僕は六時間目の授業をチャイム先生のチャイムと共に終え、図書室へと向かった。
「キーンコーンカーンコーン」
どこかでチャイム先生が部活開始のチャイムを鳴らす。
チャイム先生の声は相変わらず大きく、チャイムのない仙芽市立第二中学校に響き渡り、チャイムの代わりをしてくれる。
チャイムが五年前に壊れてから、チャイム先生はずっとそのチャイムの代わりとして働いているようだ。
異動などはしないらしい。
教育委員会も承認済みの事案である。
「遅刻だ、急がなくちゃ」
そう、僕は文芸部へと向かっているのだ。
図書室が見えてきた。
ガララ、という音と共に扉を開け放つ。
先に来ていた倉津に睨まれつつ、席に座る。
文芸部の部員は、次のようになっている。
一年生、二人。
二年生、零人。
三年生、二人。
部員が三人以上いなければ部活としては認められないので、三年生が卒業し、新一年生が入らなければ、部活は終わる。
三年生の二人を紹介しよう。
「おーい、最上ぃ〜、ここ、どう思う?」
そう言って自分の書いた小説を僕に差し出してきた先輩は安藤美希先輩。
セミロングほどの黒髪をおろしていて、目がクリクリしていて可愛いと男子からの評判が高い、らしい。
専門ジャンルは異世界ファンタジー、SF。
僕と大体一緒だ。
「おい、安藤。なぜ最上には見せて俺には見せない?」
そう言って安藤先輩をジトーっとした目で見つめるのは鹿山賢人先輩。
短い黒髪をツンツンに立てたスポーツマンのような姿は、同性といえど憧れる、女子からの人気も絶大、らしい。
ちなみにスポーツも得意なんだとか。
「え〜だって賢人のジャンルって文芸、青春でしょ〜結構違うじゃん」
そう、鹿山先輩の専門ジャンルは文芸、青春だ。
爽やかな青春小説を書き上げたと思ったら次の日にはどっしりとしている文芸を書いたりする先輩である。
「いや、それでも同じ小説を書くものとして、アドバイスはやれると思うぞ」
鹿山先輩はどうしても安藤先輩の小説を推敲したいようだ。
何故だろう?
そんな二人に、倉津と僕で今日転校生が来た、と言うことを話した。
ちなみに倉津の専門ジャンルはミステリー、サスペンスだ。
僕の専門ジャンルは皆さんお察しの通り、恋愛とファンタジー全般。
広く浅くやっている。
「へぇ〜、転校生、ね」
「文芸部に入る可能性はあるのか?」
安藤先輩はあまり興味がなさそうだったが、鹿山先輩は興味津々と言う顔で聞いてきた。
「いや、陸上部に入るって友達と話していたからその可能性は無いと思いますよ」
僕は期待しすぎないように鹿山先輩に釘を刺す。
「ちぇ、入ってくれたら良いのに」
と倉津が名残惜しそうに呟いた。
その時
ガラララ、と扉が開いた。
僕たちは自然と扉の方を見る。
そこには、今僕たちが話題に出していた麗香が立っていた__