夏に成長するもののおはなし
ー/ー太郎の家は農家である。
とうちゃんは夏になると立派なすいかをたくさん作って
太郎は毎日はらいっぱいすいかを食べて大きくなった。
ある日、とうちゃんはこの夏一番のすいかを太郎にくれた。
自信作だったが、実が割れてしまったのだ。
「まあ、うちでもおいしいもん食べていいさね。」
太郎は塩を使わない主義だったが、そのすいかはちょっぴりしょっぱかった。
思うところがあって太郎はすいかの種を植えた。
ほかの立派なすいかとは少し離れたところに植えた。
太郎は毎日のようにそこを通ってすいかの成長を見守った。
夏も盛りに近づいたが、今年はすいかの出来があまり思わしくなかった。
おひさまがあまり元気でなかったからだ。
そのくせ蒸し暑かったり、風が強かったりして
とうちゃんが納得するようなすいかはできなかった。
それでもとうちゃんはあきらめることなく
すいかの世話をし続けた。
太郎もそんなとうちゃんにまけないくらい
自分のすいかの世話に励んだ。
もうじき収穫の最盛期を迎えようかというある日
大きな台風がきた。
とうちゃんはラジオの天気予報をかかさず聞いて
収穫のタイミングを見計らっていた。
台風はやたらと足が遅くいつまでも去ってくれなかった。
どうしても早めに収穫しなければいけないすいかたちに
とうちゃんは詫びながら収穫していった。
「ごめんな・・・。もう少しおいてやれればもっといい実になっただろうに・・・。」
ひとつひとつに声をかけながら、とうちゃんはあらかたの実を収穫していった。
太郎は悩んだ。
自分のすいかをどうしようか。
まだ収穫には早すぎる。
かといってこのまま台風に直撃されたらダメになるかもしれない。
太郎は考えた。
そんな太郎にとうちゃんは言った。
「本人に聞いてみろ。」
「なんだそれ。」
「すいかがどうしてほしいか、それがわからないようじゃまだまだだ。」
「別に農家の修業してるわけじゃねえし・・・。」
「すいかよりお前が未熟なんだよ。」
とうちゃんは笑っていたが、少し寂し気だった。
小雨の中、太郎は自分のすいかのところに行ってみた。
ずいぶん大きくなった葉っぱが風にあおられてゆれている。
「どうしてほしいかね。」
すいかは答えるわけもない。
でも、太郎は思った。
「やっぱり思い切り大きくなりたいよな。」
ふんぎりのついた太郎は急いですいかのまわりに柵を作った。
ビニールのほろもかぶせた。
少しでもダメージを軽減できるようおもいつくかぎりの防護をした、
そしてその夜の遅くに、台風はやってきた。
ラジオに時折入る雑音が風の音と重なってざわざわする。
太郎は眠れなくてずっとラジオにかじりついていた。
「思ったより風は強くなかったな。」
とうちゃんは少し安心したようだ。
「あとは水だな。」
「水?」
「雨水に浸かってしまったら実が傷む。地面からあげといてやんないと。」
太郎はあっ!と思い当たった。
しまった・・・風に気をとられて冠水の対策をとっていない。
太郎のすいかは窪んだところにあるからまっさきに水浸しになってしまう。
「ちょっと行ってくる!」
太郎は納屋にいって使えそうなものを探した。
「これと・・・これ!」
底上げできそうな棚と大きめのざるを見つけて、太郎は畑に走った。
太郎のすいかは柵のなかで身を縮めているように見えた。
「うわー・・・これはいかん。」
ビニールの隙間から入り込んだ雨ですいかは半分水没している。
「待ってな。」
太郎は柵を広げ、持ってきた棚をしっかり組んでざるを置いた。
「ここで台風が通り過ぎるまで辛抱するんだぞ。」
ざるのなかにすいかをそっと置いてやった。
まだ小さいその実はすっぽりと収まって、安心したように見えた。
台風はぐずぐずしていたが夕方近くなってようやく晴れ間が見えた。
もう大丈夫だ。
太郎のすいかはこころなしか少し大きくなったように思えた。
「よかったな。」
すいかをなでるとぷるん~と揺れたような気がした・・・。
とうちゃんは夏になると立派なすいかをたくさん作って
太郎は毎日はらいっぱいすいかを食べて大きくなった。
