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はじめまして!

ー/ー



「ですから!この条件の勇者の魂なんていません!贅沢言わないようにしてください!」

 白いテーブルに並べられた写真付きの書類をバンバンと叩きながら管理局員の女の子、(あおい)は接客している別世界の『神』に強い口調で対応している。
 その横で小さくなっている同僚のウルメはおずおずと一枚の書類を『神』に渡す。

「か、かなり譲歩していただきますが、こちらならなんとか条件に沿えるところが……」

 説得をつづけ、仮契約という形ではあるが仕事を済ました。終わったタイミングでノックの音が部屋に響く。

「朝一からご苦労だったな、最近は無茶な内容の依頼は来なくなっていたが……たまにああいうの来るのがなぁ」
「コウサカ!なんで今頃くるのよ!局長の用事とかなんとかいっちゃって……いちゃついてただけでしょ~?こりゃ週末にパンケーキおごってもらわないといけないわ……ね、ウルメ君♪」
「う、うん……コーヒー一杯じゃごまかされないからね?」
「似たものカップルめ……」

 手に持ったコーヒーも、週末の予定も奪われたコウサカはうなだれる。

「……これは、コウサカが悪いね」
「カーナーメー……お前も逃げたひとりだろうがいっ!」

 うしろからの覗いていたカナメにヘッドロックをかましてじゃれあっていると、チャイムが鳴った。

「今日は新人さんがくるんだよね!楽しみだねー!どんな子だろ!」
「どんな子って……年上かもしれないよ?」

 と、雑談をしながら事務室まで向かう。昼礼の時間だ。

「みんな揃ってるかしら?メノウ事務長、挨拶お願いね」

 局長と一緒に入ってきた男が決められた挨拶を行い、新人局員の紹介に移ろうとした時、慌ただしく廊下を走る音が聞こえてきた。

「はっはぁ?まーたあいつか?」
「そうみたいね……まったく、仕方のない子ねぇ」

 恐らく、遅刻してきた局員がいるのだろうが……局長もメノウもどこか嬉しそうに笑っている。

「わっ!?」
「ふぎゃっ!」

 慌てて扉に飛び込もうとした女の子は、扉の前の人物に気付かずぶつかってしまった。

「あいたたた……ご、めんなさい!急いでて……あ!もしかして、今日から入るっていう?」

 反動で尻もちをついてしまった女の子に手を差し出し、体を起こした。深緑色の髪が印象的な青年はあまり似つかわしくない名を名乗る。

「あ、はい。天月(あまつき)ダイゴといいます、よろしおねがいします」
「私は三日月(みかづき)ほまれ!はじめまして!」

 ここは、転生管理局。

 異世界へ導かれる魂が少しの間立ち寄ることになる、いつまでも穏やかな時間が流れる不思議な場所――。

 END


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「ですから!この条件の勇者の魂なんていません!贅沢言わないようにしてください!」
 白いテーブルに並べられた写真付きの書類をバンバンと叩きながら管理局員の女の子、|葵《あおい》は接客している別世界の『神』に強い口調で対応している。
 その横で小さくなっている同僚のウルメはおずおずと一枚の書類を『神』に渡す。
「か、かなり譲歩していただきますが、こちらならなんとか条件に沿えるところが……」
 説得をつづけ、仮契約という形ではあるが仕事を済ました。終わったタイミングでノックの音が部屋に響く。
「朝一からご苦労だったな、最近は無茶な内容の依頼は来なくなっていたが……たまにああいうの来るのがなぁ」
「コウサカ!なんで今頃くるのよ!局長の用事とかなんとかいっちゃって……いちゃついてただけでしょ~?こりゃ週末にパンケーキおごってもらわないといけないわ……ね、ウルメ君♪」
「う、うん……コーヒー一杯じゃごまかされないからね?」
「似たものカップルめ……」
 手に持ったコーヒーも、週末の予定も奪われたコウサカはうなだれる。
「……これは、コウサカが悪いね」
「カーナーメー……お前も逃げたひとりだろうがいっ!」
 うしろからの覗いていたカナメにヘッドロックをかましてじゃれあっていると、チャイムが鳴った。
「今日は新人さんがくるんだよね!楽しみだねー!どんな子だろ!」
「どんな子って……年上かもしれないよ?」
 と、雑談をしながら事務室まで向かう。昼礼の時間だ。
「みんな揃ってるかしら?メノウ事務長、挨拶お願いね」
 局長と一緒に入ってきた男が決められた挨拶を行い、新人局員の紹介に移ろうとした時、慌ただしく廊下を走る音が聞こえてきた。
「はっはぁ?まーたあいつか?」
「そうみたいね……まったく、仕方のない子ねぇ」
 恐らく、遅刻してきた局員がいるのだろうが……局長もメノウもどこか嬉しそうに笑っている。
「わっ!?」
「ふぎゃっ!」
 慌てて扉に飛び込もうとした女の子は、扉の前の人物に気付かずぶつかってしまった。
「あいたたた……ご、めんなさい!急いでて……あ!もしかして、今日から入るっていう?」
 反動で尻もちをついてしまった女の子に手を差し出し、体を起こした。深緑色の髪が印象的な青年はあまり似つかわしくない名を名乗る。
「あ、はい。|天月《あまつき》ダイゴといいます、よろしおねがいします」
「私は|三日月《みかづき》ほまれ!はじめまして!」
 ここは、転生管理局。
 異世界へ導かれる魂が少しの間立ち寄ることになる、いつまでも穏やかな時間が流れる不思議な場所――。
 END