表示設定
表示設定
目次 目次




骨神社②

ー/ー



 Hさん
「はじめに、JがAたちの夢を見て、それで私に相談してきたんです。

 なんでも、行方不明になったAたち四人が夢の中に出てきて、

”私たちは神様を怒らせてしまったから、死神に引き渡されることになった。でもJがS村に行って、骨神社にいる私たちのところへ来て謝ってくれたら許してくれるらしい。お願いだから謝ってきてほしい”

 みたいなことを言ってきたそうなんです。

 でも、Jは私ひとりじゃ行けないから、って断ろうとしたそうなんです。そしたら、”タクシーを使ったら行けるだろ”とか”俺たちの命は大事じゃないのか”とか、いろいろと言われたらしくて。それがすごく怖かったって、Jは言ってました。

 私はJに、行くって言ったの、って聞いてみました。そしたら、言ってないってJは言いました。

 ただ、Aたちのお願いを断り続けていたら、そのうち真っ黒い人型の影みたいなものがやってきて、それを見たAたちが怯えだして、悲鳴をあげたそうなんです。

 それから、その真っ黒い影から、何本も腕が伸びてきて、Aたちを捕まえて、後ろへ引きずっていこうとしたそうなんです。

 その時にJは、一番手前にいたAに手をつかまれたらしくて。いやだ離して、って念じたところでぱっと目が醒めたらしくて。

 Jは、夢の中でAに手をつかまれたのって、私も連れてかれるってことなのかな、って私に聞いてきました。

 私は、ただの夢だよ、大丈夫だよって答えて、深く考えたりとかは全然しませんでした。

 でも、その日の帰り道にJは車に轢かれてしまいました。病院に運ばれたときはまだ生きてたらしいんですけど、いきなり容体が悪化したらしくて、そのまま亡くなってしまって。

 それで、そのJが亡くなったその日に、私もまったく同じような夢を見てしまったんです。

 夢の中で私は、高校時代の教室の中にいて、そこにはAたち四人もいました。そしてAたちは、Jが言ってたのとまったく同じような話をして、私を骨神社へ行かせようとしたんです。

 そこで私は、このまま話をしていたら死神やってきてしまうと思ったんです。それで、Aたちが話しているのを無視して、教室から逃げ出したんです。

 そしたら、Aたちは追いかけてきました。しかも、追いかけながらなんか大きな声で怒鳴っていました。その時に私は、これは本当に自分の知っている友達たちなのかな、って思ってしまいました。もしかしたら、死神の作った幻か何かなんじゃないかって思ったんです。

 校舎の階段を降りていって、校舎の入口まで行きました。ところが入口は鍵が閉まっていて、出られませんでした。

 どうしよう、と思っていたら、いきなり入口の向こう側に青い着物を着た若い男の人がやってきて、一番端っこのドアを開けてくれたんです。

 そこから、校舎の外に出ました。そしたら、男の人がドアを閉めて、それから手を合わせて、なんかお経みたいなものを唱えたんです。

 その直後に、Aたちがやってきて扉を開けようとしたんです。でもその時にはもう扉が閉まっていたみたいで、出られなくなっていました。

 それでほっとしていたら、男の人が”いつまでもこうしてはいられない。助けてくれる誰かを探しなさい”って言ったんです。

 そこで、目が醒めたんです。私には、その夢がただの夢だとはどうしても思えなくて、大学も休んで、霊媒師を探したんです。それで伊沢先生のことを知って、ちょうど家の近くだったのもあって、こうして依頼したっていうかんじなんですけど、私が見た夢っていうのは、ただの夢だったんでしょうか?」

