表示設定
表示設定
目次 目次




自分とゲームコミニティ

ー/ー



外から軽い、車のクラクションの音が聴こえてくる。

(お、きたきた!) 

 窓から外を見つめると、真っ黒な闇夜に真ん丸お月様が輝いている。

 で、今何時だろうか? と思いスマホを手に取り見ると、時間は21時の深夜。

 自分の住んでいるアパート前に、1台の車が静かに止まる。

 うん、間違いない、自分の知人の車だ。

 自分は迷うことなく、その助手席に乗り込む。

「お待たせ。よし行こうか!」
「応ッ!」

 自分が乗り込むなり、迷うことなくアクセルを踏む知人。

 急いているのか、あっという間に法定速度ギリギリのスピードがでている。

「やる気マンマンだなお前」
「あったりまえよ! この日の為にアホみたいに練習しているしな!」

 その言葉を聞き、思わず苦笑いする俺。

(コイツ生真面目だし、負けん気強いしなあ)

 実際、知人の家に遊びに行った時、数時間同じ技をひたすら練習している姿を何回も見ているので、その言葉にウソはない。

 ちなみにその練習内容は、とある格闘ゲームのセットプレイやコンボの練習で、スポーツ例えるとテニスの壁打ちやボクシングのスパーみたいなもの。

 自分も学生時代や若い時は同じ事をやっていたが、今はとてもじゃないがそんな集中力と体力が無い。

 言い訳かもしれないが、そんな体力があったら自分は小説を書く!