ある日、とうちゃんはこの夏一番のすいかを太郎にくれた。
自信作だったが、実が割れてしまったのだ。
「まあ、うちでもおいしいもん食べていいさね。」
太郎は塩を使わない主義だったが、そのすいかはちょっぴりしょっぱかった。
思うところがあって太郎はすいかの種を植えた。
ほかの立派なすいかとは少し離れたところに植えた。
太郎は毎日のようにそこを通ってすいかの成長を見守った。
夏も盛りに近づいたが、今年はすいかの出来があまり思わしくなかった。
おひさまがあまり元気でなかったからだ。
そのくせ蒸し暑かったり、風が強かったりして
とうちゃんが納得するようなすいかはできなかった。
それでもとうちゃんはあきらめることなく
すいかの世話をし続けた。
太郎もそんなとうちゃんにまけないくらい
自分のすいかの世話に励んだ。
もうじき収穫の最盛期を迎えようかというある日
大きな台風がきた。
とうちゃんはラジオの天気予報をかかさず聞いて
収穫のタイミングを見計らっていた。
台風はやたらと足が遅くいつまでも去ってくれなかった。
どうしても早めに収穫しなければいけないすいかたちに
とうちゃんは詫びながら収穫していった。
「ごめんな・・・。もう少しおいてやれればもっといい実になっただろうに・・・。」
ひとつひとつに声をかけながら、とうちゃんはあらかたの実を収穫していった。
太郎は悩んだ。
自分のすいかをどうしようか。
まだ収穫には早すぎる。
かといってこのまま台風に直撃されたらダメになるかもしれない。
太郎は考えた。
そんな太郎にとうちゃんは言った。
「本人に聞いてみろ。」
「なんだそれ。」
「すいかがどうしてほしいか、それがわからないようじゃまだまだだ。」
「別に農家の修業してるわけじゃねえし・・・。」
「すいかよりお前が未熟なんだよ。」
とうちゃんは笑っていたが、少し寂し気だった。
小雨の中、太郎は自分のすいかのところに行ってみた。
ずいぶん大きくなった葉っぱが風にあおられてゆれている。
「どうしてほしいかね。」
すいかは答えるわけもない。
でも、太郎は思った。
「やっぱり思い切り大きくなりたいよな。」
ふんぎりのついた太郎は急いですいかのまわりに柵を作った。
ビニールのほろもかぶせた。
少しでもダメージを軽減できるようおもいつくかぎりの防護をした、
そしてその夜の遅くに、台風はやってきた。
ラジオに時折入る雑音が風の音と重なってざわざわする。
太郎は眠れなくてずっとラジオにかじりついていた。
「思ったより風は強くなかったな。」
とうちゃんは少し安心したようだ。
「あとは水だな。」
「水?」
「雨水に浸かってしまったら実が傷む。地面からあげといてやんないと。」
太郎はあっ!と思い当たった。
しまった・・・風に気をとられて冠水の対策をとっていない。
太郎のすいかは窪んだところにあるからまっさきに水浸しになってしまう。
「ちょっと行ってくる!」
太郎は納屋にいって使えそうなものを探した。
「これと・・・これ!」
底上げできそうな棚と大きめのざるを見つけて、太郎は畑に走った。
太郎のすいかは柵のなかで身を縮めているように見えた。
「うわー・・・これはいかん。」
ビニールの隙間から入り込んだ雨ですいかは半分水没している。
「待ってな。」
太郎は柵を広げ、持ってきた棚をしっかり組んでざるを置いた。
「ここで台風が通り過ぎるまで辛抱するんだぞ。」
ざるのなかにすいかをそっと置いてやった。
まだ小さいその実はすっぽりと収まって、安心したように見えた。
台風はぐずぐずしていたが夕方近くなってようやく晴れ間が見えた。
もう大丈夫だ。
太郎のすいかはこころなしか少し大きくなったように思えた。
「よかったな。」
すいかをなでるとぷるん~と揺れたような気がした・・・。
それからあとは台風はこなかった。
太郎は毎日すいかの様子を観察した。
葉っぱの裏表や茎の状態、もちろんすいかの実も丁寧に見てやった。
「大きくなれよ。」
とうちゃんの気持ちがすこしだけわかってきたようだ。
