四章 超能力者達(秋菜視点)46
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突然、男達は現れた。音もなく、出現した。夏生の背後で、秋菜は呆然と立ち尽くす。
「大丈夫。僕たちは敵じゃない」軽い調子でそう話す姿は、得体の知れなさを感じさせて、秋菜は身を竦ませる。
二階から、夏生達の前に彼らは移動する。いや、突然、現れた。目の当たりにすると分かる。この超能力は瞬間移動だ、と。
「じゃあ、頼む」少年の言葉に、背の低いフード被った人が頷いた。片膝と片手を床につける。地響きが聞こえる。秋菜は目を疑った。剥き出しになった配管が、元の状態に戻っていく。といっても、元の老朽化した状態ではあるが。
秋菜が周囲を見渡すと、砕けた壁なども修復されていた。気がつくと、水も蒸発し、辺り一面が乾いていた。
「何が起こってるんだ?これは。夢なのか?」西田が苦笑し、軽口を叩く。虚勢を張り、自分を落ち着かせたいのだろう。
「夢なんかじゃありませんよ」少年が笑う。
少年がもう一人の仲間に指示をする。背の高いフードの人が西田に手を向けると、身体中の傷が治癒されていった。「おお、傷が治っていく。すげぇ」西田が驚きの声を上げる。「身体が軽い」
「残る二人にもお願いします」少年の言葉に背の高いフードの人が頷き、奔走する。夏生と秋菜の火傷痕や傷が、消えていく。
少年は引き続き指示を出し、フード達は山岸の方へと向かっていく。少年は一通りの作業を終えたのか、ほっと一息をつき、夏生の前で膝をついた。秋菜と西田は背後で生徒のように大人しく座っている。
「申し遅れました。私は天羽と言います。あなたのような超能力者を集めている組織のリーダーです」まあ、お飾りのようですが、と天羽は笑う。
「超能力者の、組織……」夏生が驚いたように呟く。 天羽は本題に入らんとばかりに表情を引き締めた。「安藤夏生さん、あなたのような存在が私達には必要です。単刀直入に聞きますが、組織に、入りませんか?」
「え?」夏生は戸惑いの表情を天羽に向けている。逡巡した様子を見せた後で口を開く。「私は——」
絶叫が響く。山岸の声だった。炎が、フード達の周囲で燃えている。「俺は、こんなところで終わる人間じゃねぇ」山岸は吐き捨てると、廃倉庫から飛び出して行った。
「あっ」夏生が慌てて立ち上がり、山岸に手を向ける。「放っておきなさい」と天羽が夏生の動きを制した。山岸を見るその表情は冷たく、突き放すようだった。
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「大丈夫。僕たちは敵じゃない」軽い調子でそう話す姿は、得体の知れなさを感じさせて、秋菜は身を|竦《すく》ませる。
二階から、夏生達の前に彼らは移動する。いや、突然、現れた。目の当たりにすると分かる。この超能力は瞬間移動だ、と。
「じゃあ、頼む」少年の言葉に、背の低いフード被った人が頷いた。片膝と片手を床につける。地響きが聞こえる。秋菜は目を疑った。剥き出しになった配管が、元の状態に戻っていく。といっても、元の老朽化した状態ではあるが。
秋菜が周囲を見渡すと、砕けた壁なども修復されていた。気がつくと、水も蒸発し、辺り一面が乾いていた。
「何が起こってるんだ?これは。夢なのか?」西田が苦笑し、軽口を叩く。虚勢を張り、自分を落ち着かせたいのだろう。
「夢なんかじゃありませんよ」少年が笑う。
少年がもう一人の仲間に指示をする。背の高いフードの人が西田に手を向けると、身体中の傷が治癒されていった。「おお、傷が治っていく。すげぇ」西田が驚きの声を上げる。「身体が軽い」
「残る二人にもお願いします」少年の言葉に背の高いフードの人が頷き、奔走する。夏生と秋菜の火傷痕や傷が、消えていく。
少年は引き続き指示を出し、フード達は山岸の方へと向かっていく。少年は一通りの作業を終えたのか、ほっと一息をつき、夏生の前で膝をついた。秋菜と西田は背後で生徒のように大人しく座っている。
「申し遅れました。私は|天羽《あもう》と言います。あなたのような超能力者を集めている組織のリーダーです」まあ、お飾りのようですが、と天羽は笑う。
「超能力者の、組織……」夏生が驚いたように呟く。 天羽は本題に入らんとばかりに表情を引き締めた。「安藤夏生さん、あなたのような存在が私達には必要です。単刀直入に聞きますが、組織に、入りませんか?」
「え?」夏生は戸惑いの表情を天羽に向けている。逡巡した様子を見せた後で口を開く。「私は——」
絶叫が響く。山岸の声だった。炎が、フード達の周囲で燃えている。「俺は、こんなところで終わる人間じゃねぇ」山岸は吐き捨てると、廃倉庫から飛び出して行った。
「あっ」夏生が慌てて立ち上がり、山岸に手を向ける。「放っておきなさい」と天羽が夏生の動きを制した。山岸を見るその表情は冷たく、突き放すようだった。