 話を戻すが、自分達が行こうとしている場所。

 それはとあるゲームセンター。

 そう、自分達は、とある格闘ゲームの対人戦が好きで毎月2回くらいのペースで通っているのだ。

 このご時世でしばらく自粛していたが、最近解除されつつあることもあり、自分達の情熱も再燃焼したというわけだ。

 そんなこんなで色々雑談しているうちに、あっという間に目的地に到着する。

「あら? 結構車止まっているね」
「だな、乗り合わせしといて良かったな」

 というのも、駐車場はほぼ満席状態。

 大変有難いことに、この感じだと対戦相手には不自由しそうにない。

 空いた駐車場に車を止め、自分達は逸る気持ちを抑えきれず駆け足でゲームセンター内に入る。

 更にはお金を100円に両替していく。

 願わくば、今日は2枚の野口英雄で済ませたいと思いつつ……ね。

 というのも、このゲームセンターは全国でも有名な猛者が集う場所。

 有名な全国大会などで優勝している人達が集う聖地だったりする。

 なので、東京や大阪など他都道府県からも遠征に来ることもしばしばある。

 その強い人達と対戦すると、10回や20回やって1回しか勝てない戦績になり心がへし折られるのがザラだ。

 例えるなら、トランプや麻雀でずっと連敗するようなもので、精神衛生上良くないのだ、うん。

 とか自分が考えているうちに、店長に久々に会う。

「あ、店長お久しぶりです」

 俺は店長に軽く頭を下げ、会釈する。

「おお、お久しぶり! 最近見なかったね?」
「定職に付けたので、土日に中々来れなくなってですね」

「ああ、そりゃ、仕方ないね」

 自分はこんな感じで店長と、とりとめのない会話をしていく。

「今日は人数凄いよ?」
「え? マジっすか!」

「中見てみ?」

 自分はその言葉に驚き、店長に言われるがまま、対戦台をさっと覗く。

「うわあ……まじか」

 20人以上はいる。

 22時を過ぎた深夜に、しかもこんな20年以上前のゲーム1種類の為に。

 驚いた事に、ちょっとした大会が出来る人数が集っていた。

 おそらく、県内から全プレーヤーが募っているんだろう。

 皆顔見知りだし、当然自分も皆の顔を覚えている。

 一部の若い人達を除き、皆家庭持ちのオッサンだったりする。

「昔はね。うちのゲームセンターももっと凄くてね」

 自分の驚く様子を見た店長が、満面の笑みを浮かべ静かに語りだす。

「店の中に何百人もいてね。その事がゲームの有名な雑誌に取り上げられたりしてね」
「ああ、俺その雑誌、見た事あります!」

 もう、その雑誌は現在販売されていないが、昔のゲーマーご用達の有名な雑誌だった。

 分かりやすく例えるなら、健康雑誌なら『ターザン』、オカルト雑誌なら『ムー』と言ったところ。

「でも、このご時世だと中々ね……」

 店長は自分のマスクを指さす。

「うーん辛いですよね」

 思わずしんみりしてしまう自分達。

 仕方ない、今日は追加1枚の英雄の投入もやむなしか……。

 思わずそう考えてしまうが、手に握りしめている英雄がその時、自分に向かって微笑んでいる様に見えたのだ。

 あ、嘘ですゴメンなさい! んな訳ない! ただ単に自分が遊びたいだけです。
 
「じ、じゃあ、俺はガッツリ対戦してきますんで!」
「おう! 頑張ってな!」

 店長との話も終わり、自分は対戦台にいそいそと向かう。

 知人はもうガッツリ対戦しているようで、珍しく勝っている。

 成程、やはりベクトルの正しい練習は裏切らない模様。

 自分も仕事しながら、その活かせる全てをこのゲームの技術に応用する練習をしていたりする。

 当然、ゲームから仕事の逆も然りだ。

 更には自分のこのゲーム理論、小説を書くときにも応用していたりする。

 基本はインプットとアウトプット。

 更には実戦が全てだと思うし、やり方が間違っていたら当然成績にも反映する。

 運も絡むときもあるが、長期スパンで見るとそれは練習の延長線上による恩恵であることが分って来るのだ。

『仕事は遊び、遊びは仕事』

 何十年前、自分の尊敬する上司が言っていた言葉。

 今でも忘れない深い内容と言葉の重み。

(この言葉を俺は応用して色々実践してるんだよなあきっと)

 そんな事を考えながら、自分もコインを入れ対戦していく。

 最初は操作に慣れていないから何回か負けるが、慣れて来るとシーソーゲームになる。

 さっき書いた通り、全国1番クラスの人とかにはシーソーゲームにはならないですが。

 しばらくの対戦後、店が閉まり、居残り組が駐車場前でたむろう。

「この攻略の仕方どうですかね?」
「俺、ちゃんと技だせてました?」

 耳を澄ますと、色々な対戦内容の話が飛び交う。

 対戦後のこの雑談、実はこれがとても大事で、相手を通して客観性を得た反省会をしているのだ。

 たかが、ゲームと思われがちだけど、自分はそんな事は思っておらず、1つのコミニケーションだと思っていたりする。

 実際、その後に仲良くなったり、ゲーム以外の雑談もしたりするようになっていたりするのだから。

 中にはイラストレーターや昔雑誌の編集者さんだったりする人もいた。

 お陰で自分は、そこから数時間のすり合わせ行え小説の技術への昇華につなげる事が出来た。

 ゲームコミニティ、『決して馬鹿にしたものでは無い』と自分は今でも実感しているし、有難いと思っている。

「じゃ、お疲れでした!」

 程なくして会話が終わり、それぞれ帰宅していく。

「疲れたけど楽しかったな」
「ホント。お陰で、明日はアホみたいに寝れそうだ」

 知人の車に乗り眠気を感じながら、そんな会話をしながら帰宅していくのだ。


スタンプを贈って作者を応援しよう!