ふたまわりほども大きくなったある日、いつものようにすいかをトントンと叩いてみた。
コンコンと澄んだ音が返ってくる。
すいかが「もういいよう。」と言っているような気がして
太郎は収穫を決めた。
「とうちゃん。」
太郎はまずとうちゃんにすいかを見せた。
「収穫したんだ。見てくれないか。」
「ほう、どれどれ。」
とうちゃんは慎重な手つきですいかを調べている。
「なかなかいい感じだな。出荷するか?」
「ううん。みんなで食べるよ。」
「いいのか?」
「うん。そのほうがいい。」
その夜、太郎のすいかはみんなに振舞われた。
ザクッっと歯切れのいい音をたてて二つ割になった。
玉がはじけたような感触がして、みずみずしい甘い香りがいっぱいに広がった。
「うわ~、きれいに真っ赤だ。」
妹のちひろは目を輝かせてうれしそうに笑った。
「すいかなんていたくさん見てるだろ。」
「それでもなんか違うんだよう。」
太郎は自分だけじゃないのか・・・と、少しだけ笑った。
太郎だって特別な感じがしたのだ。
大きめに切ったすいかにかぶりつく。
「これは甘いな。いい出来だぞ。」
とうちゃんがほめてくれた。
「そうかな。てへっ。」
「大事に育てたんだな。」
太郎の努力を認めてくれたことがうれしかった。
「すいかがちゃんと答えてくれたんだ。」
あの台風にも負けなかったもんな・・・。
「なんで一個しかとれないの~?」
ちひろは名残惜しそうに皮までかじっている。
「ん-、なんでかな。種からそだてたせいかもしれん。」
シャリっと音をたててかじる。
甘いだけじゃない、奥深い味がした。
「実の数を少なくしたほうが、大きくなるし充実するからな。」
とうちゃんが言った。
「あ、もしかして・・・。」
とうちゃんが摘果して整えてくれたのか???
「また作ってみな。」
とうちゃんは笑っているだけだった。
「うん!」
夕暮れの空は茜色に染まっていた。
もう夏も終わる。
「すいかに負けてらんないな。」
来年はもっと大きくて実の詰まったすいかを育ててやる。
太郎は自分もちょっとだけ成長できたような気がした。
太郎は毎日すいかの様子を観察した。
葉っぱの裏表や茎の状態、もちろんすいかの実も丁寧に見てやった。
「大きくなれよ。」
とうちゃんの気持ちがすこしだけわかってきたようだ。
ふたまわりほども大きくなったある日、いつものようにすいかをトントンと叩いてみた。
コンコンと澄んだ音が返ってくる。
すいかが「もういいよう。」と言っているような気がして
太郎は収穫を決めた。
「とうちゃん。」
太郎はまずとうちゃんにすいかを見せた。
「収穫したんだ。見てくれないか。」
「ほう、どれどれ。」
とうちゃんは慎重な手つきですいかを調べている。
「なかなかいい感じだな。出荷するか?」
「ううん。みんなで食べるよ。」
「いいのか?」
「うん。そのほうがいい。」
その夜、太郎のすいかはみんなに振舞われた。
ザクッっと歯切れのいい音をたてて二つ割になった。
玉がはじけたような感触がして、みずみずしい甘い香りがいっぱいに広がった。
「うわ~、きれいに真っ赤だ。」
妹のちひろは目を輝かせてうれしそうに笑った。
「すいかなんていたくさん見てるだろ。」
「それでもなんか違うんだよう。」
太郎は自分だけじゃないのか・・・と、少しだけ笑った。
太郎だって特別な感じがしたのだ。
大きめに切ったすいかにかぶりつく。
「これは甘いな。いい出来だぞ。」
とうちゃんがほめてくれた。
「そうかな。てへっ。」
「大事に育てたんだな。」
太郎の努力を認めてくれたことがうれしかった。
「すいかがちゃんと答えてくれたんだ。」
あの台風にも負けなかったもんな・・・。
「なんで一個しかとれないの~?」
ちひろは名残惜しそうに皮までかじっている。
「ん-、なんでかな。種からそだてたせいかもしれん。」
シャリっと音をたててかじる。
甘いだけじゃない、奥深い味がした。
「実の数を少なくしたほうが、大きくなるし充実するからな。」
とうちゃんが言った。
「あ、もしかして・・・。」
とうちゃんが摘果して整えてくれたのか???
