皆さん、こんにちは。|西雪《ニシユキ》|雨音《アマネ》です。
現在、ゴールデンウィーク二日目の朝。
連休ということもあって、一人暮らししている大学の寮から離れた実家に帰ってきているのですが、今日は用事があって少し早起き(13時起床)をしました。
というのも、先月仲直りを果たした従妹に誘われて一緒に遊びに出かけることになったからです。なので自分は今、待ち合わせ場所となっている実家の一階……父の経営している喫茶店にやってきました。
「|ヘオースの微笑みに感謝を《おはよう》、姉さん。良い天気だな!」
「おはよう、《《ひーちゃん》》。晴れて良かったね」
元気に挨拶する従妹、|鈴菊《リンギク》|旱《ヒデリ》に挨拶を返します。
彼女は出不精な自分と違って元気な子で、日本の文化にも明るい自慢の従妹。所謂中二病気味なところがありますが、格好良いものが好きな普通の可愛らしい子です。
「今日は結構普通の格好なんだね」
「フッ……ボクを普通か異端かで区別しようなんてナンセンスさ。ただまあ、時には上位者から賜った物にも袖を通さねば失礼と言うものだろう?」
なるほど、お母様に頂いた服だったようです。
いつもは黒々とした装飾品に身を包み、目立つ装いをしている彼女ですが、今回は普通のボーイッシュなパンツスタイル。特徴的なのはいつも着けている黒い眼帯くらいのものでしょうか。
「それで、今日はどこに行くの?」
「そうだな……都心のモールに行ってみよう。あそこなら歩いているだけで楽しいからな!」
「ふふ、わかった」
既に楽しそうだけどね、なんて思いながらも了承して、昼食を食べてから喫茶店を後にしたのでした。
〇〇〇
「あれから身体の調子はどう? 調子が悪いとかない?」
「それはこちらのセリフなのだが……ボクは見ての通り|ヒュギエイアに愛されている《健康だ》とも。姉さんも息災で何よりだ」
「ふふ、本当にね」
電車に揺られながらお互いの健康を心配し合って、それがなんだか面白くて笑いが零れてしまいました。
実は先月、自分とこの子は黒いモヤ――謎の呪いに侵されて、大変なことになりかけたのです。
自分の周りには他人には見えない黒いモヤが発生した上に自分の体調は崩れ、おまけにおかしな幽霊にまで身体を乗っ取られるというおかしな事件でした。
高校時代から付き合いのある大学の先輩、|相引《ソウビキ》センパイの弟さんのお友達の神様のお陰で原因が当時色々あってぎくしゃくした関係になっていた従妹である彼女の行動にあったことが判明。自分達の仲を取り持ってくださり、モヤと幽霊さんを身体から引き剥がすことで、呪いも人間関係も全て解決してくださいました。
……こうして起こったことを羅列すると、現実味が湧かないどころかおかしな夢でも見ていたという方が信じられるくらい奇天烈な状況ですね。でも、あれは実際に自分達の身に降りかかった紛れもない事実。あの人達には本当に感謝してもしきれません。
「今日は|幽霊《ノロイ》さんは何処で何を?」
「センパイが一緒に居てくれてるよ。まあ、センパイと一緒にすぐに大学の皆に連れて行かれちゃったけど……」
センパイは普段からいろんな人を助けることが多く、周りの人達からすごく慕われています。そのお陰か、目を離すとすぐに知り合いに連れ去られてしまうのです。
今回もそんな感じで、今も誰かの手助けをしているみたいで連絡がつきません。少し心配ではありますが、高校からのことなのでもはや慣れっこです。
「成程。ならば今日は従姉妹同士、水入らずの|逢瀬《デート》をするとしようじゃないか!」
「デートって……大袈裟だなぁ。ふふ」
張り切る従妹の姿が愛おしくて、またしても笑いが零れてしまいました。
……本当に、この関係に戻れて良かった。
今日は前みたいにこの子をたくさん楽しませて、自分も楽しもう。
そう決めた自分は暖かい気持ちを胸に、電車に揺られて目的のショッピングモールへと向かうのでした――。
