新着レビュー
単に夢のようなお話では決してなく
※ネタバレありです。
表向きはおそらく男の人が観る優しい夢として描かれ、あえてそのように綴られている側面もあるのではないかと思います。
しかし、だからこそ全編を通じて心地好くもどこか不思議というか狐につままれたかのような印象が拭えないのですが(大きめのネタバレとなりますが、天候やきっかけが小さな嘘だった点もこの印象に一役買っています)、その理由は最終幕「彩音の気持ち」を以って綺麗に氷解します。
貴史も、彩音も、かくあるべくして互いに寄り添ったのでしょう。
……と、ひと通り読んだあと再読すると、隅々までよく考えられているのが分かります。
気持ちが先に立てばこそ、彩音が少しずつ(物理的に)外堀を埋めていく様子は味わい深く、着実に関係の進展がみられるところが好いですね。
(そして、そういう人だからこそ傷を負ったのだろうとも思います)
大変見事なお点前でございました。
袖すり合うも他生の縁。細い糸を必死にたぐり寄せた先にあるものとは。
袖すり合うも他生の縁。仏教では前世の功と罪により現世(仏教用語では今生(こんじょう))における人智で測れぬ身分や運が決まると説かれます。そこから、どこかで見知らぬ人と服の袖が触れたとして、それは他生つまり前世の自分たちの為したことが結んだ縁だと言います。まぁ、半ばやっかみなのですが。
まるで信じられていない神仏頼みのような、コンビニで雨宿りしたら美女と並んでいたなんて幸せなシチュエーション、きっと主人公は前世で功徳を積んでいたのでしょう。しかし後は現世の自分の努力次第。
上手くいくはずがないところを、細い糸を必死にたぐり寄せ、主人公は美女との関係を深めます。いやぁ、いいなぁ。ただ、そこには…… 言うのは野暮ですね。
ヒロインがとにかく艶っぽい。そして肉感的。大人の女性の余裕と胸の豊かさに、主人公は、そして男性読者はたっぷりと甘えられます。
こんなことが現実に起きたらいい。それを叶えるのが小説です。大人が起きて見る夢をきちんと叶えます。
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