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第85話 「輪廻」

ー/ー



オリジンとの戦いは終結した。

この戦いは第四次世界大戦の一環として、深く歴史に刻まれた。

そして、世界は少しずつ前へ進み始めた。

各民族政府は、正式に国家となり、世界各地に君臨した。

一方、『はじまりの地』と呼ばれた地域にも新たな国が誕生した。

その名は、『エレノイア共和国』。

かつて、旧世界国家の首都であるエレノイア地域にできた国である。

その正体は、旧世界国家を構成していた者たち、また『解放軍』に所属するかつ身寄りのない者たちが集まって擁立した国家だ。

始めは国家体制の整備などで国内は大忙し。

そんな中、国家元首として祀り上げられたのは、ティエラ。

彼は、エレノイア共和国初代大統領という名の、いわば象徴として、国家の統合に尽力した。

始めこそ彼はこの役目を固辞していたが、国中からの根気強い依頼があったため、彼は渋々受け入れたのだった。

共和国成立後、終わることのない大量の公務に追われ、4年後...ついに彼はその座から解放された。

その後の彼は、世界中を歩き、最後には穏やかな隠居生活を送った。

生涯独身であった。




一方、レオは軍人になっていた。

レオは忘れられなかったのだ、あのとき、オリジンに突っ込んでいった自衛隊を。

なぜあのとき、彼は笑っていたのか、そして、なぜあそこまでの覚悟ができたのか。

その答えを見つけるため、彼はその”世界“へと足を踏み入れたのだった。




イドはというと、身寄りがなかったため、『解放軍』に残り、そのままエレノイア共和国の構成員として、国家の発展に尽力した。

その後は、彼もティエラと同じく体制側から離れ、かつての自身のように身寄りのない子どもたちの居場所を作り、第二の人生を歩んだ。




また、T・ユカは、自身の一族復興のため、風穴拳の道場を開き、自身の武術の指南に全力を注いだ。

そんな中、彼女は弟子の一人と結婚し、7人の子をもうけ、家庭を作った。

ティエラとも最期まで交信が続いていたが、彼女が結婚し、そして子どもも生まれたという情報を初めてティエラに伝えたとき、彼は全く信じてくれなかったという。

その後、彼女は、多くの弟子と家族に囲まれながら、天寿を全うしたのだった。




オリジンとの戦いが終わった後の世界は、激動の時代へと突入していくこととなった。

それもそのはず、世界国家も連も存在しないため、世界各国をまとめ上げる機関が存在しないのだ。

そのこともあり、世界は、互いの国々がしのぎを削るようになっていった。

特に大きな存在として、オリジンの影響を受けなかったアメリカ合衆国と、その同盟国である日本国、これまで世界中の民族政府から支援を受けていたことで軍事力が潤沢であった『解放軍』の後身であるエレノイア共和国などが挙げられる。

その他の国々も、自国の存亡をかけて、己の力を誇示・行使するようになっていった。

また、オリジンが死に際に放った流星群の正体は、特殊能力をもたらす、所謂触媒であった。

そのため、人類は再び特殊能力と向き合うこととなった。

中には、特に強力な能力者...超越能力者までもが登場し始め、それらは各国の力の象徴として君臨した。

その名はセイレーン...そう、かつて世界国家の秩序を守り続けたあのセイレーンから名前をとったものである。

特殊能力者が力としての呪縛から逃れられる日は、まだまだ遠い...




さて、ここからは“ある書籍”の一部を引用していくこととしよう...




