表示設定
表示設定
目次 目次




エピローグ~また、いつか

ー/ー



 「あー、食った食った。ご馳走様でした!」
 イシュタルは心ゆくまでおでんを堪能し尽くし、笑顔で席を立った。
 「親父さん、いくらです?」
 ポケットから財布を取り出そうとするのへ、店主は軽く手を振った。
 「いや、お代は結構。今日は私の奢りだ」
 「え?でも、俺、結構食っちゃったし」
 「ふふ、確かにいい喰いっぷりだった。流石は龍だな」
 「あっ……」
 「実は、今日は客足が今ひとつでね。たくさん食べてくれて助かったよ」
 そう言って、店主はウィンクした。イシュタルは申し訳なさそうに首を竦める。
 「すみません。じゃあ、お言葉に甘えて――あの、また来てもいいですか?」
 「勿論。見つけたら寄ってくれ」
 「ありがとうございます!……あっ、俺、イシュタルっていいます」
 「私はラディン。こちらではランさん、と呼ばれている」

 互いに名乗り合った後、二人は実にいい顔で笑った。
 独りぼっちの龍と、国を追われた王。この二人の間に新たな繋がりが生まれたのだ。
 
 「じゃあ、ランさん。また来ます」
 「またおいで。イシュタル」

 屋台に背を向けて歩き出すイシュタルを見送るラディン。
 ふと空を見上げると、師走の寒空に丸い月が浮かんでいる。
 (蒼き龍よ、また会おう)
 ラディンは夜空に龍の姿を思い浮かべながら、静かに微笑んだ。


スタンプを贈って作者を応援しよう!



みんなのリアクション



おすすめ作品を読み込み中です…



 「あー、食った食った。ご馳走様でした!」
 イシュタルは心ゆくまでおでんを堪能し尽くし、笑顔で席を立った。
 「親父さん、いくらです?」
 ポケットから財布を取り出そうとするのへ、店主は軽く手を振った。
 「いや、お代は結構。今日は私の奢りだ」
 「え?でも、俺、結構食っちゃったし」
 「ふふ、確かにいい喰いっぷりだった。流石は龍だな」
 「あっ……」
 「実は、今日は客足が今ひとつでね。たくさん食べてくれて助かったよ」
 そう言って、店主はウィンクした。イシュタルは申し訳なさそうに首を竦める。
 「すみません。じゃあ、お言葉に甘えて――あの、また来てもいいですか?」
 「勿論。見つけたら寄ってくれ」
 「ありがとうございます!……あっ、俺、イシュタルっていいます」
 「私はラディン。こちらではランさん、と呼ばれている」
 互いに名乗り合った後、二人は実にいい顔で笑った。
 独りぼっちの龍と、国を追われた王。この二人の間に新たな繋がりが生まれたのだ。
 「じゃあ、ランさん。また来ます」
 「またおいで。イシュタル」
 屋台に背を向けて歩き出すイシュタルを見送るラディン。
 ふと空を見上げると、師走の寒空に丸い月が浮かんでいる。
 (蒼き龍よ、また会おう)
 ラディンは夜空に龍の姿を思い浮かべながら、静かに微笑んだ。