〇〇〇
「姉さん、次は|絢爛なる美器《化粧品》を見に行こう! 何やら|交わりし影の《コラボキャンペーン》商品があるらしいぞ!」
「はぁ、はぁ……す、少し休ませて……」
モールに着いて二時間が経った頃。
きらきらとした笑顔で前を行く大量の荷物を持った彼女に対して、自分は息を切らしながらなんとか食らいついている状態でした。
「ハハハハハ! ほら姉さん、時間は有限だぞ!」
「ちょ、ちょっと待……いつもよりテンション高くない!?」
無理矢理、それでいて優しく手を引かれながら強制的に連れて行かれます。
で、電車内で考えたことは撤回しましょう。自分は自分のペースで楽しみ、彼女も自身のペースで楽しんでもらうことにします。
この子のペースに合わせていたら出不精な自分では身体が持ちません。
「――あら? 二人とも、こんなところで奇遇ね」
分不相応な決意を内心で即座に打ち捨てていると、彼女の後に続くようにして辿り着いたコスメショップ内で声を掛けられました。
振り返ると、ショップの制服を着た自分よりも小柄な女性が立っていた。
ええっと、たしかこの人は……
「イザクラ先輩ではないか!! どうしてこの店に!?」
「うるっさ!? アンタ休日でも相変わらずねぇ!?」
そう、イザクラさんだ。
たしかひーちゃんの高校の先輩で、彼女からよく話を聞いている憧れの存在。そして先月自分達を助けてくれた一人でもある子です。
「さ、騒がしくしちゃダメだよ。ごめんなさい、イザクラさん」
「い、いえ。ニシユキさんが謝る事じゃ……」
「うむ、ごめんなさい。それでどうして先輩が此方に?」
「ここ、アタシのバイト先なの。二人は……」
「デート中だ! 先輩も今度一緒に二人で出掛けないか?」
恥ずかしげもなく即答し、誘い始めた従妹に思わず感心してしまいました。
彼女のこういう堂々としたところは少し羨ましい気もします。
「はいはい、また今度ね。ニシユキさんはあれから身体は大丈夫なんですか?」
「あ、はい。お陰様で……先月はお世話になりました」
「あはは、お礼なんていいですよ。アタシ何にもしてませんし」
自分が戸惑いながらも頭を下げると、イザクラさんは笑って手を振るいました。
謙遜ではなく本当に特別なことをしたとは思っていないようです。恩に着せるつもりもないようですし、無欲で良い人ですね。
「……あ、ちゃんと仕事しないとね。お二人とも、今日は何をお探しで?」
「えっと、コラボ商品があるって聞いたんですけど」
「|GREEN《グリーン》 |Roots《ルーツ》の品はないだろうか」
「ああ、それならあっちの棚にあるわ」
流石は店員さん、すぐに目当ての商品の場所へ案内してくれます。
その小さな背中に少しついていくと、カラフルなボードやポップで彩られたキャンペーン商品の棚に辿り着きました。
「おお、華やかだな。流石は人気ブランドだ」
「ちょっと値は張るけどね。無料のお試しもできるからちょっと使ってみる?」
「そうだな。じゃあまずは姉さんにやってあげてくれないだろうか」
「え?」
自分に、ですか?
「あら、いいわね。ニシユキさん、普段はどういう化粧品使ってるの?」
「え、え……け、化粧なんてしたことないです、けど……?」
「は? え? ……マジ?」
自分の発言に対して、なぜかイザクラさんは目を丸くしています。
……何か失礼なことを言ってしまったのでしょうか?
「先輩、驚くのは分かるが大マジだ。彼女は化粧どころか衣類も無頓着でな……」
「そ、そんなことないよ! た、たしかに服もお母さんやセンパイに選んでもらってるけど!」
「全く否定になってないわニシユキさん」
い、イザクラさんまで。
一応自分の事なので言わせてもらいますが、ファッションに無頓着というほどではありません。興味が無くて手を伸ばしていないだけなんです。
アレ? 同じですかね?
