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08.Bulls On Parade/Rage Against The Machine

ー/ー



 小学生の頃に母方の親戚が住む伊豆に行って、海辺で間近に打ち上がる花火を観た時以来の爆音が全身を貫いている。

 一瞬全身の皮膚を轟音にひっぺがされて、脂肪や筋肉を剥ぎ取られ、理科室の人体骨格の標本にさせられたような気がした。

 続けて火事場に集った緊急車両のような、ギラギラとした強烈な光で意識を呼び戻される。

 暗闇で急に閃光を浴び、夢遊病者のように目を細めて前に進む。

 ようやく慣れた視界には、人垣の先に知った顔が並んでいて、それをしっかり見ようと、出来るだけ隙間を見付けて顔を出す。

 先程までの怯えている自分はもうそこには居なかった。

「ハハ! バンドってスゲーんだな」

 自然と声に出してしまっていたが、彼女達が奏でる大音量に消されて、誰の耳にもそれは届かなかった。

 光の中心ではエリカが堂々と歌い、右側ではマキが小さな身体で跳び跳ねながらギターを掻き鳴らす。

 反対側でミチヨが髪を振り乱してベースを弾き、見えづらいが、エリカの後ろでサクラが楽しそうにドラムを叩いている。

 ここに来るまでは、若い女の子がキャイキャイやってる可愛らしい『演奏会』を想像していたが、骨太で疾走感のある楽曲に、綺麗なメロディラインが乗ったそれは、俺が今まで聴いたコトの無いジャンルの音楽だった。

 トータルで考えても、まだ弾き始めて数十分程度の俺のギター技術がここまでくるのには、きっと気が遠くなる程の時間が掛かるんだろう。

 後にSGというモデルだと教えてもらうが、マキは緑色の小悪魔が持っている槍のような形のギターを肩から下げている。

 持っているギターの重さを感じさせないほど、演奏中に音が切れた瞬間に海老反りでジャンプしたり、身体と一体化したギターのネックを引き剥がすような、今まで見たコトもないような弾き方をしていた。

 それから、全国のベーシストには大変失礼だが、今までまったく用途がわからなかったベースという楽器の圧倒されるような存在感が凄い。

 ギターだけではこの音圧は出せないのかと初めて実感して、ギターを始める前だったらベースでも良かったかもしれないと、一瞬考えてしまう程だった。

 ヘラヘラしているミチヨしか見たコトがなかったので、これもまた後にスティングレーというモデルだと教えられた、木目の家具調っぽいベースを妖艶に弾きこなす姿は、まるで別人のようだった。

 そして二本の弦楽器を、テンポの早いドラムが引っ張っていく。手足をバラバラに動かしている様は、まるで空手か何かの武道の演武を見ているかのようであり、当て身の炸裂音で曲を奏でているようでさえあった。

 激しい演奏の中で、エリカの力強く伸びやかな声が際立ち、美しいメロディを乗せてこの息の合った四人の楽曲がひとつの塊に化ける。

 歌だけ単体で聴いたら、いや、ピアノかヴァイオリンをバックに歌っていたら、有線放送で流れるような歌謡曲にも劣らないだろう。

 音楽のコトはよくわかっていないが、これがライブってモノかと、その迫力に気圧されていた。

 残念ながら、歌詞が英語なので歌のメッセージはわからないが、何故だか祖母と遊んでいた幼少の頃の思い出が、エリカの歌声とともに俺の中を駆け巡った。

 スピード感のある演奏とは対称的に、柔らかで牧歌的とも言えるメロディがそうさせるのか、ビシバシと俺の琴線に触れるのがわかる。

 演奏が止まり、エリカがボソりと礼を言ったので曲が終わったコトに気付く。

「ハァ……ハァ……次の曲でラストです。ハァ……物販でTシャツと四曲入りの音源売ってます。ハァ……ハァ……バンドより遅く来たローディーが居るんで、欲しい方はPA卓前に立ってるダッフルコート着た男の人に声掛けてください。リトルデイトでした。ありがとうございました」

 会場の視線すべてが一瞬俺に突き刺さる。

 フロントの三人がマイク付近に居なかったので、息も絶え絶え喋っているのがサクラだとわかったが、ローディーって何?俺のコト?

