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四章 超能力者達(秋菜視点)40

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翌日の夕方、山岸は夏生を呼び出した。到着を待つ中、彼は廃倉庫内に細工を施していた。
「なにを、しているの?」電話口で夏生の声を聞いた瞬間、秋菜は泣き出してしまった。気丈に振る舞うのは限界だったのだ。『放っておいて』と秋菜は突き放したが、きっと夏生は、助けに来るのだろう。二人の超能力者の行く末を見守ろしかない、と秋菜は思い始めていた。
 辺りを見渡すと床に、何かを引き摺ったような痕が目に入る。以前は大型のラックやコンテナが置かれていたのだろう。夏生の超能力対策のためか、移動された痕跡があった。
「これか?爆弾を設置しているんだよ」ドアの内側に四角い箱のような物を取り付けている。開けたら爆発をする仕組みなのだろう。そんなことをしたら、この建物も無事では済まない。壁が倒壊し、天井が落下する場面を思い浮かべる。さっ、と顔が青ざめ、全身に鳥肌が立った。
 秋菜の表情を見て察したのだろう。山岸は「この建物はそう簡単に壊れねぇ」と言った。「特殊な施工(せこう)がされているんだ。俺が能力をぶっ放しても引火はしないし、倒壊もしない」
 壁に目を向けると焼け焦げた痕が残っているが、山岸の話す通り、すぐにでも倒壊しそうな状況とは思えなかった。
 廃倉庫内に設置されていたであろう壁沿いにある二つの蛇口。それは見る影もなく配管が剥き出しになっていた。どれ程の激しい修行をしてきたのかを物語っている。加えて、灯油の匂いが鼻につく。修行の一環で使ったのだろうか。
「この程度でやられるようであれば、それまでだったってことだ」山岸が吐き捨てた。言葉とは裏腹に夏生に期待しているような表情だった。
 
 山岸の予測通り、夏生はドアごと破壊し、爆弾の罠を(くぐり)り抜けた。爆発の痕で、床が燃えている。秋菜は、爆弾の罠を突破したことではなく、超能力の威力に驚いていた。普段の修行では力を抑えていたのだろう。
 加えて、怒りの感情で歯止めが効かなくなっている。あながち、山岸の「超能力者は能力を持て余している」という考えは間違っていないのかもしれない、と思った。そして夏生の周囲には三色のビー玉が飛んでいる。普段、ヘアゴムについているビー玉だった。秋菜にはそれが何を意味するのか、わからなかった。
「来たか……」山岸が立ち上がる。「お前が夏生か」片手を夏生に向けた。まずい、と秋菜は自身に受けた能力を思い出す。
 夏生も同じように手を向けた。空間が歪み、ぱちんと弾けるような音がする。防いだのだ、と秋菜は気づく。
「はっ、やるじゃねぇか」山岸は冷や汗をかいている。気がつくと赤色のビー玉が、山岸の目の前に、あった。夏生は右腕を引いてから、山岸に突き出した。空気が、揺れた。轟音が響く。見えない壁に押されるかのように山岸が吹き飛ばされ、壁に衝突した。秋菜は目の前の光景に唖然とすることしかできなかった。このような技があるとは、秋菜は知らされていなかったのだ。赤色のビー玉が、砕け散った。
「ずっと言おうと思ってたけど」夏生は淡々と呟いた。「馴れ馴れしく名前で呼ばないで」


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翌日の夕方、山岸は夏生を呼び出した。到着を待つ中、彼は廃倉庫内に細工を施していた。
「なにを、しているの?」電話口で夏生の声を聞いた瞬間、秋菜は泣き出してしまった。気丈に振る舞うのは限界だったのだ。『放っておいて』と秋菜は突き放したが、きっと夏生は、助けに来るのだろう。二人の超能力者の行く末を見守ろしかない、と秋菜は思い始めていた。
 辺りを見渡すと床に、何かを引き摺ったような痕が目に入る。以前は大型のラックやコンテナが置かれていたのだろう。夏生の超能力対策のためか、移動された痕跡があった。
「これか?爆弾を設置しているんだよ」ドアの内側に四角い箱のような物を取り付けている。開けたら爆発をする仕組みなのだろう。そんなことをしたら、この建物も無事では済まない。壁が倒壊し、天井が落下する場面を思い浮かべる。さっ、と顔が青ざめ、全身に鳥肌が立った。
 秋菜の表情を見て察したのだろう。山岸は「この建物はそう簡単に壊れねぇ」と言った。「特殊な|施工《せこう》がされているんだ。俺が能力をぶっ放しても引火はしないし、倒壊もしない」
 壁に目を向けると焼け焦げた痕が残っているが、山岸の話す通り、すぐにでも倒壊しそうな状況とは思えなかった。
 廃倉庫内に設置されていたであろう壁沿いにある二つの蛇口。それは見る影もなく配管が剥き出しになっていた。どれ程の激しい修行をしてきたのかを物語っている。加えて、灯油の匂いが鼻につく。修行の一環で使ったのだろうか。
「この程度でやられるようであれば、それまでだったってことだ」山岸が吐き捨てた。言葉とは裏腹に夏生に期待しているような表情だった。
 山岸の予測通り、夏生はドアごと破壊し、爆弾の罠を|潜《くぐり》り抜けた。爆発の痕で、床が燃えている。秋菜は、爆弾の罠を突破したことではなく、超能力の威力に驚いていた。普段の修行では力を抑えていたのだろう。
 加えて、怒りの感情で歯止めが効かなくなっている。あながち、山岸の「超能力者は能力を持て余している」という考えは間違っていないのかもしれない、と思った。そして夏生の周囲には三色のビー玉が飛んでいる。普段、ヘアゴムについているビー玉だった。秋菜にはそれが何を意味するのか、わからなかった。
「来たか……」山岸が立ち上がる。「お前が夏生か」片手を夏生に向けた。まずい、と秋菜は自身に受けた能力を思い出す。
 夏生も同じように手を向けた。空間が歪み、ぱちんと弾けるような音がする。防いだのだ、と秋菜は気づく。
「はっ、やるじゃねぇか」山岸は冷や汗をかいている。気がつくと赤色のビー玉が、山岸の目の前に、あった。夏生は右腕を引いてから、山岸に突き出した。空気が、揺れた。轟音が響く。見えない壁に押されるかのように山岸が吹き飛ばされ、壁に衝突した。秋菜は目の前の光景に唖然とすることしかできなかった。このような技があるとは、秋菜は知らされていなかったのだ。赤色のビー玉が、砕け散った。
「ずっと言おうと思ってたけど」夏生は淡々と呟いた。「馴れ馴れしく名前で呼ばないで」