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「天宮さんは『実験』をやめては?」
「はぁ?」
 ナオヤくんの言葉に、加地くんと弓槻さんが一斉に立ち上がり、詰め寄った。
「何考えてんの? 深海くんにそんなこと言う権利ないでしょ」
「こういう時こそ友達として支えるんじゃねえのかよ!」
「僕がしたのは提案だけ。決めるのは天宮さんです」
 ナオヤくんの視線が、私に向いた。
「僕は、あなたはこれ以上『実験』を続ける必要はない……いえ、続けるべきではないと考えます。何故なら、あなたの母親の意思ばかり尊重することになるからです。実験を続けることは、あなたの精神的負担を考慮しない結果になると予想されます。それは、望ましいことではない」
 ナオヤくんの言葉が、広い家の中にこだまする。
 びっくりするような大きな声は、怒声そのものだった。彼は、表情はそのままに怒っていた。怒ってくれていた。
 一瞬驚いて硬直していた加地くんだったけど、彼の言葉の意味を咀嚼し始めた。
「それってさ、深海、何でそういう結論になるかはわかんねえけど、つまり……傷つくくらいなら、実験なんてしなくていい!……てこと?」
「……まぁ平たく言えば」
「要するに、深海くん……天宮さんに傷ついてほしくないと?」
「当然です」
 きっぱりと言い切るナオヤくんを、加地くんと弓槻さんはかえって感心した様子で見ていた。するとナオヤくんは、二人を順番に見て、呆れたように言う。
「お二人だって、そうでしょう。だから天宮さん本人より憤っている。違いますか?」
 そう言われて、二人は顔を見合わせる。そして、同時に頷いた。
「その通りだ」
「うん、まったくもって同意見」
 すると今度は、三人揃ってくるっと私を振り返った。一斉に見られて、ちょっと緊張が走った。
「じゃあ、決を()ります。天宮さん、『実験』をやめますか? 続けますか?」
「え」
 いきなり言われても。困る。戸惑っていると、横から弓槻さんが手を挙げる。
「あ、じゃあこれも提案! これから私たちは『天宮さん』じゃなくて『ヒトミ』ちゃんて呼ぶ」



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「天宮さんは『実験』をやめては?」
「はぁ?」
 ナオヤくんの言葉に、加地くんと弓槻さんが一斉に立ち上がり、詰め寄った。
「何考えてんの? 深海くんにそんなこと言う権利ないでしょ」
「こういう時こそ友達として支えるんじゃねえのかよ!」
「僕がしたのは提案だけ。決めるのは天宮さんです」
 ナオヤくんの視線が、私に向いた。
「僕は、あなたはこれ以上『実験』を続ける必要はない……いえ、続けるべきではないと考えます。何故なら、あなたの母親の意思ばかり尊重することになるからです。実験を続けることは、あなたの精神的負担を考慮しない結果になると予想されます。それは、望ましいことではない」
 ナオヤくんの言葉が、広い家の中にこだまする。
 びっくりするような大きな声は、怒声そのものだった。彼は、表情はそのままに怒っていた。怒ってくれていた。
 一瞬驚いて硬直していた加地くんだったけど、彼の言葉の意味を咀嚼し始めた。
「それってさ、深海、何でそういう結論になるかはわかんねえけど、つまり……傷つくくらいなら、実験なんてしなくていい!……てこと?」
「……まぁ平たく言えば」
「要するに、深海くん……天宮さんに傷ついてほしくないと?」
「当然です」
 きっぱりと言い切るナオヤくんを、加地くんと弓槻さんはかえって感心した様子で見ていた。するとナオヤくんは、二人を順番に見て、呆れたように言う。
「お二人だって、そうでしょう。だから天宮さん本人より憤っている。違いますか?」
 そう言われて、二人は顔を見合わせる。そして、同時に頷いた。
「その通りだ」
「うん、まったくもって同意見」
 すると今度は、三人揃ってくるっと私を振り返った。一斉に見られて、ちょっと緊張が走った。
「じゃあ、決を|採《と》ります。天宮さん、『実験』をやめますか? 続けますか?」
「え」
 いきなり言われても。困る。戸惑っていると、横から弓槻さんが手を挙げる。
「あ、じゃあこれも提案! これから私たちは『天宮さん』じゃなくて『ヒトミ』ちゃんて呼ぶ」