我々は、オリジンという“嵐”を抜け出し、再び大きな大きな“大海原”へ出た。

それはどこまでも広い、いわば自由であった。

自由というものは、個人を個人せしめ、ときに人々に狂気をもたらす。

自由は恩恵と代償の両方を持つ。

私は、自由と向き合い続けたからこそ、そのことに気づくことができた。

そして、その通りに世界は動きつつある。

世界は自由という恩恵を手に入れた。

しかし、いきすぎた自由は、世界中に力という狂気をもたらし、未だ渦巻き続けている。

いわば、我々は長い長い“荒波”にいるということだ。

歴史という“航海”は、まだまだ続く。

たとえそれが荒波の中であっても、嵐の中であってもだ。

それは無慈悲にも、多くの人々を”海“へと放り出すかもしれない。

だが、それもまた歴史というものである。

我々は歴史の上に立って生きている。

だからこそ、ふるい落とされた者たちの存在は決して無駄ではない。

どうか、我々がこうして生きられるようにするため、命を投げうった数多の存在のことを忘れないでおいて欲しい。

そして、我々も“当事者”であることも忘れないでおいて欲しい。

我々の一つ一つの営みが、これからの歴史を形創るのだ。

私は、オリジン討伐後、所謂『英雄』となった。

しかし、この英雄というのは、決して私個人に与えられるべき称号ではない。

英雄は決して私やその他の者たち個人に限られず、その他の名もなき者たちにも与えられる称号である。

それこそが、全ての者が歴史の”当事者“であるという最たる例である。

さて、ここでこの本をとってくれた者たちは、“当事者”としてこれから述べる言葉を心に留めておいて欲しい。




歴史は、繰り返す。

2275年出版『世界で生きるとは何か』著:ティエラ








オリジンとの戦い及び第四次世界大戦終結から200年後...

世界は未だ各国の存亡をかけた小競り合いを繰り返していた。

各国は、特殊能力者を国力の駒に使い、その研究などにも勤しんでいた。

もはや、いつ第二のオリジンが生まれてもおかしくはない状況だ。

そんな時代の中、たった一人の少年が彼の有する圧倒的な”力“を見込まれ、ある国で希望として、その国の命運を託された。

その容姿は青い髪に地球のような瞳...

セイレーンだ。

少年は、数多くの国民や要人たちによる大きな拍手で囲まれながら登壇し、ダイヤモンドの剣を掲げる。

その少年の名は...




TERRE(テール)


