ドンガラガラ
ー/ー◇
むかし、 三匹のヤギがいました。
なまえは、どれも“ドンガラガラ”といいました。
ある時、山の草場で太ろうと山へのぼっていきました。
のぼる途中の谷川には橋があって、そこを渡らなければなりません。
橋の下にはきみのわるいおおきなトロールがすんでいました。
「この橋を勝手にとおろうとするやつはみーんなたべてしまうぞう!」
トロールはだれかが親切につくってくれた橋を我が物顔で占領しています。
「どうしよう? なんだかこわいなぁー」
「でも、向こうにわたらなくちゃおいしい草をおなかいっぱいたべられないよ」
ちいさなヤギのドンガラガラと、ちいさくはないヤギのドンガラガラは困っています。
するといちばんおおきなヤギのドンガラガラは「よし、俺が行こう」といいました。
がたん、ごとん、がたん、ごとん。
がたん、ごとん、がたん、ごとん、と橋が鳴りました。
あんまりヤギが重いので橋がきしんだりうなったりしたのです。
「いったいぜんたい何者だ! オレの橋をがたごとさせるやつは!」
とトロールが怒鳴ります。
「俺だ! おおきいヤギのドンガラガラだ!」
と山羊は言いました。
それはひどくしゃがれたガラガラ声でした。
山羊のすさまじい迫力に、橋どころか山までもがらんごろんと岩肌が崩れます。
山の鳥たちはいっせいにばたばたと飛び立ちました。
ねずみたちは我先にと逃げ惑い、お天気も暗雲が垂れこめてきました。
おおきな山羊のドンガラガラの覇気はそれはそれはちからづよいものでした。
これにはトロールもびっくり。
「いーや、まてまて。おまえの二匹のちいさな弟たちはどうした? ものごとには順序というものがあるだろう?」
「いいや、またないね。こっちには二本の槍がある。これで目玉を田楽刺し。おまけにおおきないしも二つある。これでにくもほねもこなごなにふみくだくぞ!」
こう、おおきいやぎがいいました。
ぴしゃ―ん!
稲妻が遠くで光ってうなります。
ごごごご! もっと遠くで火山が噴煙をあげるではありませんか。
この星が、おおきな山羊のドンガラガラのすさまじいちからにふるえているのです。
「まて、まて、まってくれー! ぐわぁー!」
そして、トロールにとびかかると、山羊は二本の角で目玉を串刺しにしました。
ヒヅメでにくもほねも木っ端微塵にして、トロールを谷底へ突き落としました。
それから山へのぼっていきました。
つづいて、ちいさな山羊と普通の山羊もことんことんと橋をわたって山へのぼります。
山羊たちはおいしい草をいっぱいたべて、ごきげんです。
きっとちいさな弟たちもやがて大きな山羊のようにすくすく育つことでしょう。
おしまい、おしまい。
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