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第77話 怪物オーシオ現る?

ー/ー



『キュキュ?』
 真相を確かめるべく、羽成神社の深奥へ向かうのりこ達。そんな一行の遥か後方より、某は歩みを進めていた。
『ザッバーン!!』 
 某は白波の迫力に圧倒されるが、それを躱しながら前進していく。とてもゆったりとした足並みであるが。
『......キュッ!』
 だが、某は波しぶきを思い切り顔面に受けて怯む。彼の顔面を冷たさと塩辛さが襲う。
『バッシャーン!!』
 不幸は重なり、怯んだ某の背後を白波が襲う。彼はいよいよもって、全身が潮水に浸かってしまった。
 某は、それを払いのけるべく身震いをする。だが、白波は追い打ちをかけるように彼に襲い掛かる。
『キュキュ―ッ!!!』
 某を飲み込まんとする大波が、側面から襲い掛かって来た。それを察知した某は、即座に細道の中央部へと避難した。
『キュッ!?』
 某に度重なる災難が降りかかる。何ということだろう、彼の非難した足場が不意に崩れ落ちてしまったのだ。そこはクレーターのごとき大穴となって某を引きずり込んだ。
『キュキューーーッッツ!!!』
 某の叫びが、断末魔となって大穴へと消えて行く。某の運命や如何に!?
――
 一方、神社の深奥へ突き進むのりこ一行は暗闇の真っ只中にいた。そこは、入口以外の光さえ届かない深淵だ。
「おねえちゃん! どこ!?」
 光の届かない空間では音だけが頼り。りょうたは音を頼りにのりこを探す。
「りょうた! 私はこっち!!」
 暗闇の向こうからこだまする、のりこの声。声の反響から彼女との距離はさほど離れていないと察したりょうたは、足元を慎重に探りながら進んでいく。しかしながら、足元は相変わらずごつごつした岩肌で歩くのは困難を極める。
「......そうか、スマホのライトを使えばいいんだ!」
 暗闇を照らすことに気が付いたりょうたは、スマートフォンの照明を起動させる。照明によって照らし出された風景は、周囲を岩肌に囲まれた鍾乳洞のような場所だった。
「りょうた、やるじゃない!」
 りょうたの機転に感心するのりこ。だが、冷静に考えれば暗闇を暗視と手探りだけで進んだのりこの方が異常である。
「オーシオの叫び声、なんて狂暴なのかしら!」
 入り口側からは潮騒と風の音が響き渡り、それはさながら龍の咆哮を想起させる。のりこが怪物の叫び声と言いたくなるのも一理ある。
「おねえちゃん、本当にこんな洞窟に財宝があるの??」
 見渡す限り、無限にも思える深く長い鍾乳洞。りょうたが疑問を抱くのは無理もないだろう。
「私の記憶が正しければ、この先に何かがあるはず!」
 のりこは以前、この道中で見知らぬ何かに躓いた。見知らぬ何かは、当時の彼女にとって気がかりだった。
『ワンッ! ワンッ!』
 洞穴の向こうから、先行していたケンの声が聞こえる。それはまるで、二人に何かの発見を告げるようだった。
「ケンちゃん、きっと財宝を見つけたのね!」
 ケンの鳴き声を聞いたのりこは、一目散に走り寄る。果たして、彼が見つけたのは本当に財宝なのだろうか?
 ケンが見つめる先に某の影があった。彼は、何者とも分からない存在に警戒心を露わにしている。
「もしかしてオーシオが現れたのかしら!?」
 未知との遭遇にのりこは目をきらめかせているが、怪物という割には影が小さい気がする。加えて、どことなく可愛らしい鳴き声も聞こえてくる。
「おねえちゃん、この先に何かがいるの??」
 りょうたは、ケンの睨む先に照明を向ける。すると、そこには黒い毛むくじゃらの何かがいた。三日月の傷が印象深い某はのりこ達のよく知る存在だった。
「......ルナちゃん! どうしてここに?」
 某の正体は、三日月の傷がトレードマークのタヌキ・ルナだった。細道の崩落によりルナがここへ滑落したことなど、今ののりこ達は知る由もない。
「おねえちゃん、ルナの足元を見て!」
 りょうたは、ルナに足元に何かがあることに気付いた。それはブリキのような金属製の小箱で、所々に錆が浮かび上がっている。
「これはきっと『はなれのざいほう』に違いないわ! お手柄ねルナちゃん!!」
 小箱を見つけたのりこは、称賛の意を込めてルナを撫で回す。しかし、当の本人は若干暑苦しそうな表情になってしまっている。
「ザザーッ......」
 のりこ一行が『はなれのざいほう』を思しきものを見つけて舞い上がる中、りょうたは入り口側から聞こえる不自然な潮騒に違和感を拭えなかった。
「おねえちゃん、そっちから何か聞こえない......?」
 疑念を抱いたりょうたはのりこへ尋ねるが、特別に警戒する様子はない。彼の疑念を増幅するかのように、潮騒は段々と荒々しくなっていく。
「ザァーーーッ!!!」
 りょうたの嫌な予感は見事に的中! 一同の背後から、鉄砲水のごとく激流が押し寄せてきたのだ!!
「キャーッッッ!!!」
 のりこが慌てふためくも、時すでに遅し。一同は必死に激流から逃れようとするが、その速さに人間達が適うはずもない。
「うわーーーっっっ!!!!!」
 のりこ一行は、あえなく激流に飲まれてしまう。果たして、彼女たちの明暗や如何に......!?


