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食器棚②

ー/ー



Sさん
「ほんとですか?」

伊沢さん
「はい。まず結論から言うと、Sさんの家にいるのは悪霊ですね。食器棚にもともとは憑いていたんですけど、そのまま家に住み着いてしまったというケースですね。

 今はどこにいるかって話なんですけど、押し入れの中に住んでます。そして夜になると、押し入れの中から抜け出して、壁とか天井を這いまわって、天井にある照明を叩いたりなんかしていたんですね。

 それで、なんで照明を叩いていたかなんですけど、それはそうやるとSさんが怯えるってわかってたからですね。壁とかだと、家鳴りだろうって思ってびびらないってわかってたんじゃないかと思うんです」

Sさん
「ああ、その通りです。壁とかから音がした時はそんなに気にならないんですよ。家鳴りとかはしょっちゅう聞こえていたので。でも、照明を叩く音に関しては、普段は絶対にしない音だから、怖くてしょうがなくて」

伊沢さん
「あとご自分でお祓いをしたとおっしゃっていたと思うんですけど、盛り塩はあまり意味がなかったですね」

Sさん
「そうなんですか?」

伊沢さん
「家の隅とか、それか玄関の両脇に置くことで家の中に入ってこようとする霊を入ってこられなくするっていう効果はあります。ただすでに部屋の中に入っている場合、逆に閉じ込めることになってしまいます。

 お経を唱えたこと自体は悪くありませんでした。しかし今回は、霊の力が強すぎたのと、夜という悪霊の力が増す時間帯にやってしまったのとで、祓えなかったというかんじですね。かえって抵抗されたことで、電気が消えたりとかしたわけです。効果がなかったわけではないんですけど、霊も祓われるのが嫌なので、抵抗するんです」

Sさん
「そうだったんですね。それならやっぱり、霊が来た時はプロに連絡したほうがいいんですね」

伊沢さん
「そうですね。我々のような人間に連絡するのは大事なんですけど、ご自身ができることとして幽霊に対して一番有効な対策としては、やはり無視することです。

 いちいち反応して怖がったりすると、心のガードが弱まるので、霊にとり憑かれやすくなるんです。それよりは無視して、まったく別の、楽しくなるようなことを考えていたほうが、心のガードが強くなります。

 怖がりな人ってやはり、霊にとり憑かれやすいんです。だから、怖がらないで幽霊を無視をする、あとはテンションをあげるっていうのが、幽霊に対しては有効な対策です」

Sさん
「そうなんですね。ありがとうございます。今度何かあったら、試してみます」

伊沢さん
「押し入れの中にいる悪霊に関しては、すぐに祓うことができますので、ご安心ください。村山君、お香を焚いて。今回は一つでいい。それで押し入れを開けて、お香を前のほうに置いて二人で待ってて」

 そう言ってから、彼女は手を合わせました。彼女がお祓いの準備をしているあいだに、僕はお香に火をつけて、前のほうに置きました。

 すると、風も吹いていないのにお香の火が消えてしまいました。火をつけ直したのですが、なかなかつきませんでした。それで、先に御神水をまいて、それからもう一度火をつけ直してみると、無事に火がつきました。

 そして今度は押し入れの戸を開けました。それでお香の煙を扇子で仰いで入れようとしたら、いきなり押し入れの戸がひとりでに動き出して、閉まりました。

 さすがにこれにはびっくりしましたが、黙ってもう一度押し入れの戸を開けました。ただその時に、気のせいなのかもしれませんが、誰かが中からぐっと抑えつけているような抵抗を感じました。もしかしたら、悪霊が開けさせまいとしていたのかもしれません。

 それから伊沢さんが押し入れのほうへやってきました。合わせていた手を離すと、右手で手刀を作って、ばっと前に突き出しました。そして左手で誰かの頭をつかむような動作をしたあと、右手の手刀でさっと何かを斬るような動作をしました。

 それから彼女は振り向きました。

伊沢さん
「もう大丈夫です。悪霊は消しました。あとはこの部屋の中を軽く浄化してから、結界をかけます。そうすればこの部屋に変なものが入ってくることはなくなるので、もう大丈夫です」

Sさん
「ありがとうございます。よろしくお願いします」

 その後、浄化をして結界をかけて無事、お祓いは終了しました。

 そして帰り道、僕は車の中で彼女に気になっていたことを尋ねてみました。

「あの悪霊って、なんでSさんの家にいたんですか? やっぱり、とり憑こうをしていたんですか?」

伊沢さん
「そうだね。やはりその、Sさんの魂を喰おうとして、家に居ついてとり憑くチャンスを狙ってたみたい。あとちょっと遅かったら、とり憑かれてたかもしれない。そうなってたら、多少やっかいなことにはなってたかもね」

「厄介なことってどんなことですか?」

伊沢さん
「魂を喰われたり、生気をとられたりっていうのはもちろんあったと思うし、あとはとり憑かれることで精神に異常をきたすっていうのもあったかもしれない。つい最近までは元気だったのに、突然自殺しちゃうとか、あるいは事故に遭うとか、そういうことになってたかもしれない」

「じゃあ僕らは、それを未然に防いだっていうかたちになるわけですね」

伊沢さん
「まあ、そうだね。今回は連絡が早かったから、とり憑かれてもいなかったし、被害も少なくて済んだから、それは幸いだったと思う」

 霊にとり憑かれたときは、対処が早ければ早いだけ、被害が少なくて済みます。もし不審なことが起こるようであれば、すぐにちゃんとした神社でお祓いを受けるか、あるいは我々のようなプロの霊媒師にご連絡ください。