 サクラの言動で俺に気付いたマキとミチヨは、俺を指差し手を振ったが、ドラムから曲が始まっていたのですぐに演奏に向かい、表情が一変する。

 サクラから、マイクを通して言われた言葉の意味がわからず困惑していたが、聴こえてきた楽曲にすぐに引き込まれてしまった。

 『ハイハット』と言うらしいが、ホタテ貝のようなシンバルを二枚重ね合わせた、ドラムセットの向かって右側に見えるパーツをチキチキ叩くと、自然に身体中をそのテンポでリズムが巡る。

 先程の曲とは打って変わり、リズムが特徴的で、弦楽器はしっとりとした、サンバというのかラテンというのかボサノバというのかわからないが、それでもメロディはやや切ない感じの、これも今までに聴いたコトのないイントロがスタートした。

 おとなしめの始まりだったが、一気に音色が変わり、曲全体のボリュームが上がると、再び轟音で全身をバラバラにされた感覚に襲われる。

 意識が遠くに持っていかれる程のインパクトで、魂ごと引き抜かれたのではないかと思うような脱け殻の俺が我に返ったのは、するりと歌い始めたエリカの声だった。

 それは英語の歌詞かと思いきや、意外にも哲学的な日本語で歌い上げられていた。

 貰ったCDを垂れ流しにしていたので、昨日だけでこれまで生きてきた中で聴いた音楽の、二割ぐらいを一気に聴いた気がするが、彼女達が作り、奏でて歌う曲は初めて触れるような曲調のものばかりである。

 踊れるリズムなのに、胸を鷲掴みにするような切ないメロディ。この世の終わりに満天の星空の下でダンスするような、そんな気持ちにさえなった。

 曲の終盤で、楽曲は後奏というか各楽器のソロパートになると、エリカが舞台から客席に降りて出口へ向かった。恐らくこの先、この曲の歌部分が無いのであろう。

 演奏が続く中、やや放心状態のようにも見てとれるエリカが、ステージを降りて歩く道の人垣が、左右真っ二つに割れてゆくその様は、俺の目に神々しく映っていた。

 声の主を失ったステージでは、残された三人が演奏を続けていたが、次第にテンポがゆっくりになって余韻と共に曲が終わる。

「ありがとうございました。リトルデイトでした」

 額の汗を拭いながら、サクラが吐息混じりに挨拶をすると、舞台を照らしていた照明が暗転し、反対にフロアを煌々と照らしながらBGMが大音量で流れ始めた。

 ライブを目の前で観た興奮が覚めやらないウチに、周辺の観客から声を掛けられる。

「あ、音源欲しいんですけど」

 はい? 音源? そんなの持ってないんだけど? 数人からの問い合わせにあたふたしていると、機材を抱えてステージを降りてきたミチヨが、客席の一番後ろまで体当たりで俺を押しやった。

