元来た道をゆっくりと辿るうちに、まだ傷心を抱えているらしい彼女が従兄に似ている俺から距離を取らないのはその傷から逃げる気がないからだろう、という勝手な仮説が浮かんできた。
昨日も今日も受け止めるために桜を眺めていたのだろうと。
大きな何かを失くした経験がない俺にはその気持ちが分からないけど、力になれるのならいくらでも彼女と話したい。
こんなことを思ったのは初めてだ。皆のところへ戻ると目が合った和己さんに「行く前と顔が違わないか?」と言われた。
「え?」
「疲れ顔じゃなくなってる」
「そうかな」
自覚はない。
けど彼女と話して少しすっきりしたことは確かだった。原因も彼女だけどそれは置いておき、話して良かったと思う。
「うん。良いことだ」
和己さんがにこやかに言った。
「ありがとう」
「礼を言うのは俺にじゃない」
「いや、来て良かったから」
照れ隠しをしながら返した。
陽気と桜は人を素直にさせるらしい。俺は全てを春のせいにしてレジャーシートに上がった。