「てかナチュラルでこのビジュかぁ……さっきの神様もそうだったけど、今日はとんでもないのばっかりね」
「え?」
「なんでもありません。二人とも、やってあげるからこっち来て」
「了解した。ほら、姉さんも」
「あっ、ちょっと待っ――」
自分の意志は関係ないようで、いつの間にかイザクラさんに化粧を施してもらうことが決定していました。なんということでしょう。
「姉さん!」
「な、なに?」
「楽しいな!」
「……うん!」
お店の奥に連れられながら、従妹の笑顔にこちらも笑って返します。
ええ、本当に楽しい。
それに、貴女のそんな笑顔が見られて本当に嬉しく思います。
……でも、お姉ちゃんを引きずるのはやめてほしいかなぁ。別に逃げないから……。
イザクラさんに化粧をしてもらってお店を出た後、最初と同じようにひーちゃんの背中を追いかけながらお店を回りました。
そして刻々と時が経ち、最後に立ち寄ったのは雑貨店。
家族や友人へのお土産を買おうとやってきたところです。
「ボクは友人と先輩方に贈るとしよう。姉さんは?」
「自分はお父さんと……|幽霊《ノロイ》さんとセンパイに買おうかな」
二人で送る人の事を考えながら店内を巡ります。色々なものがあって目移りしますが、どれにしましょうか。
そういえばノロイさん、センパイに預けた時に「美人の近くに居て嗅げないなんて生殺しじゃねえか……」とか言っていた気がします。意味はよく分かりませんでしたがとても悲しそうでしたし、励ませるようなものがあればいいかもしれません。
匂いがお好きみたいでしたし、アロマ系を……いえ、今は嗅覚がないんでした。アロマ系はセンパイで、ノロイさんには見て楽しめる物を選ぶとしましょう。
……それにしても……。
「あの、なんだかさっきから周りがこっちを見てるような気がするんだけど……」
「そうだろうか。気にしすぎじゃないか?」
彼女はそう言いますが、時間が経つごとに遠目でこちらを見る人が増えている気がします。
もしかして、お化粧が似合っていないのでしょうか。
そんなネガティブな考えが頭を過ぎったところで、ひーちゃんが「そうか!」と声を上げました。
「きっと髪の色が珍しいのさ! ボクは|銀《しろがね》、姉さんは|金《やまぶき》だからな!」
「で、でも時間が経つごとに視線が増えてる気がするんだけどぉ……」
「時間が経てば|お客さん《ギャラリー》も増えるだろう?」
な、なるほど。
自信満々に言われると、たしかにそんな気がしてきました。
しかし、納得したところで自分は人の視線が苦手な身。
すぐに会計を済ませ、彼女の手を引きながら逃げるようにショッピングモールを後にしたのでした。
〇〇〇
「下が少し濡れているな。誰か|潤いの祝福《飲み物》でも溢したのか?」
「滑らないように気をつけようね」
「それは姉さんだろう。さっきから足元が震えているぞ」
「あれだけ歩き回ればこうなるよ……」
「……イザクラ先輩もそうだが、姉さんも普段から身体を動かした方が良いのではないか?」
駅で帰りの電車を待ちながら、なんでもない会話を交わします。
ええ、言われていることはその通りなので何も言い返せません。……ジョギングでもした方がいいでしょうか。
「そ、それより今日は誘ってくれてありがとう。楽しかったよ」
「ハハ、此方こそ。……それにしても姉さん、本当に奢ってもらって良かったのか? お金は用意しているのだが」
「だ、大丈夫! これでも大学でバイトしてるから!」
「そうなのか? では今回はその厚意に甘えるとしよう。それで――」
「あ、来たよ」
話の途中でしたが、目的の電車がやってきました。
会話を一旦打ち切り、前に並んでいる人達に続くように進んで自分達も乗車しようと思ったのですが……
「きゃ……!」
「姉さ……っと!」