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次のエピソードへ進む 第78話 深奥のその先


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『キュキュ?』
 真相を確かめるべく、羽成神社の深奥へ向かうのりこ達。そんな一行の遥か後方より、某は歩みを進めていた。
『ザッバーン!!』 
 某は白波の迫力に圧倒されるが、それを躱しながら前進していく。とてもゆったりとした足並みであるが。
『......キュッ!』
 だが、某は波しぶきを思い切り顔面に受けて怯む。彼の顔面を冷たさと塩辛さが襲う。
『バッシャーン!!』
 不幸は重なり、怯んだ某の背後を白波が襲う。彼はいよいよもって、全身が潮水に浸かってしまった。
 某は、それを払いのけるべく身震いをする。だが、白波は追い打ちをかけるように彼に襲い掛かる。
『キュキュ―ッ!!!』
 某を飲み込まんとする大波が、側面から襲い掛かって来た。それを察知した某は、即座に細道の中央部へと避難した。
『キュッ!?』
 某に度重なる災難が降りかかる。何ということだろう、彼の非難した足場が不意に崩れ落ちてしまったのだ。そこはクレーターのごとき大穴となって某を引きずり込んだ。
『キュキューーーッッツ!!!』
 某の叫びが、断末魔となって大穴へと消えて行く。某の運命や如何に!?
――
 一方、神社の深奥へ突き進むのりこ一行は暗闇の真っ只中にいた。そこは、入口以外の光さえ届かない深淵だ。
「おねえちゃん! どこ!?」
 光の届かない空間では音だけが頼り。りょうたは音を頼りにのりこを探す。
「りょうた! 私はこっち!!」
 暗闇の向こうからこだまする、のりこの声。声の反響から彼女との距離はさほど離れていないと察したりょうたは、足元を慎重に探りながら進んでいく。しかしながら、足元は相変わらずごつごつした岩肌で歩くのは困難を極める。
「......そうか、スマホのライトを使えばいいんだ!」
 暗闇を照らすことに気が付いたりょうたは、スマートフォンの照明を起動させる。照明によって照らし出された風景は、周囲を岩肌に囲まれた鍾乳洞のような場所だった。
「りょうた、やるじゃない!」
 りょうたの機転に感心するのりこ。だが、冷静に考えれば暗闇を暗視と手探りだけで進んだのりこの方が異常である。
「オーシオの叫び声、なんて狂暴なのかしら!」
 入り口側からは潮騒と風の音が響き渡り、それはさながら龍の咆哮を想起させる。のりこが怪物の叫び声と言いたくなるのも一理ある。
「おねえちゃん、本当にこんな洞窟に財宝があるの??」
 見渡す限り、無限にも思える深く長い鍾乳洞。りょうたが疑問を抱くのは無理もないだろう。
「私の記憶が正しければ、この先に何かがあるはず!」
 のりこは以前、この道中で見知らぬ何かに躓いた。見知らぬ何かは、当時の彼女にとって気がかりだった。
『ワンッ! ワンッ!』
 洞穴の向こうから、先行していたケンの声が聞こえる。それはまるで、二人に何かの発見を告げるようだった。
「ケンちゃん、きっと財宝を見つけたのね!」
 ケンの鳴き声を聞いたのりこは、一目散に走り寄る。果たして、彼が見つけたのは本当に財宝なのだろうか?
 ケンが見つめる先に某の影があった。彼は、何者とも分からない存在に警戒心を露わにしている。
「もしかしてオーシオが現れたのかしら!?」
 未知との遭遇にのりこは目をきらめかせているが、怪物という割には影が小さい気がする。加えて、どことなく可愛らしい鳴き声も聞こえてくる。
「おねえちゃん、この先に何かがいるの??」
 りょうたは、ケンの睨む先に照明を向ける。すると、そこには黒い毛むくじゃらの何かがいた。三日月の傷が印象深い某はのりこ達のよく知る存在だった。
「......ルナちゃん! どうしてここに?」
 某の正体は、三日月の傷がトレードマークのタヌキ・ルナだった。細道の崩落によりルナがここへ滑落したことなど、今ののりこ達は知る由もない。
「おねえちゃん、ルナの足元を見て!」
 りょうたは、ルナに足元に何かがあることに気付いた。それはブリキのような金属製の小箱で、所々に錆が浮かび上がっている。
「これはきっと『はなれのざいほう』に違いないわ! お手柄ねルナちゃん!!」
 小箱を見つけたのりこは、称賛の意を込めてルナを撫で回す。しかし、当の本人は若干暑苦しそうな表情になってしまっている。
「ザザーッ......」
 のりこ一行が『はなれのざいほう』を思しきものを見つけて舞い上がる中、りょうたは入り口側から聞こえる不自然な潮騒に違和感を拭えなかった。
「おねえちゃん、そっちから何か聞こえない......?」
 疑念を抱いたりょうたはのりこへ尋ねるが、特別に警戒する様子はない。彼の疑念を増幅するかのように、潮騒は段々と荒々しくなっていく。
「ザァーーーッ!!!」
 りょうたの嫌な予感は見事に的中! 一同の背後から、鉄砲水のごとく激流が押し寄せてきたのだ!!
「キャーッッッ!!!」
 のりこが慌てふためくも、時すでに遅し。一同は必死に激流から逃れようとするが、その速さに人間達が適うはずもない。
「うわーーーっっっ!!!!!」
 のりこ一行は、あえなく激流に飲まれてしまう。果たして、彼女たちの明暗や如何に......!?