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Sさん
「ほんとですか?」
伊沢さん
「はい。まず結論から言うと、Sさんの家にいるのは悪霊ですね。食器棚にもともとは憑いていたんですけど、そのまま家に住み着いてしまったというケースですね。
 今はどこにいるかって話なんですけど、押し入れの中に住んでます。そして夜になると、押し入れの中から抜け出して、壁とか天井を這いまわって、天井にある照明を叩いたりなんかしていたんですね。
 それで、なんで照明を叩いていたかなんですけど、それはそうやるとSさんが怯えるってわかってたからですね。壁とかだと、家鳴りだろうって思ってびびらないってわかってたんじゃないかと思うんです」
Sさん
「ああ、その通りです。壁とかから音がした時はそんなに気にならないんですよ。家鳴りとかはしょっちゅう聞こえていたので。でも、照明を叩く音に関しては、普段は絶対にしない音だから、怖くてしょうがなくて」
伊沢さん
「あとご自分でお祓いをしたとおっしゃっていたと思うんですけど、盛り塩はあまり意味がなかったですね」
Sさん
「そうなんですか?」
伊沢さん
「家の隅とか、それか玄関の両脇に置くことで家の中に入ってこようとする霊を入ってこられなくするっていう効果はあります。ただすでに部屋の中に入っている場合、逆に閉じ込めることになってしまいます。
 お経を唱えたこと自体は悪くありませんでした。しかし今回は、霊の力が強すぎたのと、夜という悪霊の力が増す時間帯にやってしまったのとで、祓えなかったというかんじですね。かえって抵抗されたことで、電気が消えたりとかしたわけです。効果がなかったわけではないんですけど、霊も祓われるのが嫌なので、抵抗するんです」
Sさん
「そうだったんですね。それならやっぱり、霊が来た時はプロに連絡したほうがいいんですね」
伊沢さん
「そうですね。我々のような人間に連絡するのは大事なんですけど、ご自身ができることとして幽霊に対して一番有効な対策としては、やはり無視することです。
 いちいち反応して怖がったりすると、心のガードが弱まるので、霊にとり憑かれやすくなるんです。それよりは無視して、まったく別の、楽しくなるようなことを考えていたほうが、心のガードが強くなります。
 怖がりな人ってやはり、霊にとり憑かれやすいんです。だから、怖がらないで幽霊を無視をする、あとはテンションをあげるっていうのが、幽霊に対しては有効な対策です」
Sさん
「そうなんですね。ありがとうございます。今度何かあったら、試してみます」
伊沢さん
「押し入れの中にいる悪霊に関しては、すぐに祓うことができますので、ご安心ください。村山君、お香を焚いて。今回は一つでいい。それで押し入れを開けて、お香を前のほうに置いて二人で待ってて」
 そう言ってから、彼女は手を合わせました。彼女がお祓いの準備をしているあいだに、僕はお香に火をつけて、前のほうに置きました。
 すると、風も吹いていないのにお香の火が消えてしまいました。火をつけ直したのですが、なかなかつきませんでした。それで、先に御神水をまいて、それからもう一度火をつけ直してみると、無事に火がつきました。
 そして今度は押し入れの戸を開けました。それでお香の煙を扇子で仰いで入れようとしたら、いきなり押し入れの戸がひとりでに動き出して、閉まりました。
 さすがにこれにはびっくりしましたが、黙ってもう一度押し入れの戸を開けました。ただその時に、気のせいなのかもしれませんが、誰かが中からぐっと抑えつけているような抵抗を感じました。もしかしたら、悪霊が開けさせまいとしていたのかもしれません。
 それから伊沢さんが押し入れのほうへやってきました。合わせていた手を離すと、右手で手刀を作って、ばっと前に突き出しました。そして左手で誰かの頭をつかむような動作をしたあと、右手の手刀でさっと何かを斬るような動作をしました。
 それから彼女は振り向きました。
伊沢さん
「もう大丈夫です。悪霊は消しました。あとはこの部屋の中を軽く浄化してから、結界をかけます。そうすればこの部屋に変なものが入ってくることはなくなるので、もう大丈夫です」
Sさん
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
 その後、浄化をして結界をかけて無事、お祓いは終了しました。
 そして帰り道、僕は車の中で彼女に気になっていたことを尋ねてみました。
「あの悪霊って、なんでSさんの家にいたんですか? やっぱり、とり憑こうをしていたんですか?」
伊沢さん
「そうだね。やはりその、Sさんの魂を喰おうとして、家に居ついてとり憑くチャンスを狙ってたみたい。あとちょっと遅かったら、とり憑かれてたかもしれない。そうなってたら、多少やっかいなことにはなってたかもね」
「厄介なことってどんなことですか?」
伊沢さん
「魂を喰われたり、生気をとられたりっていうのはもちろんあったと思うし、あとはとり憑かれることで精神に異常をきたすっていうのもあったかもしれない。つい最近までは元気だったのに、突然自殺しちゃうとか、あるいは事故に遭うとか、そういうことになってたかもしれない」
「じゃあ僕らは、それを未然に防いだっていうかたちになるわけですね」
伊沢さん
「まあ、そうだね。今回は連絡が早かったから、とり憑かれてもいなかったし、被害も少なくて済んだから、それは幸いだったと思う」
 霊にとり憑かれたときは、対処が早ければ早いだけ、被害が少なくて済みます。もし不審なことが起こるようであれば、すぐにちゃんとした神社でお祓いを受けるか、あるいは我々のようなプロの霊媒師にご連絡ください。