「はー、疲れた」
というわけで、反省文を書き終えた俺は日の沈みかけた校舎を出る。
マジで疲れた。
時系列で書いたせいでかなり長くなったのはあるんだが、書くわけにいかないことを省いて辻褄を合わせるのにかなり苦労した。
先輩が生徒会長を伊達メガネ疑惑で脅したこととか、コンピュータ部の部員を俺たちがゲームでコテンパンに叩きのめしてからクローズドβテストに強制参加させたこととか、アプリの管理者権限を手に入れるために職員室に忍び込んで机の下で先輩と密着したこととか、そういうやつだ。
「お疲れー」
エントランス前のロータリーにある花壇の縁に腰かけていた先輩が、ひらひらと両手を振る。
「マジ疲れましたよ」
「ごめんね。でも本当によかったの? 全部スズノの責任ってことになっちゃったけど」
「受験生の内申に響くようなことにならないようにって先生も見てみぬふりしてくれたんだから、そこはごめんじゃなくてありがとう、って言ってほしいところですね」
わざとらしく、腕を組んで催促する。
「うん。そうだね。その通りだ」
先輩は立ち上がると、右足を少し引いて優雅に膝を落とす。
「ありがとう、スズノ」
夕陽を背に、可愛くスカートの裾をつまんで微笑んだ。
それ、短いスカートでやったらだめでしょ、と思ったが口にはしなかった。
だって美少女に似合うんだよ。殺人級なんだよ。
先輩の輪郭は金色の光に縁取られ、もはやこの世の存在とは思えなかった。
俺は夕陽が眩しいふりをして、赤くなった顔を腕で隠した。