伊沢さん
「いいえ。夢の中に出てきた、着物を着た男性はHさんの守護霊様ですね」

Hさん
「そうなんですか?」

伊沢さん
「はい。すごく力の強い守護霊様だと思います。Hさんが夢の中で連れて行かれそうになってところを守ってくれたんです」

Hさん
「そうだったんですか。え、連れてかれるって、私はどこへ連れて行かれそうになっていたんですか?」

伊沢さん
「骨神社です。AさんたちはHさんを連れてくるために派遣されてきたんです。ようは、利用されていたってかんじです」

Hさん
「Aたちが・・・・・・」

 彼女は、友達の行いに対して、少なからずショックを受けていたようでした。

Hさん
「それは、骨神社の神様がそうしたんですか? それとも、死神がそうしたんですか?」

伊沢さん
「そのどちらでもないです。悪霊です。あの神社に神様なんていません。あそこには悪霊が神のふりをして棲んでいるんです」

Hさん
「悪霊って、それってどういうことですか?」

伊沢さん
「ちゃんと管理されていなかったり、廃れてしまった神社って、悪霊が棲みつくんですよ。そして、悪霊が神のふりをして、人をだましたり、堕落させたりして、楽しむんです」

Hさん
「その悪霊に、AやJはやられたってことなんですか?」

伊沢さん
「そうです。神社に行ってしまったことで、悪霊に狙われてしまったんです。二度目にAさんたちが骨神社に行ってしまったのは、悪霊に呼ばれたからです。

 本人たちは、写真に霊が写ったからまた撮れるかも、っていうつもりで行ったと思うんですけど、それすらも悪霊の狙い通りでした。ようは、わざと心霊写真を撮らせて、興味をひこうとしていたんです。そして、二度目にAさんたちが来た時に、仕留めたわけです。

 そのあと今度は、死んだAさんたちをJさんやHさんの夢の中で話させておいて、連れていく隙を伺っていたんです。もっとも、Hさんの場合は前もって夢の話を聞いて心構えができていたっていうのもありますし、守護霊様がちゃんと守ってくれたっていうのもあって、首の皮一枚つながったっていうかんじです。

 ただ、悪霊のほうが、けっこう狡猾なんですよ。本体が来るんじゃなくて、分身だけをよこしてきて攻撃しようとしてくるんです。そうやって自分が傷つかないようにしながら、でも逃がさないように追跡だけはするっていうようなことをしてるんです。

 何度も守護霊様がその分身をやっつけてはいるんですけど、やっつけたそばからすぐまた来てしまうので、きりがないんです」

Hさん
「それじゃ、一回お祓いしただけじゃだめってことですか?」


スタンプを贈って作者を応援しよう!

