「ありがと! わあ、キレイ!」
艶めいた可愛らしいピンクに染まる爪。ほんのちょっとベージュがかってるけど、おばさんぽいイメージじゃないの。上品で素敵なカラー。
式だからこれくらい優しい色のほうがいいよね。真っ赤やショッキングピンクじゃ変だもん。
両手を宙に浮かせたまま、背もたれに身体預けて一息ついた私はふと気づいた。
ううん。ようやく、っていうべきかもね。
もしかして、このネイル私のために買ってくれたんじゃない? だって最近はしないのなら、ママの持ってたのはきっともう使えなくなってるよね?
そうよ、色だってきっと私に合わせてくれたんだ。十八歳の新入生に相応しい、いかにも若向きのピンク。
自分用だったらもう少し落ち着いたの選ぶはずだし。
顔の前に手を広げてじっくり眺める。むらなくきちんと塗られたネイルで、美しく彩られた十の爪。
心まで温かな色に染まって行くみたい。これからの新生活が、希望に満ちた明るいものだって信じさせてくれる。
小学生のころ描いてたようなお姫様にはなれてない。それ以前に、別にお姫様になんかなりたくないわ。
──だけど私は、あの頃憧れたキラキラ輝く星の欠片を手に入れた気分なの。
~END~