「また作ってみな。」
とうちゃんは笑っているだけだった。
「うん!」
夕暮れの空は茜色に染まっていた。
もう夏も終わる。
「すいかに負けてらんないな。」
来年はもっと大きくて実の詰まったすいかを育ててやる。
太郎は自分もちょっとだけ成長できたような気がした。
みんなのリアクション
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
太郎の家は農家である。
とうちゃんは夏になると立派なすいかをたくさん作って
太郎は毎日はらいっぱいすいかを食べて大きくなった。
ある日、とうちゃんはこの夏一番のすいかを太郎にくれた。
自信作だったが、実が割れてしまったのだ。
「まあ、うちでもおいしいもん食べていいさね。」
太郎は塩を使わない主義だったが、そのすいかはちょっぴりしょっぱかった。
思うところがあって太郎はすいかの種を植えた。
ほかの立派なすいかとは少し離れたところに植えた。
太郎は毎日のようにそこを通ってすいかの成長を見守った。
夏も盛りに近づいたが、今年はすいかの出来があまり思わしくなかった。
おひさまがあまり元気でなかったからだ。
そのくせ蒸し暑かったり、風が強かったりして
とうちゃんが納得するようなすいかはできなかった。
それでもとうちゃんはあきらめることなく
すいかの世話をし続けた。
太郎もそんなとうちゃんにまけないくらい
自分のすいかの世話に励んだ。
もうじき収穫の最盛期を迎えようかというある日
大きな台風がきた。
とうちゃんはラジオの天気予報をかかさず聞いて
収穫のタイミングを見計らっていた。
台風はやたらと足が遅くいつまでも去ってくれなかった。
どうしても早めに収穫しなければいけないすいかたちに
とうちゃんは詫びながら収穫していった。
「ごめんな・・・。もう少しおいてやれればもっといい実になっただろうに・・・。」
ひとつひとつに声をかけながら、とうちゃんはあらかたの実を収穫していった。
太郎は悩んだ。
自分のすいかをどうしようか。
まだ収穫には早すぎる。
かといってこのまま台風に直撃されたらダメになるかもしれない。
太郎は考えた。
そんな太郎にとうちゃんは言った。
「本人に聞いてみろ。」
「なんだそれ。」
「すいかがどうしてほしいか、それがわからないようじゃまだまだだ。」
「別に農家の修業してるわけじゃねえし・・・。」
「すいかよりお前が未熟なんだよ。」
とうちゃんは笑っていたが、少し寂し気だった。
小雨の中、太郎は自分のすいかのところに行ってみた。
ずいぶん大きくなった葉っぱが風にあおられてゆれている。
「どうしてほしいかね。」
すいかは答えるわけもない。
でも、太郎は思った。
「やっぱり思い切り大きくなりたいよな。」
ふんぎりのついた太郎は急いですいかのまわりに柵を作った。
ビニールのほろもかぶせた。
少しでもダメージを軽減できるようおもいつくかぎりの防護をした、
そしてその夜の遅くに、台風はやってきた。
ラジオに時折入る雑音が風の音と重なってざわざわする。
太郎は眠れなくてずっとラジオにかじりついていた。
「思ったより風は強くなかったな。」
とうちゃんは少し安心したようだ。
「あとは水だな。」
「水?」
「雨水に浸かってしまったら実が傷む。地面からあげといてやんないと。」
太郎はあっ!と思い当たった。