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オリジンとの戦いは終結した。
この戦いは第四次世界大戦の一環として、深く歴史に刻まれた。
そして、世界は少しずつ前へ進み始めた。
各民族政府は、正式に国家となり、世界各地に君臨した。
一方、『はじまりの地』と呼ばれた地域にも新たな国が誕生した。
その名は、『エレノイア共和国』。
かつて、旧世界国家の首都であるエレノイア地域にできた国である。
その正体は、旧世界国家を構成していた者たち、また『解放軍』に所属するかつ身寄りのない者たちが集まって擁立した国家だ。
始めは国家体制の整備などで国内は大忙し。
そんな中、国家元首として祀り上げられたのは、ティエラ。
彼は、エレノイア共和国初代大統領という名の、いわば象徴として、国家の統合に尽力した。
始めこそ彼はこの役目を固辞していたが、国中からの根気強い依頼があったため、彼は渋々受け入れたのだった。
共和国成立後、終わることのない大量の公務に追われ、4年後...ついに彼はその座から解放された。
その後の彼は、世界中を歩き、最後には穏やかな隠居生活を送った。
生涯独身であった。
一方、レオは軍人になっていた。
レオは忘れられなかったのだ、あのとき、オリジンに突っ込んでいった自衛隊を。
なぜあのとき、彼は笑っていたのか、そして、なぜあそこまでの覚悟ができたのか。
その答えを見つけるため、彼はその”世界“へと足を踏み入れたのだった。
イドはというと、身寄りがなかったため、『解放軍』に残り、そのままエレノイア共和国の構成員として、国家の発展に尽力した。
その後は、彼もティエラと同じく体制側から離れ、かつての自身のように身寄りのない子どもたちの居場所を作り、第二の人生を歩んだ。
また、T・ユカは、自身の一族復興のため、風穴拳の道場を開き、自身の武術の指南に全力を注いだ。
そんな中、彼女は弟子の一人と結婚し、7人の子をもうけ、家庭を作った。
ティエラとも最期まで交信が続いていたが、彼女が結婚し、そして子どもも生まれたという情報を初めてティエラに伝えたとき、彼は全く信じてくれなかったという。
その後、彼女は、多くの弟子と家族に囲まれながら、天寿を全うしたのだった。
オリジンとの戦いが終わった後の世界は、激動の時代へと突入していくこととなった。
それもそのはず、世界国家も連も存在しないため、世界各国をまとめ上げる機関が存在しないのだ。
そのこともあり、世界は、互いの国々がしのぎを削るようになっていった。
特に大きな存在として、オリジンの影響を受けなかったアメリカ合衆国と、その同盟国である日本国、これまで世界中の民族政府から支援を受けていたことで軍事力が潤沢であった『解放軍』の後身であるエレノイア共和国などが挙げられる。
その他の国々も、自国の存亡をかけて、己の力を誇示・行使するようになっていった。
また、オリジンが死に際に放った流星群の正体は、特殊能力をもたらす、所謂触媒であった。
そのため、人類は再び特殊能力と向き合うこととなった。
中には、特に強力な能力者...超越能力者までもが登場し始め、それらは各国の力の象徴として君臨した。
その名はセイレーン...そう、かつて世界国家の秩序を守り続けたあのセイレーンから名前をとったものである。
特殊能力者が力としての呪縛から逃れられる日は、まだまだ遠い...
さて、ここからは“ある書籍”の一部を引用していくこととしよう...
我々は、オリジンという“嵐”を抜け出し、再び大きな大きな“大海原”へ出た。
それはどこまでも広い、いわば自由であった。
自由というものは、個人を個人せしめ、ときに人々に狂気をもたらす。
自由は恩恵と代償の両方を持つ。
私は、自由と向き合い続けたからこそ、そのことに気づくことができた。
そして、その通りに世界は動きつつある。
世界は自由という恩恵を手に入れた。
しかし、いきすぎた自由は、世界中に力という狂気をもたらし、未だ渦巻き続けている。
いわば、我々は長い長い“荒波”にいるということだ。
歴史という“航海”は、まだまだ続く。
たとえそれが荒波の中であっても、嵐の中であってもだ。
それは無慈悲にも、多くの人々を”海“へと放り出すかもしれない。
だが、それもまた歴史というものである。
我々は歴史の上に立って生きている。
だからこそ、ふるい落とされた者たちの存在は決して無駄ではない。
どうか、我々がこうして生きられるようにするため、命を投げうった数多の存在のことを忘れないでおいて欲しい。
そして、我々も“当事者”であることも忘れないでおいて欲しい。
我々の一つ一つの営みが、これからの歴史を形創るのだ。
私は、オリジン討伐後、所謂『英雄』となった。
しかし、この英雄というのは、決して私個人に与えられるべき称号ではない。
英雄は決して私やその他の者たち個人に限られず、その他の名もなき者たちにも与えられる称号である。
それこそが、全ての者が歴史の”当事者“であるという最たる例である。
さて、ここでこの本をとってくれた者たちは、“当事者”としてこれから述べる言葉を心に留めておいて欲しい。
歴史は、繰り返す。
2275年出版『世界で生きるとは何か』著:ティエラ
オリジンとの戦い及び第四次世界大戦終結から200年後...
世界は未だ各国の存亡をかけた小競り合いを繰り返していた。
各国は、特殊能力者を国力の駒に使い、その研究などにも勤しんでいた。
もはや、いつ第二のオリジンが生まれてもおかしくはない状況だ。
そんな時代の中、たった一人の少年が彼の有する圧倒的な”力“を見込まれ、ある国で希望として、その国の命運を託された。
その容姿は青い髪に地球のような瞳...
セイレーンだ。
少年は、数多くの国民や要人たちによる大きな拍手で囲まれながら登壇し、ダイヤモンドの剣を掲げる。
その少年の名は...
TERRE(テール)