@ 36話
ー/ー
「よく、わかんないけど、さ……」
彼はこの店員の右腕を盗み見た。
「おじさん、昔の悪いことはもう、なんかいいのかなぁ~なんて……」
おっ?! 酔っぱらいがかなりトーンダウンしたぞ? 夏陽は思う。
「君の話聞いてたら……君がしたことも悪いことだけど、おじさんがしたことも昔のことだから良いって訳じゃなないってこと、だよな? な?」
おいおい、さすが酔っぱらい、痛み分けに持ち込んだ。思わず吹き出して笑ってしまった。夏陽の笑い声は真夏の太陽のように店内いっぱいに降り注ぎ、他のお客も顔を綻ばせる。ようやくあたりの空気感に気付いた酔っぱらいどもは退散に入った。
「……なんか……疲れたな……」
「部長、帰りましょっか……」
「そうだな」
「邪魔したな、あんちゃん……」
「……ありがとうございました」
後に残った夏陽はレジの店員と目が合う。彼の方も彼女が笑ったきっかけで、酔っぱらいたちが退散したことを理解している。だからそれは必然としてレジでの会話が生まれた。
「あの、ありがとうございました」
「嫌ですよね、酔っぱらい」
「そうですね」
「でも良く酔っぱらいに理屈で勝負しようと思いましたね? 私ならそうしないな~」
「ターゲットから言い返されたら酔っぱらいは逆上しただろうけどね」
「誰それ構わず絡むタイプもいるじゃないですか?」
「そこはほら、レジを替わったときに確認済みさ。それにああいう部長は自己顕示欲の塊みたいだったから、周囲の反応を下げれば、部長も消沈するかもと考えた」
中々に冷静で周囲への観察も行き届いている、と夏陽は感心した。
「じゃあ、なんで年齢とか、住所を言い当てたんですか?」
「それは会計で使ったポイントカードが、ビデオレンタル等でも使用できるポイントカードだから住所などの身元保証の情報もレジで開けるんですよ。だから」
抜け目もなくロジカル構築された言動。
「なるほど……で、どっちのノリの方がいいんですか?」
「バイトテロの『迷惑行為』と飲酒運転の『危険行為』。直ちに第三者を傷つける恐れのあるのは明らかだ。それにあの部長を見ていると、自分の時代にはできなかった遊びで注目浴びてる奴らと張り合ってる痛いおじさんに見えるけどね」
「あなた、朝いつもジョギングしてる人でしょ?!」
「僕も朝走っているあなたを見て、知っていたさ」
もちろん蓮水は分かっていた。だからこのタイミングで言葉遣いを変えた。
「ね、未成年ってことは高校生? 私は1年。学校はすぐそこ」
「帝花高校1学年ってことは宮東たちと同じかい? 僕は蓮水平地、奉行高校1年」
日本のトップ高校と言われている奉行高校?! 真一のお墨付きはきっと彼のことだ……決めた!
「私は飛田夏陽。『優秀な遺伝子を残す』ことが私の使命……」
「その使命……興味深いね……」
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彼はこの店員の右腕を盗み見た。
「おじさん、昔の悪いことはもう、なんかいいのかなぁ~なんて……」
おっ?! 酔っぱらいがかなりトーンダウンしたぞ? 夏陽は思う。
「君の話聞いてたら……君がしたことも悪いことだけど、おじさんがしたことも昔のことだから良いって訳じゃなないってこと、だよな? な?」
おいおい、さすが酔っぱらい、痛み分けに持ち込んだ。思わず吹き出して笑ってしまった。夏陽の笑い声は真夏の太陽のように店内いっぱいに降り注ぎ、他のお客も顔を綻ばせる。ようやくあたりの空気感に気付いた酔っぱらいどもは退散に入った。
「……なんか……疲れたな……」
「部長、帰りましょっか……」
「そうだな」
「邪魔したな、あんちゃん……」
「……ありがとうございました」
後に残った夏陽はレジの店員と目が合う。彼の方も彼女が笑ったきっかけで、酔っぱらいたちが退散したことを理解している。だからそれは必然としてレジでの会話が生まれた。
「あの、ありがとうございました」
「嫌ですよね、酔っぱらい」
「そうですね」
「でも良く酔っぱらいに理屈で勝負しようと思いましたね? 私ならそうしないな~」
「ターゲットから言い返されたら酔っぱらいは逆上しただろうけどね」
「誰それ構わず絡むタイプもいるじゃないですか?」
「そこはほら、レジを替わったときに確認済みさ。それにああいう部長は自己顕示欲の塊みたいだったから、周囲の反応を下げれば、部長も消沈するかもと考えた」
中々に冷静で周囲への観察も行き届いている、と夏陽は感心した。
「じゃあ、なんで年齢とか、住所を言い当てたんですか?」
「それは会計で使ったポイントカードが、ビデオレンタル等でも使用できるポイントカードだから住所などの身元保証の情報もレジで開けるんですよ。だから」
抜け目もなくロジカル構築された言動。
「なるほど……で、どっちのノリの方がいいんですか?」
「バイトテロの『迷惑行為』と飲酒運転の『危険行為』。直ちに第三者を傷つける恐れのあるのは明らかだ。それにあの部長を見ていると、自分の時代にはできなかった遊びで注目浴びてる奴らと張り合ってる痛いおじさんに見えるけどね」
「あなた、朝いつもジョギングしてる人でしょ?!」
「僕も朝走っているあなたを見て、知っていたさ」
もちろん蓮水は分かっていた。だからこのタイミングで言葉遣いを変えた。
「ね、未成年ってことは高校生? 私は1年。学校はすぐそこ」
「帝花高校1学年ってことは宮東たちと同じかい? 僕は蓮水平地、奉行高校1年」
日本のトップ高校と言われている奉行高校?! 真一のお墨付きはきっと彼のことだ……決めた!
「私は飛田夏陽。『優秀な遺伝子を残す』ことが私の使命……」
「その使命……興味深いね……」