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15頭目 甥っ子とミニ四駆

ー/ー



「牛郎、行くぞ!」
 部屋の片付けをしていたら、懐かしの玩具を見つけた。それは、ミニ四駆と呼ばれる小型の自動車模型だ。
「すっごーい! メッチャ速い!!」
 牛郎は、専用コースを颯爽と走るミニ四駆に魅入られている。男児が自動車に魅力を感じるのは、今も昔も変わらないみたいだ。
「ワンワンッ!」
 牛郎と同じように、ポコ太郎もミニ四駆を目で追っている。そういえば、昔飼ってた猫のニャン助がよくミニ四駆を追い回していたなぁ。
「おじさん、それなぁに?」
 俺が牛郎の傍らでツールボックスを開けていたら、牛郎は興味を示したようだ。ミニ四駆はモーターやタイヤ、果てはギアという細部の至る所まで個々にカスタマイズがあって、実に奥深い。
 そのため、ツールボックス内は本物の自動車並みに部品が豊富だ。ミニ四駆は、こういうメカニックなところが男児の心を魅了している。
「おじさん、この車と競走しようよ!」
 牛郎が取り出したのは、俺のお気に入りだった『シャイニングスティンガー』だ。ボディは少年誌の応募者全員サービス限定仕様で、今となってはプレミア価格がつくほど。
「すごい、こっちの方がもっと速い!!」
 シャイニングスティンガーは、先行していた筈のマグナソニックを追い抜いていく。その速さ故、ミニ四駆界隈でも最速の代名詞を(ほしいまま)にしている。
 余談だが、両者ともメディアミックスのアニメ『レッツゴー馬場!』に登場している。それぞれマグナソニックが主人公の車種、シャイニングスティンガーはラスボスの車種である。
 ストーリーは終始胸熱な展開なのだが、これ以上は独りよがりになりそうなので自粛しておこう。
「よぉし、ポコ太郎行くぞっ!!」
 俺がアニメを懐古していたら、牛郎がいきなりコースからシャイニングスティンガーを持ち出して外へ出ていった。嫌な予感がした俺は、即座に牛郎を追った。
ーー
「あの夕日に向かって、競走だ!!」
 牛郎はシャイニングスティンガーを野に放ち、ポコ太郎と共に追いかけっこを始めた。それはいいが、車体が泥まみれになるじゃないか!!
 作中では何故か、ミニ四駆と所有者がコースを並走するという場面が当たり前のように描写されていた。けれど、実際はミニ四駆の方が速すぎてそんなことは出来る訳もない。
「駄目だ、速い……」
 その証拠に、牛郎はすでにシャイニングスティンガーを見失っている。ついでにポコ太郎も見失った。
「ワンワンッ!」
 ……と思っていたのだが、ポコ太郎はシャイニングスティンガーのスピードに喰らいついている。牧羊犬の本能が騒いでいるのだろうか。
「ワンッ!!」
 最後の駄目押しとばかりに、ポコ太郎はシャイニングスティンガーへ飛びかかった。おいおい、ちょっと待ってくれ!!
「グルルルウッ……!!」
 シャイニングスティンガーを捕獲したポコ太郎は、牙を剥き出しにしてそれを咥えている。当然、車体はボロボロになってしまった。
 あぁ、俺の思い出が一つ消え去った……。



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「牛郎、行くぞ!」 部屋の片付けをしていたら、懐かしの玩具を見つけた。それは、ミニ四駆と呼ばれる小型の自動車模型だ。
「すっごーい! メッチャ速い!!」
 牛郎は、専用コースを颯爽と走るミニ四駆に魅入られている。男児が自動車に魅力を感じるのは、今も昔も変わらないみたいだ。
「ワンワンッ!」
 牛郎と同じように、ポコ太郎もミニ四駆を目で追っている。そういえば、昔飼ってた猫のニャン助がよくミニ四駆を追い回していたなぁ。
「おじさん、それなぁに?」
 俺が牛郎の傍らでツールボックスを開けていたら、牛郎は興味を示したようだ。ミニ四駆はモーターやタイヤ、果てはギアという細部の至る所まで個々にカスタマイズがあって、実に奥深い。
 そのため、ツールボックス内は本物の自動車並みに部品が豊富だ。ミニ四駆は、こういうメカニックなところが男児の心を魅了している。
「おじさん、この車と競走しようよ!」
 牛郎が取り出したのは、俺のお気に入りだった『シャイニングスティンガー』だ。ボディは少年誌の応募者全員サービス限定仕様で、今となってはプレミア価格がつくほど。
「すごい、こっちの方がもっと速い!!」
 シャイニングスティンガーは、先行していた筈のマグナソニックを追い抜いていく。その速さ故、ミニ四駆界隈でも最速の代名詞を|壇《ほしいまま》にしている。
 余談だが、両者ともメディアミックスのアニメ『レッツゴー馬場!』に登場している。それぞれマグナソニックが主人公の車種、シャイニングスティンガーはラスボスの車種である。
 ストーリーは終始胸熱な展開なのだが、これ以上は独りよがりになりそうなので自粛しておこう。
「よぉし、ポコ太郎行くぞっ!!」
 俺がアニメを懐古していたら、牛郎がいきなりコースからシャイニングスティンガーを持ち出して外へ出ていった。嫌な予感がした俺は、即座に牛郎を追った。
ーー
「あの夕日に向かって、競走だ!!」
 牛郎はシャイニングスティンガーを野に放ち、ポコ太郎と共に追いかけっこを始めた。それはいいが、車体が泥まみれになるじゃないか!!
 作中では何故か、ミニ四駆と所有者がコースを並走するという場面が当たり前のように描写されていた。けれど、実際はミニ四駆の方が速すぎてそんなことは出来る訳もない。
「駄目だ、速い……」
 その証拠に、牛郎はすでにシャイニングスティンガーを見失っている。ついでにポコ太郎も見失った。
「ワンワンッ!」
 ……と思っていたのだが、ポコ太郎はシャイニングスティンガーのスピードに喰らいついている。牧羊犬の本能が騒いでいるのだろうか。
「ワンッ!!」
 最後の駄目押しとばかりに、ポコ太郎はシャイニングスティンガーへ飛びかかった。おいおい、ちょっと待ってくれ!!
「グルルルウッ……!!」
 シャイニングスティンガーを捕獲したポコ太郎は、牙を剥き出しにしてそれを咥えている。当然、車体はボロボロになってしまった。
 あぁ、俺の思い出が一つ消え去った……。