しまった・・・風に気をとられて冠水の対策をとっていない。
太郎のすいかは窪んだところにあるからまっさきに水浸しになってしまう。
「ちょっと行ってくる!」
太郎は納屋にいって使えそうなものを探した。
「これと・・・これ!」
底上げできそうな棚と大きめのざるを見つけて、太郎は畑に走った。
太郎のすいかは柵のなかで身を縮めているように見えた。
「うわー・・・これはいかん。」
ビニールの隙間から入り込んだ雨ですいかは半分水没している。
「待ってな。」
太郎は柵を広げ、持ってきた棚をしっかり組んでざるを置いた。
「ここで台風が通り過ぎるまで辛抱するんだぞ。」
ざるのなかにすいかをそっと置いてやった。
まだ小さいその実はすっぽりと収まって、安心したように見えた。
台風はぐずぐずしていたが夕方近くなってようやく晴れ間が見えた。
もう大丈夫だ。
太郎のすいかはこころなしか少し大きくなったように思えた。
「よかったな。」
すいかをなでるとぷるん~と揺れたような気がした・・・。
それからあとは台風はこなかった。
太郎は毎日すいかの様子を観察した。
葉っぱの裏表や茎の状態、もちろんすいかの実も丁寧に見てやった。
「大きくなれよ。」
とうちゃんの気持ちがすこしだけわかってきたようだ。
ふたまわりほども大きくなったある日、いつものようにすいかをトントンと叩いてみた。
コンコンと澄んだ音が返ってくる。
すいかが「もういいよう。」と言っているような気がして
太郎は収穫を決めた。
「とうちゃん。」
太郎はまずとうちゃんにすいかを見せた。
「収穫したんだ。見てくれないか。」
「ほう、どれどれ。」
とうちゃんは慎重な手つきですいかを調べている。
「なかなかいい感じだな。出荷するか?」
「ううん。みんなで食べるよ。」
「いいのか?」
「うん。そのほうがいい。」
その夜、太郎のすいかはみんなに振舞われた。
ザクッっと歯切れのいい音をたてて二つ割になった。
玉がはじけたような感触がして、みずみずしい甘い香りがいっぱいに広がった。
「うわ~、きれいに真っ赤だ。」
妹のちひろは目を輝かせてうれしそうに笑った。
「すいかなんていたくさん見てるだろ。」
「それでもなんか違うんだよう。」
太郎は自分だけじゃないのか・・・と、少しだけ笑った。
太郎だって特別な感じがしたのだ。
大きめに切ったすいかにかぶりつく。
「これは甘いな。いい出来だぞ。」
とうちゃんがほめてくれた。
「そうかな。てへっ。」
「大事に育てたんだな。」
太郎の努力を認めてくれたことがうれしかった。
「すいかがちゃんと答えてくれたんだ。」
あの台風にも負けなかったもんな・・・。
「なんで一個しかとれないの~?」
ちひろは名残惜しそうに皮までかじっている。
「ん-、なんでかな。種からそだてたせいかもしれん。」
シャリっと音をたててかじる。
甘いだけじゃない、奥深い味がした。
「実の数を少なくしたほうが、大きくなるし充実するからな。」
とうちゃんが言った。
「あ、もしかして・・・。」
とうちゃんが摘果して整えてくれたのか???
「また作ってみな。」
とうちゃんは笑っているだけだった。
「うん!」
夕暮れの空は茜色に染まっていた。
もう夏も終わる。
「すいかに負けてらんないな。」
来年はもっと大きくて実の詰まったすいかを育ててやる。
太郎は自分もちょっとだけ成長できたような気がした。