勢いよく出てきた大勢の降車客に身体を押され、思わずバランスを崩してしまいました。
流石は連休というべきか、後ろの方に並んでいた自分達の方まで人波が来て、彼女と少し離されてしまいました。
急いで彼女の元に戻ろうとしますが、自分は小柄な身。なかなか前に進むことができず、目的の電車にも乗ることができません。
どうにか藻掻きながら、前へと進もうとしたその時。
ドン、と身体を強く押された自分は余計に体勢を崩してしまいました。
なんとか踏ん張ろうとその場で足を踏み込んだのですが……
―――ズルッ。
「……えっ……」
突然、足元が滑って身体が浮き上がりました。
ああそうか。さっきの水溜りがあったんだ。
そう気が付いた時にはもう遅く、自分の身は目的の電車とは真逆の線路上へと投げ出されていて――すぐそこには、入線しようとしている快速電車の姿が見えていました。
「―――姉さん!!!」
宙に投げ出された状態で、愛する従妹の声が聞こえる。
そんな中、何故だか世界中がゆっくりとした光景に見えながらも、自分はぼんやりと「ああ、これは駄目だ」と実感のない諦めた考えが浮かんでいました。
せっかく助けてもらったのに。
せっかくあの子と、また仲良くなれたのに。
短い時間の中でそんな後悔をしながら、目を瞑りました。
そしてそのまま線路上へと吸い込まれていく――
――と、思っていた瞬間。
―――ビュンッッ!!!
とてつもない風切り音と共に、身体が何かに包まれるような感覚に囚われました。
「―――……?」
轢かれたのかと思ったのですが、特に身体に痛みも衝撃もありません。
というかむしろ、優しく抱えられているような感覚で安心感があるような?
恐る恐る目を開けてみると……
「ご無事ですか、お嬢サン」
顔を灰色の布で覆い、赤い左眼が隙間から見えている。
そんな人間なのかどうか分からない人間の顔が、自分の眼前にありました。
「ご、ごごごごめんなさい!!」
ホームの端の辺りに移動してから、顔に布を巻いた方……|纏《マトイ》さんに対して土下座する勢いで頭を下げました。
マトイさんは落ちそうになった自分を助けて下さったようで、引き寄せた際に抱きかかえる形になったようです。
しかし、あろうことかその不気味な……いえ、特徴的な装いの顔を見た自分は救助された身にも関わらず悲鳴を上げ、マトイさんの顎の辺りに掌底を叩きこんでしまったのです。
「顔を上げてください。むしろお怪我が無いようで安心しましたから」
「怪我をしているのは貴方だと思うが……大丈夫なのか?」
「この格好については気にしないでください。事情があって元からこういう格好ですので」
いえ、|顔の布《そっち》の事じゃないです。たしかに気になりますけども。
「むしろ此方こそ謝罪しなければいけませんよ。不可抗力とはいえ、貴女を乱暴に抱きかかえてしまったわけですから。申し訳ありませんでした」
「い、いやいやいや頭を上げてください! 助けていただいたんですから、そんなこと気にしてませんよ!」
「そうですか。じゃァお相子ということで」
自分が慌てていると、マトイさんはあっさりと頭を上げてポンと手を叩きました。
き、切り替えが早い。というよりも、こちらが気にしないように振舞ってくださっているようです。
「いや、でも……」
「まあ待つんだ姉さん。気を遣ってくれているのに引き下がらないのは逆に失礼になるのではないか?」
……そう言われるとたしかにその通りです。
従妹にたしなめられて落ち着き、反省します。過ぎた謙遜は良くないですもんね。
「それにしても、先程は凄まじかったな! まさか|離れし対の片島《向かいのホーム》から跳んで姉さんを抱きとめるなんて……イカロスの跳躍も斯くやといった跳躍で見惚れてしまったぞ!?」