次のエピソードへ進む 骨神社③


みんなのリアクション



おすすめ作品を読み込み中です…



 Hさん
「はじめに、JがAたちの夢を見て、それで私に相談してきたんです。
 なんでも、行方不明になったAたち四人が夢の中に出てきて、
”私たちは神様を怒らせてしまったから、死神に引き渡されることになった。でもJがS村に行って、骨神社にいる私たちのところへ来て謝ってくれたら許してくれるらしい。お願いだから謝ってきてほしい”
 みたいなことを言ってきたそうなんです。
 でも、Jは私ひとりじゃ行けないから、って断ろうとしたそうなんです。そしたら、”タクシーを使ったら行けるだろ”とか”俺たちの命は大事じゃないのか”とか、いろいろと言われたらしくて。それがすごく怖かったって、Jは言ってました。
 私はJに、行くって言ったの、って聞いてみました。そしたら、言ってないってJは言いました。
 ただ、Aたちのお願いを断り続けていたら、そのうち真っ黒い人型の影みたいなものがやってきて、それを見たAたちが怯えだして、悲鳴をあげたそうなんです。
 それから、その真っ黒い影から、何本も腕が伸びてきて、Aたちを捕まえて、後ろへ引きずっていこうとしたそうなんです。
 その時にJは、一番手前にいたAに手をつかまれたらしくて。いやだ離して、って念じたところでぱっと目が醒めたらしくて。
 Jは、夢の中でAに手をつかまれたのって、私も連れてかれるってことなのかな、って私に聞いてきました。
 私は、ただの夢だよ、大丈夫だよって答えて、深く考えたりとかは全然しませんでした。
 でも、その日の帰り道にJは車に轢かれてしまいました。病院に運ばれたときはまだ生きてたらしいんですけど、いきなり容体が悪化したらしくて、そのまま亡くなってしまって。
 それで、そのJが亡くなったその日に、私もまったく同じような夢を見てしまったんです。
 夢の中で私は、高校時代の教室の中にいて、そこにはAたち四人もいました。そしてAたちは、Jが言ってたのとまったく同じような話をして、私を骨神社へ行かせようとしたんです。
 そこで私は、このまま話をしていたら死神やってきてしまうと思ったんです。それで、Aたちが話しているのを無視して、教室から逃げ出したんです。
 そしたら、Aたちは追いかけてきました。しかも、追いかけながらなんか大きな声で怒鳴っていました。その時に私は、これは本当に自分の知っている友達たちなのかな、って思ってしまいました。もしかしたら、死神の作った幻か何かなんじゃないかって思ったんです。
 校舎の階段を降りていって、校舎の入口まで行きました。ところが入口は鍵が閉まっていて、出られませんでした。
 どうしよう、と思っていたら、いきなり入口の向こう側に青い着物を着た若い男の人がやってきて、一番端っこのドアを開けてくれたんです。
 そこから、校舎の外に出ました。そしたら、男の人がドアを閉めて、それから手を合わせて、なんかお経みたいなものを唱えたんです。
 その直後に、Aたちがやってきて扉を開けようとしたんです。でもその時にはもう扉が閉まっていたみたいで、出られなくなっていました。
 それでほっとしていたら、男の人が”いつまでもこうしてはいられない。助けてくれる誰かを探しなさい”って言ったんです。
 そこで、目が醒めたんです。私には、その夢がただの夢だとはどうしても思えなくて、大学も休んで、霊媒師を探したんです。それで伊沢先生のことを知って、ちょうど家の近くだったのもあって、こうして依頼したっていうかんじなんですけど、私が見た夢っていうのは、ただの夢だったんでしょうか?」
伊沢さん
「いいえ。夢の中に出てきた、着物を着た男性はHさんの守護霊様ですね」
Hさん
「そうなんですか?」
伊沢さん
「はい。すごく力の強い守護霊様だと思います。Hさんが夢の中で連れて行かれそうになってところを守ってくれたんです」
Hさん
「そうだったんですか。え、連れてかれるって、私はどこへ連れて行かれそうになっていたんですか?」
伊沢さん
「骨神社です。AさんたちはHさんを連れてくるために派遣されてきたんです。ようは、利用されていたってかんじです」
Hさん
「Aたちが・・・・・・」
 彼女は、友達の行いに対して、少なからずショックを受けていたようでした。
Hさん
「それは、骨神社の神様がそうしたんですか? それとも、死神がそうしたんですか?」
伊沢さん
「そのどちらでもないです。悪霊です。あの神社に神様なんていません。あそこには悪霊が神のふりをして棲んでいるんです」
Hさん
「悪霊って、それってどういうことですか?」
伊沢さん
「ちゃんと管理されていなかったり、廃れてしまった神社って、悪霊が棲みつくんですよ。そして、悪霊が神のふりをして、人をだましたり、堕落させたりして、楽しむんです」
Hさん
「その悪霊に、AやJはやられたってことなんですか?」
伊沢さん
「そうです。神社に行ってしまったことで、悪霊に狙われてしまったんです。二度目にAさんたちが骨神社に行ってしまったのは、悪霊に呼ばれたからです。
 本人たちは、写真に霊が写ったからまた撮れるかも、っていうつもりで行ったと思うんですけど、それすらも悪霊の狙い通りでした。ようは、わざと心霊写真を撮らせて、興味をひこうとしていたんです。そして、二度目にAさんたちが来た時に、仕留めたわけです。
 そのあと今度は、死んだAさんたちをJさんやHさんの夢の中で話させておいて、連れていく隙を伺っていたんです。もっとも、Hさんの場合は前もって夢の話を聞いて心構えができていたっていうのもありますし、守護霊様がちゃんと守ってくれたっていうのもあって、首の皮一枚つながったっていうかんじです。
 ただ、悪霊のほうが、けっこう狡猾なんですよ。本体が来るんじゃなくて、分身だけをよこしてきて攻撃しようとしてくるんです。そうやって自分が傷つかないようにしながら、でも逃がさないように追跡だけはするっていうようなことをしてるんです。
 何度も守護霊様がその分身をやっつけてはいるんですけど、やっつけたそばからすぐまた来てしまうので、きりがないんです」
Hさん
「それじゃ、一回お祓いしただけじゃだめってことですか?」