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第76話 羽成神社

ー/ー



 良行の助言を基に、のりこ達は大潮となる日を待った。奇しくも、それは僅か3日のうちに訪れた。
「オーシオ、私が倒しに行くから待ってなさい!」
 のりこは、大潮を怪物か何かと誤解したままだった。そして、士気を高めたのりこの鼻息は荒い。
「おねえちゃん、大潮は怪物じゃないんだよ?」
 そんな彼女に、半ば呆れ気味のりょうた。しかし、弟の話など耳に入れてないのりこ。
「りょうた、ハナレドンの前にオーシオを倒しに行くわよ!」
 勝鬨をあげたのりこは、玄関の扉を開け放つやいなや一目散に駆けて行った。猪突猛進な彼女を止められる訳もなく、りょうたは彼女の後を追う。
「二人とも、朝から元気だなぁ」
 良行は、呑気にアイスコーヒーを嗜んでいた。『海が割れる』というその一言でのりこに誤解を与えたことなど知らぬ様子だ。
――
 猪突猛進なのりこを追いかけて、りょうたがやって来たのは羽馴海岸。そこは以前、神隠しに遭ったと思われたのりこが島長一家と遭遇を果たした場所である。
「はぁ......はぁ......。おねえちゃん、走るのが早いよぉ......」
 りょうたは息も絶え絶え。しかし、そんな弟にお構いなしののりこがりょうたに叫んでいる。
「りょうた、これを見て! 海が割れてる!!」
 のりこが驚きの表情で海の方を指差す。潮が引いたことにより、海岸に一筋の細道が出来ていた。その道によって、島の向こう側にあった筈の神社と地続きになったのである。
「すごい! 本当に海が割れてる!!」
 その光景にりょうたも圧巻の表情。なるほど、のりこが『海が割れてる』と言いたくなるのも分かる気がした。
「オーシオ、なかなか手強いわね!!」
 だが、大潮が怪物か何かだという誤解は未だに解けないのりこ。のりこの認識はあくまで『オーシオ』という怪物が潜んでいるという前提だ。
『ワンッ! ワンッ!!』
 二人の背中を追いかけて、ケンがやって来た。そしてそのまま、羽馴海岸に現れた細道を駆け抜けていく。
「ケンちゃん待って! その先にはオーシオが潜んでいるの!!」
 猛進するケンを止めるべく、のりこは走り出す。もちろん、りょうたもそれに追従する形となるのはお約束だ。
「すごい! まるで海の上を走ってるみたい!!」
 ケンを追いかけながらも、その絶景を楽しんでいるのりこ。全方位がほぼ海面に囲まれている光景は、なかなかに貴重なものだろう。遠目に見ても、その光景はおそらく画になること間違いなしだ。
「おねえちゃん......ケン......待って!」
 息も絶え絶えながら、りょうたは必死にのりこ達の後を追っている。足元は岩肌がごつごつしていて不安定、岩は波に打たれて激しく水しぶきを上げている。たとえ波しぶきを全身の受けようとも、今の彼が知ったことではない。
 悪路を駆け抜けたりょうたは、やっとの思いで対岸へ辿り着いた。度重なる波しぶきを受けた彼の全身は、もはやびしょ濡れである。
「りょうた、遅い!」
 そんな彼の到着に、しびれを切らしていたのりこ。彼女からすれば、悪路など無問題といったところ。
 その一方で、ケンは奥にある建物の側で腹ばいになって寛いでいた。その建物は、以前のりこがバスの窓越しに見ていた『羽成神社』だった。外観から察するにかなり老朽化が進んでおり、大昔から存在している神社であることが分かる。
「きっとオーシオはこの先に潜んでいるかも知れない。二人とも、心して進むわよ!」
 のりこは、注意を促しながら社殿を指差す。大潮を海の怪物だと勘違いしている彼女は、両拳を構えて戦闘態勢に入っている。
「この神社、よく見ると扉が壊されてるみたい。一体何があったんだろう??」
社殿の扉が、何者かによって破壊されていることを訝しむりょうた。しかし、神隠しの際にのりこがこの社殿の扉を破壊したことなど彼は知る由もない。
『ワンッ! ワンッ!!』
 その矢先、りょうたの足元をケンがすり抜けた。ケンはまるで、その深奥に吸い込まれるように消えて行った。
「ケン! ちょっと待って!!」
 動揺しながらも、りょうたはすかさずケンの後を追いかけた。しかしながら、ケンは何に反応して深奥へ突き進むのだろうか。
「これはきっとオーシオの仕業ね! 待ってなさいオーシオ!」
 怪物オーシオの存在を信じてやまないのりこは、拳を構えて戦闘態勢を維持して駆け出した。果たして、のりこ達の向かうその先で待ち構えるものは一体何なのか?
 そして、『みなもとのはなれのざいほう』の意味するものとは? その真相を確かめるべく、のりこ達は社殿の深奥へ向かった!


