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@ 37話 postscript

ー/ー





「タイムトンネルの『た』、ようちえんの『え』、ガトーショコラの『が』、としょかんの『か』、それと『き』と『す』……」


 アナグラム、『ある言葉や単語の文字を並び替えることによって、別の意味を持つ言葉や単語を作る言葉遊び』


 


「簡単だろ?」


「そうね、簡単すぎるわ、ね?!」


「答えは?」


「わざわざ聞くの?」


「返事は聞きたいよね」


 真一の言葉に少し考え込むように人差し指を唇に当てる天恵。その表情は至って真剣だ。まだ日は顔を出したばかりだが、冬の一時間は流れが早い。朝靄が消える頃にはこの問題を晴らすべきなのだろうか? そんな空に向かって天恵が呟いた。


 


高須賀駅(たかすがえき)って神奈川県辺りになかったっけ?」


「え~……無いよそんな駅」


「真一が知らないだけでしょ?!」


「認知のない解は正解じゃない、だったっよね?」


「……じゃあ……」


 再び唇に指を当てる天恵。真面目に考えているのか不安にさせるイタズラな微笑みを向けてくる。


 


「えきかがす」


「『た』がないよね……」


 ノンロジカルな返答は真一を不安にさせる。


 


「きがえかたす……」


「ん?」


「着替え片してきまーす」


「ちょっ……本当に分かったのー?? ねぇぇ? 本当に行かないでよ、待って……」


 真一の言葉に天恵が立ち止まる。朝日を背に振り返った天恵のシルエットを中心に、丸く虹色に光っているように見えた。乾いた冬空に起きたこの現象……真一にはそれが天の恵み、奇跡の日暈(ハロ)に思えた。


 それは正に1/fのゆらぎ……。


 


「……綺麗だ……」


 真一からすればこの奇跡だって、単純すぎるほどの想いが見せた現象、それでもピタゴラスイッチの過程を踏まえない結果は感動を呼ぶ。


 見惚れる真一に照れた天恵は真一に告げる。その表情は背負った太陽が隠してくれていることを知っている。


 


「だって……恋愛はこのまま(・・・・)ピタゴラスイッチのように簡単に連鎖していったらつまらないじゃない、でしょ?」


 


 


                     2025.5.6    終 




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「タイムトンネルの『た』、ようちえんの『え』、ガトーショコラの『が』、としょかんの『か』、それと『き』と『す』……」
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「簡単だろ?」
「そうね、簡単すぎるわ、ね?!」
「答えは?」
「わざわざ聞くの?」
「返事は聞きたいよね」
 真一の言葉に少し考え込むように人差し指を唇に当てる天恵。その表情は至って真剣だ。まだ日は顔を出したばかりだが、冬の一時間は流れが早い。朝靄が消える頃にはこの問題を晴らすべきなのだろうか? そんな空に向かって天恵が呟いた。
「|高須賀駅《たかすがえき》って神奈川県辺りになかったっけ?」
「え~……無いよそんな駅」
「真一が知らないだけでしょ?!」
「認知のない解は正解じゃない、だったっよね?」
「……じゃあ……」
 再び唇に指を当てる天恵。真面目に考えているのか不安にさせるイタズラな微笑みを向けてくる。
「えきかがす」
「『た』がないよね……」
 ノンロジカルな返答は真一を不安にさせる。
「きがえかたす……」
「ん?」
「着替え片してきまーす」
「ちょっ……本当に分かったのー?? ねぇぇ? 本当に行かないでよ、待って……」
 真一の言葉に天恵が立ち止まる。朝日を背に振り返った天恵のシルエットを中心に、丸く虹色に光っているように見えた。乾いた冬空に起きたこの現象……真一にはそれが天の恵み、奇跡の|日暈《ハロ》に思えた。
 それは正に1/fのゆらぎ……。
「……綺麗だ……」
 真一からすればこの奇跡だって、単純すぎるほどの想いが見せた現象、それでもピタゴラスイッチの過程を踏まえない結果は感動を呼ぶ。
 見惚れる真一に照れた天恵は真一に告げる。その表情は背負った太陽が隠してくれていることを知っている。
「だって……恋愛は|このまま《・・・・》ピタゴラスイッチのように簡単に連鎖していったらつまらないじゃない、でしょ?」
                     2025.5.6    終