 状況がよく飲み込めていないが、女の子は汗だくでも良いニオイがするモンだな、などとつい思ってしまった。

「ここウチの物販だから、片付け終わるまで店番してて? お釣は金庫の中だけど、いま出せないからとりあえず立て替えといてくれると助かるなー」

 ペロッと舌を出して、自分はそそくさとドアを出て行った。

 残された俺は、音源購入希望者の視線から逃れられず、手書きの価格表で金額を確認して手売り販売に勤しんだ。

 全体的に黒いジャケットで、少女が星空を見上げているイラストが描かれた4曲入りのCDには、500円の値札が貼られていた。

 最初の客はお釣無しで購入してくれたので、現金を受け取り商品を渡すだけで済んだのだが、二人目で最初の500円玉は釣り銭で消えた。

 三人目も千円札を渡してきたので、入場した際のドリンクチケットのお釣を、仕方なしにポケットから取り出して手渡す。

 その後も千円札の客が来て慌てていると、他のメンバーより先にステージを降りたエリカがカウンターに入ってきて、金庫からお釣を渡して事なきを得た。

「店番ありがとう。代わります」

 そう言ってグッズ売場から追い出されると、マキとミチヨが片付けを終えてフロアに戻ってきた。

「遅い! 最後の二曲ぐらいしか観てないでしょ?」

「これはサクラに怒られちゃうんじゃないの~?」

 ミチヨが膨れっ面で遅れたコトを責め、マキはニヤニヤしながら、こちらが気を揉んでいるコトなどまったく意に介さず、俺を冷やかした。

「あ、ああ、それより、この前はゴメン。言い過ぎた」

「え? 何が?」

 無神経も、ここまでくると逆に不安になってくる。先日のミチヨと、今まさに目の前に居るミチヨは別人なのではないだろうか?

「いや、だから、せっかくプレゼントまでくれたのに、あんな追い出し方したから」

「あー、アレか。まぁ確かにこっちもやり過ぎた感じだったから……ねぇ?」

 マキや物販のエリカに同意を求めるような素振りを見せて、ミチヨは苦笑していた。

「おー、あの、改めてプレゼントありがとう。それからホントにゴメン」

「まぁ、アミオさんがそう言うなら、今回は手打ちってコトで水に流そっか」

 何だか呆気なく解決してしまったコトに肩透かしを喰らった気分だが、これでお互いにわだかまりが無くなって正直ホッとした。

「じゃあ仲直りついでに、プレゼント代借りたのも許してね?」

「はぁ? アレ、俺の金で買ったの? いやいやいや! それとコレとは話が違うでしょ!」

 どうりで翌朝の財布が空だったワケだ。

「も~過ぎたコトでイチイチ怒るなんて、アミオさんは大人げないゾ!」

 こ、コイツら……


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 小学生の頃に母方の親戚が住む伊豆に行って、海辺で間近に打ち上がる花火を観た時以来の爆音が全身を貫いている。
 一瞬全身の皮膚を轟音にひっぺがされて、脂肪や筋肉を剥ぎ取られ、理科室の人体骨格の標本にさせられたような気がした。
 続けて火事場に集った緊急車両のような、ギラギラとした強烈な光で意識を呼び戻される。
 暗闇で急に閃光を浴び、夢遊病者のように目を細めて前に進む。
 ようやく慣れた視界には、人垣の先に知った顔が並んでいて、それをしっかり見ようと、出来るだけ隙間を見付けて顔を出す。
 先程までの怯えている自分はもうそこには居なかった。
「ハハ! バンドってスゲーんだな」
 自然と声に出してしまっていたが、彼女達が奏でる大音量に消されて、誰の耳にもそれは届かなかった。
 光の中心ではエリカが堂々と歌い、右側ではマキが小さな身体で跳び跳ねながらギターを掻き鳴らす。
 反対側でミチヨが髪を振り乱してベースを弾き、見えづらいが、エリカの後ろでサクラが楽しそうにドラムを叩いている。
 ここに来るまでは、若い女の子がキャイキャイやってる可愛らしい『演奏会』を想像していたが、骨太で疾走感のある楽曲に、綺麗なメロディラインが乗ったそれは、俺が今まで聴いたコトの無いジャンルの音楽だった。
 トータルで考えても、まだ弾き始めて数十分程度の俺のギター技術がここまでくるのには、きっと気が遠くなる程の時間が掛かるんだろう。
 後にSGというモデルだと教えてもらうが、マキは緑色の小悪魔が持っている槍のような形のギターを肩から下げている。
 持っているギターの重さを感じさせないほど、演奏中に音が切れた瞬間に海老反りでジャンプしたり、身体と一体化したギターのネックを引き剥がすような、今まで見たコトもないような弾き方をしていた。
 それから、全国のベーシストには大変失礼だが、今までまったく用途がわからなかったベースという楽器の圧倒されるような存在感が凄い。

