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心と体、繋ぐもの ―3―

ー/ー



「心と体を繋ぐもの。それが何なのか、あなたたちは考えたことある?」

 メモリアが問う。返事は帰ってこない。元より、ヨナたちにそんな余裕は残されていない。1秒、一瞬たりとも気を抜くことは許されない。メモリアの一挙手一投足が死に繋がりうる。ヨナたちはそれを目の前で目撃している。


(メモリア先輩に容赦はない……このままでは、私とヴァンチャットも……)

「ねぇ、聞いてる? 質問してるんだけど」


 ヨナの思考を遮るようにメモリアが口を開いた。その拍子に、ヨナの身体がビクンと跳ね上がる。逃げる、という選択肢がないことはとうに理解していた。メモリアを撃退するか、全員まとめて氷漬けにされるか、2つに1つしか残されていない。

 そして、ヨナたちは既に失敗している。


「あなたたち4人の中で、私を倒せる可能性があったのはレオノールだけ。けど、残念なことにレオノールじゃあ私は倒せなかった」


 残された道は1つしかない。


「気の毒だけど、私たちの計画にとって、ソフィアは邪魔な存在なの。抵抗するならしてもいいけど――」


 季節外れの吹雪が吹き荒れる。月明かりもない闇の中、刺すような冷気が肌を撫でる。凪ぐような、しんと静まり返った夜はもうどこにもなかった。一筋の光もない。


「…………()ですよ」


 けれど決して、絶望などには負けはしない。


「心と体を繋ぐもの、それは愛です。メモリア先輩」


 倒れていたソフィアが立ち上がる。凍てつき、旨が締め付けられるような激しい痛みをしかと噛み締めながら、ソフィアは立ち上がった。
 死の刻限。ソフィアの心臓に突き刺さった氷は今もじわじわとその生命を犯している。だというのに、メモリアはなぜ立ち上がることができるのか。それは、ヨナはおろか、メモリアにすら理解できなかった。
 立ち上がれた理由など、ただの痩せ我慢に他ならないが、あえてそれ以外の理由を挙げるならば、それはソフィアのこれまでのすべての積み重ねだろう。人間兵器として育てられた毎日、培われた実力、想い人への愛。そのすべてが、ソフィアの身体を突き動かす。


「……死ぬよ、ソフィア。やめておいた方がいい」

「優しいんですね。でも結構です」


 そして、ソフィアは微笑みながら言う。


「私たちは前に進みます。貴女を倒して」

「無理だよ。ソフィアじゃ、私を倒せるわけがない」

「やってみなくちゃ、わからないじゃないですか」

「……もう結果は出たでしょ」

「でも、私は立ってます」


 ソフィアは飢えている。それは、レオノールのような、闘争への飢えではなく、飢餓としての飢えでもない。


「愛が、愛だけが、愛こそが、愛ゆえに! 私は戦う!」


 満たされない。満たされない。満たされない。
 何をやっても渇くばかりのその心は飢えている。ソフィアの願いはただ1つ。それが叶うまで、ソフィアの心は渇いたままだ。何ひとつだって満たされていない。何ひとつだって叶っていない。だから、どれだけ痛くても、どれだけ辛くても、倒れそうでも、死にそうでも、ソフィアは立ち上がる。


「ヴェローニカと話がしたい。旭の記憶も取り戻す。貴女の計画も阻んでみせる。そして――」


 愛する少女が、叫びをあげる。


「モニカと、仲直りするんだ!」

「そんなの……1つも叶わないよ!」


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「心と体を繋ぐもの。それが何なのか、あなたたちは考えたことある?」
 メモリアが問う。返事は帰ってこない。元より、ヨナたちにそんな余裕は残されていない。1秒、一瞬たりとも気を抜くことは許されない。メモリアの一挙手一投足が死に繋がりうる。ヨナたちはそれを目の前で目撃している。
(メモリア先輩に容赦はない……このままでは、私とヴァンチャットも……)
「ねぇ、聞いてる? 質問してるんだけど」
 ヨナの思考を遮るようにメモリアが口を開いた。その拍子に、ヨナの身体がビクンと跳ね上がる。逃げる、という選択肢がないことはとうに理解していた。メモリアを撃退するか、全員まとめて氷漬けにされるか、2つに1つしか残されていない。
 そして、ヨナたちは既に失敗している。
「あなたたち4人の中で、私を倒せる可能性があったのはレオノールだけ。けど、残念なことにレオノールじゃあ私は倒せなかった」
 残された道は1つしかない。
「気の毒だけど、私たちの計画にとって、ソフィアは邪魔な存在なの。抵抗するならしてもいいけど――」
 季節外れの吹雪が吹き荒れる。月明かりもない闇の中、刺すような冷気が肌を撫でる。凪ぐような、しんと静まり返った夜はもうどこにもなかった。一筋の光もない。
「…………|愛《・》ですよ」
 けれど決して、絶望などには負けはしない。
「心と体を繋ぐもの、それは愛です。メモリア先輩」
 倒れていたソフィアが立ち上がる。凍てつき、旨が締め付けられるような激しい痛みをしかと噛み締めながら、ソフィアは立ち上がった。
 死の刻限。ソフィアの心臓に突き刺さった氷は今もじわじわとその生命を犯している。だというのに、メモリアはなぜ立ち上がることができるのか。それは、ヨナはおろか、メモリアにすら理解できなかった。
 立ち上がれた理由など、ただの痩せ我慢に他ならないが、あえてそれ以外の理由を挙げるならば、それはソフィアのこれまでのすべての積み重ねだろう。人間兵器として育てられた毎日、培われた実力、想い人への愛。そのすべてが、ソフィアの身体を突き動かす。
「……死ぬよ、ソフィア。やめておいた方がいい」
「優しいんですね。でも結構です」
 そして、ソフィアは微笑みながら言う。
「私たちは前に進みます。貴女を倒して」
「無理だよ。ソフィアじゃ、私を倒せるわけがない」
「やってみなくちゃ、わからないじゃないですか」
「……もう結果は出たでしょ」
「でも、私は立ってます」
 ソフィアは飢えている。それは、レオノールのような、闘争への飢えではなく、飢餓としての飢えでもない。
「愛が、愛だけが、愛こそが、愛ゆえに! 私は戦う!」
 満たされない。満たされない。満たされない。
 何をやっても渇くばかりのその心は飢えている。ソフィアの願いはただ1つ。それが叶うまで、ソフィアの心は渇いたままだ。何ひとつだって満たされていない。何ひとつだって叶っていない。だから、どれだけ痛くても、どれだけ辛くても、倒れそうでも、死にそうでも、ソフィアは立ち上がる。
「ヴェローニカと話がしたい。旭の記憶も取り戻す。貴女の計画も阻んでみせる。そして――」
 愛する少女が、叫びをあげる。
「モニカと、仲直りするんだ!」
「そんなの……1つも叶わないよ!」