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フミカとのんこ

ー/ー



「お前のとーちゃん人殺しぃー」

 男子たちが意地悪を言ってくる。
 だけど、本当のことだから、何も言えない。

 パパは、電車の運転手で、踏切の中に進入してきた車とぶつかったの。
 その事故で電車とぶつかった車には、人気ミーチューバーのリンゴちゃんが乗っていたんだ。

 電車はあんぜんそうちがあったから止まってくれたけれど……。

 リンゴちゃんは助からなかった。
 電車に乗ってた人たちに死んじゃった人はいなかったけど、けが人はたくさん出たって。
 テレビやネットで、電車の運転手に過失がある可能性があるとか言われた。

 だから、パパは人殺し。

 パパは……。

 パパの事を考えると、涙がボロボロと出てくる。
 泣きたくないのに、涙が止まらない。

「だいじょぉぶ?」

 声を掛けられて、ウチは顔を上げた。
 そこには見上げるほど背の高い、影が立っている。
 クレヨンで描いた赤い体の上から、黒いクレヨンをぐしゃぐしゃと塗ったような、ちょっと不気味な色合い。

 ウチはすぐに気付いた。

 怖い噂をたくさん集めたサイトに載っていた。
 名前は確か……そう『のんこ』だ!

 ウチが無言でのんこを見上げていると、のんこは体をゆらゆらさせながら、笑顔になる。

「わるぐあいぃ、ぱぱ、わるぐあいよぉ」

 のんこが喋る。
 何を言いたいのかは分からなかったけど、のんこが何を言おうと関係ない。
 今のウチにとって、のんこが来てくれたのは、いいタイミングだと思う。

「ねえ、のんこでしょ? ウチはフミカ、友達になろう? 今から家に来ない?」

 誘うと、のんこは嬉しそうに「いぐー」と言った。

「ふみか、どどだぢ、どどだぢぃ」

 のんこはとても喜んでいるけど、ウチはきっとのんこよりずっとハッピーだ。

 ウチは、のんこを連れて家に帰った。



 帰っても、家には誰もいない。
 ママは忙しいから仕方ないね。

 あ、でも、のんこを家に入れると、家族全員が殺されちゃうんだっけ。
 ママには悪いけど、ウチはもう消えたいんだ。

 のんこに殺してもらって。
 楽になりたい。

 ウチはのんこを家の中に上げて、リビングに向かう。
 テーブルの横にランドセルを置いて、のんこを見上げる。

「ねぇ、何して遊ぶ?」

 のんこは遊ぶのが好きだって噂だから、聞いてみる。
 すると、のんこは「どらんぶ」と返してきた。

 たぶん、トランプだよね?

「トランプね、ちょっと待ってて」

 確か和室にあったよね、トランプ。
 ウチはトランプを探すために、リビングと和室を区切る襖を開けた。

 すると、何故か和室の真ん中に、骨壺が置かれている。
 何で? ママが置いたの?

 ウチは骨壺に近付く。

 確か、骨壺は箱の中に入れていたよね?
 この骨壺、何だか小さい気がするけど……まあいいや、戻しておこう。
 えっと、箱は……。

 と、いつも骨壺の入った箱が置かれている場所をみる。
 そこには箱がちゃんと置かれていた。

 ウチは箱に戻すため、骨壺に触れた。
 その瞬間。

「ぎゃめぇぁおぉぉ!!」

 突然のんこが叫び、ウチは思わず体を丸めた。


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「お前のとーちゃん人殺しぃー」
 男子たちが意地悪を言ってくる。
 だけど、本当のことだから、何も言えない。
 パパは、電車の運転手で、踏切の中に進入してきた車とぶつかったの。
 その事故で電車とぶつかった車には、人気ミーチューバーのリンゴちゃんが乗っていたんだ。
 電車はあんぜんそうちがあったから止まってくれたけれど……。
 リンゴちゃんは助からなかった。
 電車に乗ってた人たちに死んじゃった人はいなかったけど、けが人はたくさん出たって。
 テレビやネットで、電車の運転手に過失がある可能性があるとか言われた。
 だから、パパは人殺し。
 パパは……。
 パパの事を考えると、涙がボロボロと出てくる。
 泣きたくないのに、涙が止まらない。
「だいじょぉぶ?」
 声を掛けられて、ウチは顔を上げた。
 そこには見上げるほど背の高い、影が立っている。
 クレヨンで描いた赤い体の上から、黒いクレヨンをぐしゃぐしゃと塗ったような、ちょっと不気味な色合い。
 ウチはすぐに気付いた。
 怖い噂をたくさん集めたサイトに載っていた。
 名前は確か……そう『のんこ』だ!
 ウチが無言でのんこを見上げていると、のんこは体をゆらゆらさせながら、笑顔になる。
「わるぐあいぃ、ぱぱ、わるぐあいよぉ」
 のんこが喋る。
 何を言いたいのかは分からなかったけど、のんこが何を言おうと関係ない。
 今のウチにとって、のんこが来てくれたのは、いいタイミングだと思う。
「ねえ、のんこでしょ? ウチはフミカ、友達になろう? 今から家に来ない?」
 誘うと、のんこは嬉しそうに「いぐー」と言った。
「ふみか、どどだぢ、どどだぢぃ」
 のんこはとても喜んでいるけど、ウチはきっとのんこよりずっとハッピーだ。
 ウチは、のんこを連れて家に帰った。
 帰っても、家には誰もいない。
 ママは忙しいから仕方ないね。
 あ、でも、のんこを家に入れると、家族全員が殺されちゃうんだっけ。
 ママには悪いけど、ウチはもう消えたいんだ。
 のんこに殺してもらって。
 楽になりたい。
 ウチはのんこを家の中に上げて、リビングに向かう。
 テーブルの横にランドセルを置いて、のんこを見上げる。
「ねぇ、何して遊ぶ?」
 のんこは遊ぶのが好きだって噂だから、聞いてみる。
 すると、のんこは「どらんぶ」と返してきた。
 たぶん、トランプだよね?
「トランプね、ちょっと待ってて」
 確か和室にあったよね、トランプ。
 ウチはトランプを探すために、リビングと和室を区切る襖を開けた。
 すると、何故か和室の真ん中に、骨壺が置かれている。
 何で? ママが置いたの?
 ウチは骨壺に近付く。
 確か、骨壺は箱の中に入れていたよね?
 この骨壺、何だか小さい気がするけど……まあいいや、戻しておこう。
 えっと、箱は……。
 と、いつも骨壺の入った箱が置かれている場所をみる。
 そこには箱がちゃんと置かれていた。
 ウチは箱に戻すため、骨壺に触れた。
 その瞬間。
「ぎゃめぇぁおぉぉ!!」
 突然のんこが叫び、ウチは思わず体を丸めた。