ポルターガイストの起こる家③
ー/ー そのあと、伊沢さんと僕とで対処をして、呪詛は消して(呪詛そのものを消したので、呪詛が術者に返ることはありませんでした)、家の中をお祓いして、呪詛が二度とかからないように結界もかけました。
そのあと帰り道に車を運転しながら、助手席に座っている伊沢さんに気になったことを尋ねてみました。
僕
「Mさんのご主人はいったい、何をしたんですか?」
なぜあんなにMさんのご主人は恨まれていたんだろう、というのがどうしても気になっていました。せめて逆恨みとか誤解とかであればいいな、と思っていました。自分たちがとんでもない人たちを助けたとは思いたくなかったのです。
伊沢さん
「全部はわからない。でもご主人と思われる男性が、社員らしき人を木刀で何度も殴ってるところは見えた」
僕
「木刀、ですか」
伊沢
「あとは、”お前なんか死んだ方が世のためだ”、とかいうようなかんじのことを言ってるところも見えた。そしてMさんはそのことを知っていたし、見てもいた」
僕
「見てて、止めたんですか?」
伊沢さんは首を横に振りました。
伊沢
「彼女はそれを止めるべきことだと思っていなかった。それは社員を鍛えるために大切なことだって考えていたから。むしろ、言われたことを言われた通りにできない社員が悪いと思ってた」
それを聞いたとき、僕はぞっとしましたし、気分が悪かったです。よくないことですけど、そんな人たちを助けるために伊沢さんが力を使う必要なんてなかったんじゃないかっていう思いが頭に浮かんでしまいました。
僕
「やばいですね」
伊沢さん
「やばいっていうよりも、あのままじゃまずかった。呪詛を消しても、結界を張っても、それで安全になるわけじゃないから。あのね、この世は因果応報なんだよ。自分がしたことは必ず自分に返ってくる。だから、ちゃんと自分のしてきたことに向き合って償っていかないとだめなんだよ。いつまでも自分たちの行いの結果から逃げられるわけではないから。
実際、Mさんはひどかったからね、霊的にも。恨みを持った人の生霊が体じゅうにまとわりついてたからね。霊視も大変だった。
しかも、Mさん、途中から全然話聞いてくれなくなっちゃったし。だからもう諦めるしかなかったけど、本当はちゃんと謝らせたかったんだよね。そりゃ、呪うほうが悪いんだけど、でもあれはさすがにちょっと、って思ったからさ」
そして結局、彼らが自分のしてきたことに向き合うことは、一生ありませんでした。
プライバシーの問題がありますから、どのニュースかは言いません。しかし最近見た放火のニュースで、被害者の名前の中にMさんの名前が入っているものがありました。その火事で、Mさんを含む一家全員が家の中で焼け死んだということでした。
そして放火犯の名前なんですけど、呪詛をかけていたうちの一人と同じ名前でした。自殺した女性の彼氏のほうでした。
この話は、結果として依頼主が死んでしまっていることもあって、あと味の悪い話ではあります。
もちろん、人を殺すのはよくないことです。呪詛も人を殺める可能性があるという意味では、同様です。
しかし、人の恨みを買うような真似をすれば、よくない事態を招くことになるのは、止められないと思います。
みなさんは、人の恨みはなるべく買わないようにしてください。
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