◇ ◇ ◇
──なんだ、彰って思ったよりずっとあたしのこと好きなんじゃん。
あまりにも優しすぎて、なんかこいつ「彼女」って存在が欲しかっただけなんじゃない? 別にあたしじゃなくても、そこそこ可愛くて人気者の女の子の「彼氏」をやって、周りに見せつけたかっただけで、とか思っちゃったんだよね。
だからちょっと試した、ことになるのかもしれない。
あたしは飾りじゃないわ。「明るくてみんなに好かれる」自慢の彼女なんて全然嬉しくなかった。
彰には悪いことしたかな。わざと「リッキー!」って騒いでみせたりして。
「リッキー」推しなのも、彼に救われたのも嘘じゃないよ。あたしを助けてくれたアイドルに、少しでも応援返したいと思ってるのもホント。第一は「好きで推しだから!」だけどさ。
ねえ、あたしたち手を繋ぐのだって初めてなんだよ?
びっくりしたような顔の彰に「ごめんね」の意を込めて、あたしは隣を歩く彼に自然に見えるよう笑って話し掛けた。
「動画取っとく? 十年後には──」
これって十年後も一緒にいたい、って意味なの通じてるかな。
彰にははっきり言わないと無理か。まあ「十年後」に答え合わせすればいいよね。
~END~