 ギターだけではこの音圧は出せないのかと初めて実感して、ギターを始める前だったらベースでも良かったかもしれないと、一瞬考えてしまう程だった。

 ヘラヘラしているミチヨしか見たコトがなかったので、これもまた後にスティングレーというモデルだと教えられた、木目の家具調っぽいベースを妖艶に弾きこなす姿は、まるで別人のようだった。

 そして二本の弦楽器を、テンポの早いドラムが引っ張っていく。手足をバラバラに動かしている様は、まるで空手か何かの武道の演武を見ているかのようであり、当て身の炸裂音で曲を奏でているようでさえあった。

 激しい演奏の中で、エリカの力強く伸びやかな声が際立ち、美しいメロディを乗せてこの息の合った四人の楽曲がひとつの塊に化ける。

 歌だけ単体で聴いたら、いや、ピアノかヴァイオリンをバックに歌っていたら、有線放送で流れるような歌謡曲にも劣らないだろう。

 音楽のコトはよくわかっていないが、これがライブってモノかと、その迫力に気圧されていた。

 残念ながら、歌詞が英語なので歌のメッセージはわからないが、何故だか祖母と遊んでいた幼少の頃の思い出が、エリカの歌声とともに俺の中を駆け巡った。

 スピード感のある演奏とは対称的に、柔らかで牧歌的とも言えるメロディがそうさせるのか、ビシバシと俺の琴線に触れるのがわかる。

 演奏が止まり、エリカがボソりと礼を言ったので曲が終わったコトに気付く。
「ハァ……ハァ……次の曲でラストです。ハァ……物販でTシャツと四曲入りの音源売ってます。ハァ……ハァ……バンドより遅く来たローディーが居るんで、欲しい方はPA卓前に立ってるダッフルコート着た男の人に声掛けてください。リトルデイトでした。ありがとうございました」
 会場の視線すべてが一瞬俺に突き刺さる。
 フロントの三人がマイク付近に居なかったので、息も絶え絶え喋っているのがサクラだとわかったが、ローディーって何?俺のコト?
 サクラの言動で俺に気付いたマキとミチヨは、俺を指差し手を振ったが、ドラムから曲が始まっていたのですぐに演奏に向かい、表情が一変する。
 サクラから、マイクを通して言われた言葉の意味がわからず困惑していたが、聴こえてきた楽曲にすぐに引き込まれてしまった。
 『ハイハット』と言うらしいが、ホタテ貝のようなシンバルを二枚重ね合わせた、ドラムセットの向かって右側に見えるパーツをチキチキ叩くと、自然に身体中をそのテンポでリズムが巡る。
 先程の曲とは打って変わり、リズムが特徴的で、弦楽器はしっとりとした、サンバというのかラテンというのかボサノバというのかわからないが、それでもメロディはやや切ない感じの、これも今までに聴いたコトのないイントロがスタートした。
 おとなしめの始まりだったが、一気に音色が変わり、曲全体のボリュームが上がると、再び轟音で全身をバラバラにされた感覚に襲われる。
 意識が遠くに持っていかれる程のインパクトで、魂ごと引き抜かれたのではないかと思うような脱け殻の俺が我に返ったのは、するりと歌い始めたエリカの声だった。
 それは英語の歌詞かと思いきや、意外にも哲学的な日本語で歌い上げられていた。
 貰ったCDを垂れ流しにしていたので、昨日だけでこれまで生きてきた中で聴いた音楽の、二割ぐらいを一気に聴いた気がするが、彼女達が作り、奏でて歌う曲は初めて触れるような曲調のものばかりである。

