮かべる。何をするかと思うと違いの頬が当たるくらい顔を近づける。

「エレはフォルの恋人なの」

 と、さらっととんでも発言。

 黄金蝶としての訓練の日々のおかげか、動揺は見せず、いつも通りの笑顔で

「エレ、変な事言わない。好きと恋人は違うんだよ」

 と優しく言う。

 こんなとこで恋人とか言うなと思いながら。

 フュリーナ達は、微笑ましいものを見ているかのようにくすくすと笑っている。

 エレは見た目だけは子供だから、子供が意味をちゃんと理解せずに言っているだけだと思っているんだろうか。

 それはそれで助かる。

「フュリーナとリーグは見回り? クリーとミュンティンはなんで一緒? 」

「見回りついでに双子宮へお礼に行くと伺ったので、愛らしいお姫様を眺めましょうかと」

 クリーとミュンティンはエレとゼロが主宮へいた時に何度か会っている。その頃からミュンティンはエレを愛らしいからと甘やかしまくって、甘えている姿を眺めて楽しんでいた。

 今回もそれかな。クリーの方はミィンティンの付き添いという口実をつけてフュリーナの護衛だろう。

「おねぇちゃん達、あれから大丈夫だった? エレがもっと安全な場所紹介しても良いの。双子宮はエレの結界があるから安全なの。おねぇちゃん達なら大歓迎」

「ありがとうございます。ですが、軍部に配属されたばかりなので、すぐに異動するわけにはいきません。それに、今は特に……」

「大丈夫だと思うよ。主様がバランス良く異動命令をだすだろうから。配属すぐっていうのも気にしないで良いでしょ」

「一日で異動を十回くらい繰り返した猛者がそう言ってるの」

 なんで知ってんの。

 エレの情報所持量は侮れない。

「ギュゼルに入れてくださるのであれば歓迎ですわ。なんて言っても、入れてはくれないでしょうけど」

「……生態調査と双子姫の世話、その他の仕事は危険度が少なければで良いなら」

 ミュンティンは前のあの辺境の宮にいる時までギュゼルに入りたいと何度も連絡してきていたんだ。最近は危険な仕事は少ないというのもあるけど、この条件でならエレとゼロが喜ぶというメリットの方が大きいから加入を考える。

 祭りの件で人手が足りないというのも少しはあるけど。

「よろしいですわ。でしたら、ここにいる四名をギュゼルに加入させてくださいませ」

「えぇ⁉︎ ミュン、私は」

「……ギュゼルってなんですか? 」

 そもそも知らないリーグに、軍部を抜けるという選択を取れないフュリーナ。クリーは何も言ってない。反対ではなさそう。

「よろしいではないですか。こんな愛らしいお姫様を毎日眺められて、上層部へ媚びへつらい役職というしがらみから抜け出せるのですから。それに、軍部にいるよりもこちらの方がよろしいはず。そちらのお姫様はあなたが維持を手伝っている結界魔法の大元を担う方ですわ」

「えっ⁉︎ ギュリエンを包むあの結界魔法をこんな幼い女の子が十年以上……えっ? 」

 それはそうなるだろうね。見た目どう見ても五、六歳だから。

「エレは十六だよ」

「そ、そうだったんですか⁉︎ 失礼しました」

「……エレが自分からこの姿でいるから気にしないの。フュリねぇは、ギュリエンを守りたいなら、ここにいても叶うの。ギュゼルの双子姫も、他の人達にはできない守護を担っているから」


