「そうだよね。明日の晩ごはん、アヤカの好きなハンバーグ作る。明後日は何がいい?」
「カレー。シーフードの。あと、また煮物食べたい」
「わかった。じゃあその次は筑前煮にするね」
食材買い足さなきゃ、と冷蔵庫チェックしながらどこか浮かれてる宗太の背中を無言で見つめる。
そのまま宗太が買い物に行くために玄関ドアを静かに開け閉めする音が、あたしの耳に届いた。
「ただいま、アヤカ!」
しばらくして、玄関のドアが再び開く音が響き、同時に宗太のつい先程までとはまるで違った明るい声が部屋に響いた。
現金なもんだね。頭の片隅でそう感じつつも、あたしはなぜか安心してる自分を認められない。
「おかえり、宗太」
敢えての無表情で淡々と口にして、宗太の方に歩み寄った。
「うん、ただいま」
宗太が再びその言葉を口にする。
これからも、二人の生活は何も変わりなく続いて行くんだよね。
あたしは社会的には「負け犬」でしかない宗太を飼う。
宗太はあたしの顔色窺って媚びて甘えるペットみたいに飼われる。本物みたいに気持ちを和ませる能力もないから、代わりにあたしの世話をして。
この部屋で、ずっと。
当然飼い主で主人はあたし。養ってやってるんだから当然でしょ?
あたしが居なきゃ生きていけない宗太を、あたしは誰よりも愛してる。
──その先のことは、今は考えない。
~END~