 踊れるリズムなのに、胸を鷲掴みにするような切ないメロディ。この世の終わりに満天の星空の下でダンスするような、そんな気持ちにさえなった。

 曲の終盤で、楽曲は後奏というか各楽器のソロパートになると、エリカが舞台から客席に降りて出口へ向かった。恐らくこの先、この曲の歌部分が無いのであろう。

 演奏が続く中、やや放心状態のようにも見てとれるエリカが、ステージを降りて歩く道の人垣が、左右真っ二つに割れてゆくその様は、俺の目に神々しく映っていた。

 声の主を失ったステージでは、残された三人が演奏を続けていたが、次第にテンポがゆっくりになって余韻と共に曲が終わる。

「ありがとうございました。リトルデイトでした」

 額の汗を拭いながら、サクラが吐息混じりに挨拶をすると、舞台を照らしていた照明が暗転し、反対にフロアを煌々と照らしながらBGMが大音量で流れ始めた。

 ライブを目の前で観た興奮が覚めやらないウチに、周辺の観客から声を掛けられる。

「あ、音源欲しいんですけど」

 はい? 音源? そんなの持ってないんだけど? 数人からの問い合わせにあたふたしていると、機材を抱えてステージを降りてきたミチヨが、客席の一番後ろまで体当たりで俺を押しやった。

 状況がよく飲み込めていないが、女の子は汗だくでも良いニオイがするモンだな、などとつい思ってしまった。

「ここウチの物販だから、片付け終わるまで店番してて? お釣は金庫の中だけど、いま出せないからとりあえず立て替えといてくれると助かるなー」

 ペロッと舌を出して、自分はそそくさとドアを出て行った。

 残された俺は、音源購入希望者の視線から逃れられず、手書きの価格表で金額を確認して手売り販売に勤しんだ。

 全体的に黒いジャケットで、少女が星空を見上げているイラストが描かれた4曲入りのCDには、500円の値札が貼られていた。

 最初の客はお釣無しで購入してくれたので、現金を受け取り商品を渡すだけで済んだのだが、二人目で最初の500円玉は釣り銭で消えた。

 三人目も千円札を渡してきたので、入場した際のドリンクチケットのお釣を、仕方なしにポケットから取り出して手渡す。

 その後も千円札の客が来て慌てていると、他のメンバーより先にステージを降りたエリカがカウンターに入ってきて、金庫からお釣を渡して事なきを得た。

「店番ありがとう。代わります」

 そう言ってグッズ売場から追い出されると、マキとミチヨが片付けを終えてフロアに戻ってきた。

「遅い! 最後の二曲ぐらいしか観てないでしょ?」

「これはサクラに怒られちゃうんじゃないの~?」

 ミチヨが膨れっ面で遅れたコトを責め、マキはニヤニヤしながら、こちらが気を揉んでいるコトなどまったく意に介さず、俺を冷やかした。

「あ、ああ、それより、この前はゴメン。言い過ぎた」

「え? 何が?」

 無神経も、ここまでくると逆に不安になってくる。先日のミチヨと、今まさに目の前に居るミチヨは別人なのではないだろうか?

「いや、だから、せっかくプレゼントまでくれたのに、あんな追い出し方したから」

「あー、アレか。まぁ確かにこっちもやり過ぎた感じだったから……ねぇ?」

 マキや物販のエリカに同意を求めるような素振りを見せて、ミチヨは苦笑していた。

「おー、あの、改めてプレゼントありがとう。それからホントにゴメン」

「まぁ、アミオさんがそう言うなら、今回は手打ちってコトで水に流そっか」

 何だか呆気なく解決してしまったコトに肩透かしを喰らった気分だが、これでお互いにわだかまりが無くなって正直ホッとした。

「じゃあ仲直りついでに、プレゼント代借りたのも許してね?」

「はぁ? アレ、俺の金で買ったの? いやいやいや! それとコレとは話が違うでしょ!」

 どうりで翌朝の財布が空だったワケだ。

「も~過ぎたコトでイチイチ怒るなんて、アミオさんは大人げないゾ!」

 こ、コイツら……