みんなのリアクション



おすすめ作品を読み込み中です…



外から軽い、車のクラクションの音が聴こえてくる。
(お、きたきた!) 
 窓から外を見つめると、真っ黒な闇夜に真ん丸お月様が輝いている。
 で、今何時だろうか? と思いスマホを手に取り見ると、時間は21時の深夜。
 自分の住んでいるアパート前に、1台の車が静かに止まる。
 うん、間違いない、自分の知人の車だ。
 自分は迷うことなく、その助手席に乗り込む。
「お待たせ。よし行こうか!」
「応ッ!」
 自分が乗り込むなり、迷うことなくアクセルを踏む知人。
 急いているのか、あっという間に法定速度ギリギリのスピードがでている。
「やる気マンマンだなお前」
「あったりまえよ! この日の為にアホみたいに練習しているしな!」
 その言葉を聞き、思わず苦笑いする俺。
(コイツ生真面目だし、負けん気強いしなあ)
 実際、知人の家に遊びに行った時、数時間同じ技をひたすら練習している姿を何回も見ているので、その言葉にウソはない。
 ちなみにその練習内容は、とある格闘ゲームのセットプレイやコンボの練習で、スポーツ例えるとテニスの壁打ちやボクシングのスパーみたいなもの。
 自分も学生時代や若い時は同じ事をやっていたが、今はとてもじゃないがそんな集中力と体力が無い。
 言い訳かもしれないが、そんな体力があったら自分は小説を書く!
 話を戻すが、自分達が行こうとしている場所。
 それはとあるゲームセンター。
 そう、自分達は、とある格闘ゲームの対人戦が好きで毎月2回くらいのペースで通っているのだ。
 このご時世でしばらく自粛していたが、最近解除されつつあることもあり、自分達の情熱も再燃焼したというわけだ。
 そんなこんなで色々雑談しているうちに、あっという間に目的地に到着する。
「あら? 結構車止まっているね」
「だな、乗り合わせしといて良かったな」
 というのも、駐車場はほぼ満席状態。
 大変有難いことに、この感じだと対戦相手には不自由しそうにない。
 空いた駐車場に車を止め、自分達は逸る気持ちを抑えきれず駆け足でゲームセンター内に入る。
 更にはお金を100円に両替していく。
 願わくば、今日は2枚の野口英雄で済ませたいと思いつつ……ね。
 というのも、このゲームセンターは全国でも有名な猛者が集う場所。
 有名な全国大会などで優勝している人達が集う聖地だったりする。
 なので、東京や大阪など他都道府県からも遠征に来ることもしばしばある。
 その強い人達と対戦すると、10回や20回やって1回しか勝てない戦績になり心がへし折られるのがザラだ。
 例えるなら、トランプや麻雀でずっと連敗するようなもので、精神衛生上良くないのだ、うん。
 とか自分が考えているうちに、店長に久々に会う。
「あ、店長お久しぶりです」
 俺は店長に軽く頭を下げ、会釈する。
「おお、お久しぶり! 最近見なかったね?」
「定職に付けたので、土日に中々来れなくなってですね」
「ああ、そりゃ、仕方ないね」
 自分はこんな感じで店長と、とりとめのない会話をしていく。
「今日は人数凄いよ?」
「え? マジっすか!」
「中見てみ?」
 自分はその言葉に驚き、店長に言われるがまま、対戦台をさっと覗く。
「うわあ……まじか」
 20人以上はいる。
 22時を過ぎた深夜に、しかもこんな20年以上前のゲーム1種類の為に。
 驚いた事に、ちょっとした大会が出来る人数が集っていた。
 おそらく、県内から全プレーヤーが募っているんだろう。
 皆顔見知りだし、当然自分も皆の顔を覚えている。
 一部の若い人達を除き、皆家庭持ちのオッサンだったりする。
「昔はね。うちのゲームセンターももっと凄くてね」
 自分の驚く様子を見た店長が、満面の笑みを浮かべ静かに語りだす。
「店の中に何百人もいてね。その事がゲームの有名な雑誌に取り上げられたりしてね」
「ああ、俺その雑誌、見た事あります!」
 もう、その雑誌は現在販売されていないが、昔のゲーマーご用達の有名な雑誌だった。
 分かりやすく例えるなら、健康雑誌なら『ターザン』、オカルト雑誌なら『ムー』と言ったところ。
「でも、このご時世だと中々ね……」
 店長は自分のマスクを指さす。
「うーん辛いですよね」
 思わずしんみりしてしまう自分達。
 仕方ない、今日は追加1枚の英雄の投入もやむなしか……。
 思わずそう考えてしまうが、手に握りしめている英雄がその時、自分に向かって微笑んでいる様に見えたのだ。
 あ、嘘ですゴメンなさい! んな訳ない! ただ単に自分が遊びたいだけです。
「じ、じゃあ、俺はガッツリ対戦してきますんで!」
「おう! 頑張ってな!」
 店長との話も終わり、自分は対戦台にいそいそと向かう。
 知人はもうガッツリ対戦しているようで、珍しく勝っている。
 成程、やはりベクトルの正しい練習は裏切らない模様。
 自分も仕事しながら、その活かせる全てをこのゲームの技術に応用する練習をしていたりする。
 当然、ゲームから仕事の逆も然りだ。
 更には自分のこのゲーム理論、小説を書くときにも応用していたりする。
 基本はインプットとアウトプット。
 更には実戦が全てだと思うし、やり方が間違っていたら当然成績にも反映する。
 運も絡むときもあるが、長期スパンで見るとそれは練習の延長線上による恩恵であることが分って来るのだ。
『仕事は遊び、遊びは仕事』
 何十年前、自分の尊敬する上司が言っていた言葉。
 今でも忘れない深い内容と言葉の重み。
(この言葉を俺は応用して色々実践してるんだよなあきっと)
 そんな事を考えながら、自分もコインを入れ対戦していく。
 最初は操作に慣れていないから何回か負けるが、慣れて来るとシーソーゲームになる。
 さっき書いた通り、全国1番クラスの人とかにはシーソーゲームにはならないですが。
 しばらくの対戦後、店が閉まり、居残り組が駐車場前でたむろう。
「この攻略の仕方どうですかね?」
「俺、ちゃんと技だせてました?」
 耳を澄ますと、色々な対戦内容の話が飛び交う。
 対戦後のこの雑談、実はこれがとても大事で、相手を通して客観性を得た反省会をしているのだ。
 たかが、ゲームと思われがちだけど、自分はそんな事は思っておらず、1つのコミニケーションだと思っていたりする。
 実際、その後に仲良くなったり、ゲーム以外の雑談もしたりするようになっていたりするのだから。
 中にはイラストレーターや昔雑誌の編集者さんだったりする人もいた。
 お陰で自分は、そこから数時間のすり合わせ行え小説の技術への昇華につなげる事が出来た。
 ゲームコミニティ、『決して馬鹿にしたものでは無い』と自分は今でも実感しているし、有難いと思っている。
「じゃ、お疲れでした!」
 程なくして会話が終わり、それぞれ帰宅していく。
「疲れたけど楽しかったな」
「ホント。お陰で、明日はアホみたいに寝れそうだ」
 知人の車に乗り眠気を感じながら、そんな会話をしながら帰宅していくのだ。