「さ、流石にそれは見間違いじゃないかなぁ……?」
たしかにマトイさんは人間離れした見た目ではありますが、流石に逆側のホームから跳んできたなんてことは無い筈です。人も多かったことですし……瞳を輝かせて興奮している彼女には悪いですが、きっと見間違いでしょう。
「ハハ、どうでしょうね。それでは私はこれで。お気を付けてくださいね」
「え、あ……ありがとうございました!」
マトイさんは否定も肯定もせず曖昧に笑うと、軽くお辞儀をしてから去っていきました。
改札へ続く階段を上がっていくその背に向けて、自分達も頭を下げて見送ったのでした。
それから電車を乗り継いで家へと帰る道中、自分達の間で上がる話題はさっきの事ばかりでした。
「マトイさん……凄い人だったな! ああいう人間になってみたいものだ」
「え、いやそれはちょっとやめた方がいいかも……」
「? 人を助けるのは良い事ではないか」
あ、そっちね。
そうですね、人助けは良い事です。尤も、自分は十分貴女に助けられていますが。
「ところで姉さん。さっきの話の続きなのだが」
「さっきの……?」
ええっと……どの話でしょうか。
「姉さんが助けられる直前、並んでいた時に話をしていただろう」
「ああ、そういえば」
……マトイさんのインパクトが強すぎてすっかり忘れていました。正直、今日のお出かけの思い出の大半があの人の顔(というか布)で塗り替えられつつあります。
「何の話してたっけ?」
「今回は姉さんのご厚意に甘えておこうという話まではしていたな。……それで、次は何処へ行こうか?」
「もう次の話? 気が早くないかなぁ」
「|運命を指し示す時が《予定を立てるのは》早いに越したことはないだろう? そうだ、次はレイさんやイザクラ先輩も誘うのはどうかな。きっと楽しいぞ!」
先々の話を進めながら、彼女は楽しそうに笑顔を浮かべました。勝手だなぁ、まったく。
昔からそうです。小さい頃、初めて一緒に遊んだ時も彼女は色んな提案をしてきて、自分が控えめに乗ると手を引いて色んな所へ走り回っていました。その背中を苦労して追いかけたものです。
そう、ちょうど今日みたいに――。
「――あ」
そうか。
今日一日、彼女がやけにテンションが高い理由にやっと気が付きました。
彼女はきっと、自分と昔のように遊びたかったのです。
以前あんな事があった自分と以前のような関係にちゃんと戻れたか、本当は不安でいっぱいだったのでしょう。だから、敢えて昔のような子供っぽい所作でテンションを上げていた……というのは考えすぎでしょうか。
自分の予想でしかありませんが、この子のことだからきっとそういうことなんだろうなぁ、という謎の確信があります。子供の頃から仲が良いからでしょうか。
「ひーちゃん」
「なんだ、姉さん!」
「心配しなくても、貴女を嫌うことなんてないよ」
安心させるように、言葉を端的に口にしました。
いえ、口にしたというよりも口から零れ落ちたと言うべきでしょうか。
自分でもよく分からないくらい自然に、自分の素直な気持ちは彼女へと放り投げられたのです。
それを聞いた彼女は動きを止め、目を丸くしてこちらを見つめました。
そして……
「き……気が付いていた、のか」
顔を赤くして、そう呟きました。
どうやら自分の考えは当たっていたようですね。ふふん。
思わずしたり顔になりそうなのを抑えつつ、驚きと恥ずかしさの入り混じる従妹へ向けて、笑顔を向けます。
「―――次は、どこに行こうか?」
自分の言葉に彼女はまた目を丸くして、ポカンと口を開けました。
しかし今度はすぐに隣までやってくると、
「―――ああ、早速予定を立てようじゃないか!」
彼女も笑って、元気よく声を上げました。
いつも通りで、昔のまま。
何も変わらない自分達は仲良く夕日に照らされた道を歩くのでした。