15話
ー/ー
入り組んだ住宅街を進んでいくと田中の家が見えてくる。二階建ての住宅だ。
辿り着くと、田中は「ちょっと待っててくれ」と言い、家の中へと入っていった。
僕は田中の提案に気分が上り忘れていたが、冷静になりこれからの展開を考えるとゾッとした。
きっと家の中では母親は学校にいるはずの息子が帰ってきたことに驚き、叱るだろう。そして学校に電話をかけ連れ戻されるのかもしれない。僕は田中とその母親に対し申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
案の定、田中と彼の母親が姿を現した。田中の母親は僕を見つけると駆け寄ってきたため、ギュッと目を瞑る。
「ごめんなさいね。康明が迷惑をかけて」と頭を下げたので僕は目を開け「え?」と言葉が口からこぼれ落ちた。
「事情は康明から聞いたわ。鍵を渡すから、早く行きなさい」田中の母親は真剣な目で鍵を渡してきた。
「いいんですか?」僕は驚きつつ、尋ねる。
「いいも何も、今しか勇君に会えないんでしょ。どれだけ仲が良いかは康明から普段の話から聞いているの。急がないと。康明の足が遅いばかりにこんなことになってごめんねぇ」ぺこぺこと頭を下げている。
「母ちゃん、透に変なこと吹き込まないでくれよ」田中は頭を掻き、顔を歪めている。
「あら、事実を言ったまでよ」田中の母親は堂々としている。ふくよかな体型は似ているが、歯に衣着せぬ物言いは正反対だ。
「本当に、母ちゃんはデリカシーがないんだから」田中はため息をついている。当たり前だが、僕と話す時と母親の時とでは話し方が違うようだ。親子の掛け合いの様子を見ていると、「ほら、何ボーッとしてるんだよ。早く勇のところに行きなよ」と促してきた。
「ありがとうございます」と僕は頭を下げ「自転車お借りします」と言った。
ペダルに足をかけようとしたところで田中から「透、そういえばさ」と声をかけられ振り向いた。
「どうした?」
「これだけやってるし、これから先生達に怒られるんだからさ、今度飯奢れよ」とここぞとばかりに強気に出てきた。
僕は苦笑いしながらも、「おう、楽しみにしとけ」と手を上げ、ペダルを踏み込んだ。背後からは「何言ってるんだい」と田中を叱責する声が聞こえてきて僕は思わず噴き出してしまう。さて、後は勇の家に向かうだけだ。
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きっと家の中では母親は学校にいるはずの息子が帰ってきたことに驚き、叱るだろう。そして学校に電話をかけ連れ戻されるのかもしれない。僕は田中とその母親に対し申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
案の定、田中と彼の母親が姿を現した。田中の母親は僕を見つけると駆け寄ってきたため、ギュッと目を瞑る。
「ごめんなさいね。康明が迷惑をかけて」と頭を下げたので僕は目を開け「え?」と言葉が口からこぼれ落ちた。
「事情は康明から聞いたわ。鍵を渡すから、早く行きなさい」田中の母親は真剣な目で鍵を渡してきた。
「いいんですか?」僕は驚きつつ、尋ねる。
「いいも何も、今しか勇君に会えないんでしょ。どれだけ仲が良いかは康明から普段の話から聞いているの。急がないと。康明の足が遅いばかりにこんなことになってごめんねぇ」ぺこぺこと頭を下げている。
「母ちゃん、透に変なこと吹き込まないでくれよ」田中は頭を掻き、顔を歪めている。
「あら、事実を言ったまでよ」田中の母親は堂々としている。ふくよかな体型は似ているが、歯に衣着せぬ物言いは正反対だ。
「本当に、母ちゃんはデリカシーがないんだから」田中はため息をついている。当たり前だが、僕と話す時と母親の時とでは話し方が違うようだ。親子の掛け合いの様子を見ていると、「ほら、何ボーッとしてるんだよ。早く勇のところに行きなよ」と促してきた。
「ありがとうございます」と僕は頭を下げ「自転車お借りします」と言った。
ペダルに足をかけようとしたところで田中から「透、そういえばさ」と声をかけられ振り向いた。
「どうした?」
「これだけやってるし、これから先生達に怒られるんだからさ、今度飯奢れよ」とここぞとばかりに強気に出てきた。
僕は苦笑いしながらも、「おう、楽しみにしとけ」と手を上げ、ペダルを踏み込んだ。背後からは「何言ってるんだい」と田中を叱責する声が聞こえてきて僕は思わず噴き出してしまう。さて、後は勇の家に向かうだけだ。