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 祭りで部署ごとに分かれて店を出すというのはエレとゼロの中では決定事項になっているみたい。それをまずは知らせなければと地図を見ながら一枚一枚何も決まっていないに等しいお知らせを手書きで書いている。書き終わると、転送魔法で送るを繰り返している。
 連絡魔法具がないから主様に頼むという考えにはならないみたい。僕に連絡して欲しいと頼めばそのくらいするのに、なぜか頼まれたのは手書きで書くのを手伝っての方。
 エレは字を書くのが苦手だからと言う理由で、必要かどうか分からない可愛い花の絵を一枚一枚丁寧に描くのを担当している。
 その作業を一時間くらいして全部の宮に送った。
 転送魔法もどこに転送するのか分からないエレは使ってない。一番何もしていないけど、一番疲れている。
「お外で気分転換するの」
 エレがそう言って立ち上がった。直ぐには歩かず、両手を上げて伸びをしている。
「お疲れ様」
「疲れたならエレの俺だから俺が抱っこで外連れてってやる。俺のエレだから断んないよな? 」
「楽できるならお断りする理由なんてないの」
 エレの俺と俺のエレに関しては完全無視。これ多分日常化している。
 ゼロがエレを抱っこして部屋を出る。僕はそれを追いかける。
 追いかけている途中、デューゼとルノが掃除をしているのを発見。
「ふにゃ⁉︎ お疲れ様なの。エレは少しお外へ行ってくるの」
「おお、気ぃつけてな」
「エレ、庭の掃除した方が良い? 」
「そこはエレ達でがんばるから大丈夫なの」
 花の手入れもしないといけないから慣れていないデューゼとルノに任せられないが半分、二人の負担を増やしたくないが半分なのかな。
「お掃除もしなくて良いの。エレとゼロを愛ていれば良いの。エレとゼロはお気になさらず、自分達のお仕事に専念してくれて良いの」
 ギュゼルの方の仕事は主様から何か頼まれない限りない。今は正式に双子宮勤務で、ギュゼルの仕事がないと仕事なんて何もないって知っているのかな。
 ゼロはここの組織構造とか詳しそうだから知ってそうなんだけど。
「自分達の仕事が今これ」
「なら家具の設置手伝って。エレは非力すぎて何もできないから、俺一人やだ」
 そこはできないじゃないのかな。
 今日家具が届くから、手伝ってくれると助かるけど……僕も手伝うのになんで数入れてくれてないの? フィルは魔法具製作で忙しくて手伝えないかもしれないけど、僕は手伝えるよ?
「おお」
「やった。これで二人人出手に入れた。三人なら少し早い」
 だから僕も手伝うって。でも、なんか自分から言うより、僕もゼロに頼まれたい。
「そんな事今は良いからお外行くのー。お花見なの」
「そうだったな。悪い。デューゼにぃ、ルノ、また後で」
 話終わった。エレが催促してくるなら自分で言えば良かった。
 また家具は届いてないから、後で言おうかな。それとも、ゼロに頼まれるの待とうかな。
      **********
 デューゼとルノとは一旦別れて、外に出てきた。ゼロがエレを降ろして花畑の方へ行く。
 エレは門の方に向かっているからそっちに着いて行く。
「……まだ届いてないの」
 家具が届いたか確認したかったのかな。届いてないと知ると残念そうに外を見つめていた。
 ここから見える限りでは、魔の森の方に魔物はいない。双子宮が比較安全な場所にあるからという理由なだけだろうけど。
「……ぷにゅ? ねぇ、門開かないのにどうやってお荷物配達するの? ここの配達一人って聞くから、一人でがんばってよじ登ってもらう? 」
 その前に一人でどうやって大量の家具を持ってくるのかって部分は疑問に思わないのかな。家具とかの重い荷物は一人で運ばないよ。
 あと、門が開かないのはゼロがエレに開けさせないように細工してあるから。多分ゼロは開けられる。
 知らずに不思議がるエレの姿が可愛いから黙っているけど。
