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かくして、物語は巡る

ー/ー



「もう、頭を上げても平気ですよ」

 アルツに言われて、ストゥルテは恐る恐る頭を上げる。
 がらんどうの洞窟があった。
 壁画も、松明も、朱塗りの門も、もうどこにもない。

「御山は閉ざされました。この先、二度と開かれることはないでしょう」
「……わたしたちは、呪われたかな」
「祝福であると、考えましょう。山神さまは、それほど無慈悲ではありませんよ」

 洞窟から外に出れば、そこは草原であった。
 二人は手をつないで草原を歩く。
 春と潮のにおいがした。

「ああ」

 アルツはほんのりと、手を握る力を強めた。
 春の宵のような声が落とされる。

「イヌダシオンの集落だ」


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「もう、頭を上げても平気ですよ」
 アルツに言われて、ストゥルテは恐る恐る頭を上げる。
 がらんどうの洞窟があった。
 壁画も、松明も、朱塗りの門も、もうどこにもない。
「御山は閉ざされました。この先、二度と開かれることはないでしょう」
「……わたしたちは、呪われたかな」
「祝福であると、考えましょう。山神さまは、それほど無慈悲ではありませんよ」
 洞窟から外に出れば、そこは草原であった。
 二人は手をつないで草原を歩く。
 春と潮のにおいがした。
「ああ」
 アルツはほんのりと、手を握る力を強めた。
 春の宵のような声が落とされる。
「イヌダシオンの集落だ」