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第一話


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作者: 理乃碧王





1話:ワッショイ! 愛の国インドの神輿ギャル!

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 わっしょい! わっしょい! わっしょい!
 わっしょい! わっしょい! わっしょい!
 わっしょい! わっしょい! わっしょい!

 笑顔良し!

 体力良し!

 集まれ元気女子!

 夏だわっしょい!

 祭だわっしょい!

 ギャル神輿だわっしょい!

 粋な乙女達の声が弾む!

 ここ大阪は天神橋筋商店街。
 赤い法被にねじり鉢巻き、赤き情熱の乙女達が神輿を担ぐ。

 これなるは『天神祭女性御神輿』。
 人々は親しみを込めて『ギャル神輿』と呼んでいる。

 日本三大祭りの一つ、大阪天満宮の天神祭を前に行われる神事である。
 オーディションで選ばれた、十五歳から三十三歳までの乙女達が重さ約二百キロの神輿を担ぎ、天神橋商店街を練り歩く恒例行事。
 乙女達の「わっしょい!」の掛け声と共に、笛の音色が人々を楽しませる。

「わっしょい!」

「わっしょい!」

 その始まりは一九八一年。
 地域の振興と大阪文化の高揚、明るく楽しい街づくりを目指して始まった。
 天神橋筋6丁目から大阪天満宮までの一往復半、約四キロを巡行する。

「ワッショイ!」

 その中に南国生まれであろう褐色の肌の乙女がいた。
 彼女の名前はプリヤ・シン、年齢は二十二歳。
 日本の大学に通う所謂『留学生』である。
 国籍はインド、つまりはガンジーの国の出身。
 プリヤは『ギャル神輿オーディション』の厳しい選考を突破した『異色の神輿ギャル』だ。

 ※ギャル神輿オーディション:一次審査(書類選考)二次選考(天秤棒担ぎ・重さ約60kg 面接・飛びっきりのやる気、元気、笑顔が必要)

 少しだけ、このプリヤ・シンのことを紹介しよう。
 プリヤはインドの裕福な家で生まれ、両親や兄弟の愛を受けて育った。
 彼女が八歳の時、日本のアニメ『魔法少女プリティーワッショイ』を視聴しドハマり。

「ワ、ワッショイ!」

 この極東の地にガンダーラを感じた。
 プリヤ・シンは日本へと行ってみたいと強く思ったのだ。

 そして、プリヤが二十歳になった時。
 彼女は日本の大学へ留学したいことを両親に相談する。

「ワッショイ!」

 そう、ワッショイと日本への想いを口にした。
 日本の大学で勉強したいと強く願ったのだ。
 父はサーベルを口を咥えながらこう言った。

「ハタリハタマタ!」

 そう、ハタリハタマタ。
 よくわかんないけど「いいぞい!」という意味である。
 そして、母はヨガ(ワシのポーズ)をしながらこう続ける。

「カラリパヤット!」

 そう、カラリパヤット。
 よくわかんないけど「いいわよ!」という意味である。
 誠に優しい両親である。

「ワッショイ!」

 こうして、プリヤは日本が大阪、たこ焼きの聖地に降り立ったのだ。
 なお大阪はたこ焼き以外ではない、お好み焼きや串カツもある。
 スポーツも野球が人気で、阪神やオリックスの話で盛り上がる。
 狭いようで拾い日本、その中でも独自の文化を持つ大阪は彼女にとって非常に刺激的であった。

「ワッショイ!」

 そして、今はカレー屋でバイトしながら日本の大学で勉学に励む。
 来日四年目、大学四回生、専攻は人文科学。
 当初、慣れない日本文化と言語に悩まされる難題もあったが無事にクリア。
 今は大好きな日本文化や勉強、バイトに励むエンジョイライフだ。

 このギャル神輿の参加は、彼女にとっては日本文化を学ぶ一環と思い出作り。
 来年の春には、母国インドに帰らなければならないのだ。

「ワッショイ!」

 今のところ、この台詞しかないプリヤ。
 そこには「これがニッポンの文化や!」「いい汗かけるわ!」「楽しいわ!」全てが込められている。
 また「さようなら! ニッポン!」「ありがとう! みんな!」「インドに帰ってもへこたれへんで!」の意味もある。
 プリヤは全身全霊で神輿を仲間と共に担いでいたのだ、わっしょい!

「な、なんやアレは!」

「おーん!」

 浪速のにいちゃん、ねえちゃん、おっちゃん、おばちゃん、

「なんでんねん!」

「どんでんねん!」

 じいちゃん、ばあちゃん、キッズ達が騒いだ。

「ワッショイ!?」

 プリヤ達の足が止まる!
 天神橋筋商店街の道を進むギャル神輿の前に――。

「ワ、ワッショイ!」

 とんでもないモノが立ち塞がったのだッ!





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