 僕が黙っているから、エレはきょとんと首を傾げて考えている。
 エレがよじ登れるかなとか小声で言って門をよじ登ろうとしているから抱っこして止める。
 エレを花畑に連れて行こうとすると、魔の森の奥の方から複数人の人影が見えた。人影は双子宮の方へ近づいてくる。
「昨日はありがとうございます。ベレンジェア様、双子姫様」
 人影はフュリーナ達。見回りついでにきたんだろう。
「……ちゃんと見るととってもきれいなの。昨日はお急ぎでちゃんと挨拶できなくてごめんなさいなの。エレはエレなの。もう一人一緒にいたのはゼロなの。気軽に呼んで欲しいの」
 エレが僕を見てにやっと笑みを浮かべる。何をするかと思うと違いの頬が当たるくらい顔を近づける。
「エレはフォルの恋人なの」
 と、さらっととんでも発言。
 黄金蝶としての訓練の日々のおかげか、動揺は見せず、いつも通りの笑顔で
「エレ、変な事言わない。好きと恋人は違うんだよ」
 と優しく言う。
 こんなとこで恋人とか言うなと思いながら。
 フュリーナ達は、微笑ましいものを見ているかのようにくすくすと笑っている。
 エレは見た目だけは子供だから、子供が意味をちゃんと理解せずに言っているだけだと思っているんだろうか。
 それはそれで助かる。
「フュリーナとリーグは見回り? クリーとミュンティンはなんで一緒? 」
「見回りついでに双子宮へお礼に行くと伺ったので、愛らしいお姫様を眺めましょうかと」
 クリーとミュンティンはエレとゼロが主宮へいた時に何度か会っている。その頃からミュンティンはエレを愛らしいからと甘やかしまくって、甘えている姿を眺めて楽しんでいた。
 今回もそれかな。クリーの方はミィンティンの付き添いという口実をつけてフュリーナの護衛だろう。
「おねぇちゃん達、あれから大丈夫だった? エレがもっと安全な場所紹介しても良いの。双子宮はエレの結界があるから安全なの。おねぇちゃん達なら大歓迎」
「ありがとうございます。ですが、軍部に配属されたばかりなので、すぐに異動するわけにはいきません。それに、今は特に……」
「大丈夫だと思うよ。主様がバランス良く異動命令をだすだろうから。配属すぐっていうのも気にしないで良いでしょ」
「一日で異動を十回くらい繰り返した猛者がそう言ってるの」
 なんで知ってんの。
 エレの情報所持量は侮れない。
「ギュゼルに入れてくださるのであれば歓迎ですわ。なんて言っても、入れてはくれないでしょうけど」
「……生態調査と双子姫の世話、その他の仕事は危険度が少なければで良いなら」
 ミュンティンは前のあの辺境の宮にいる時までギュゼルに入りたいと何度も連絡してきていたんだ。最近は危険な仕事は少ないというのもあるけど、この条件でならエレとゼロが喜ぶというメリットの方が大きいから加入を考える。
 祭りの件で人手が足りないというのも少しはあるけど。
「よろしいですわ。でしたら、ここにいる四名をギュゼルに加入させてくださいませ」
「えぇ⁉︎ ミュン、私は」
「……ギュゼルってなんですか? 」
 そもそも知らないリーグに、軍部を抜けるという選択を取れないフュリーナ。クリーは何も言ってない。反対ではなさそう。
「よろしいではないですか。こんな愛らしいお姫様を毎日眺められて、上層部へ媚びへつらい役職というしがらみから抜け出せるのですから。それに、軍部にいるよりもこちらの方がよろしいはず。そちらのお姫様はあなたが維持を手伝っている結界魔法の大元を担う方ですわ」
「えっ⁉︎ ギュリエンを包むあの結界魔法をこんな幼い女の子が十年以上……えっ? 」
 それはそうなるだろうね。見た目どう見ても五、六歳だから。
「エレは十六だよ」
「そ、そうだったんですか⁉︎ 失礼しました」
「……エレが自分からこの姿でいるから気にしないの。フュリねぇは、ギュリエンを守りたいなら、ここにいても叶うの。ギュゼルの双子姫も、他の人達にはできない守護を担っているから」