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 良行の助言を基に、のりこ達は大潮となる日を待った。奇しくも、それは僅か3日のうちに訪れた。
「オーシオ、私が倒しに行くから待ってなさい!」
 のりこは、大潮を怪物か何かと誤解したままだった。そして、士気を高めたのりこの鼻息は荒い。
「おねえちゃん、大潮は怪物じゃないんだよ?」
 そんな彼女に、半ば呆れ気味のりょうた。しかし、弟の話など耳に入れてないのりこ。
「りょうた、ハナレドンの前にオーシオを倒しに行くわよ!」
 勝鬨をあげたのりこは、玄関の扉を開け放つやいなや一目散に駆けて行った。猪突猛進な彼女を止められる訳もなく、りょうたは彼女の後を追う。
「二人とも、朝から元気だなぁ」
 良行は、呑気にアイスコーヒーを嗜んでいた。『海が割れる』というその一言でのりこに誤解を与えたことなど知らぬ様子だ。
――
 猪突猛進なのりこを追いかけて、りょうたがやって来たのは羽馴海岸。そこは以前、神隠しに遭ったと思われたのりこが島長一家と遭遇を果たした場所である。
「はぁ......はぁ......。おねえちゃん、走るのが早いよぉ......」
 りょうたは息も絶え絶え。しかし、そんな弟にお構いなしののりこがりょうたに叫んでいる。
「りょうた、これを見て! 海が割れてる!!」
 のりこが驚きの表情で海の方を指差す。潮が引いたことにより、海岸に一筋の細道が出来ていた。その道によって、島の向こう側にあった筈の神社と地続きになったのである。
「すごい! 本当に海が割れてる!!」
 その光景にりょうたも圧巻の表情。なるほど、のりこが『海が割れてる』と言いたくなるのも分かる気がした。
「オーシオ、なかなか手強いわね!!」
 だが、大潮が怪物か何かだという誤解は未だに解けないのりこ。のりこの認識はあくまで『オーシオ』という怪物が潜んでいるという前提だ。
『ワンッ! ワンッ!!』
 二人の背中を追いかけて、ケンがやって来た。そしてそのまま、羽馴海岸に現れた細道を駆け抜けていく。
「ケンちゃん待って! その先にはオーシオが潜んでいるの!!」
 猛進するケンを止めるべく、のりこは走り出す。もちろん、りょうたもそれに追従する形となるのはお約束だ。
「すごい! まるで海の上を走ってるみたい!!」
 ケンを追いかけながらも、その絶景を楽しんでいるのりこ。全方位がほぼ海面に囲まれている光景は、なかなかに貴重なものだろう。遠目に見ても、その光景はおそらく画になること間違いなしだ。
「おねえちゃん......ケン......待って!」
 息も絶え絶えながら、りょうたは必死にのりこ達の後を追っている。足元は岩肌がごつごつしていて不安定、岩は波に打たれて激しく水しぶきを上げている。たとえ波しぶきを全身の受けようとも、今の彼が知ったことではない。
 悪路を駆け抜けたりょうたは、やっとの思いで対岸へ辿り着いた。度重なる波しぶきを受けた彼の全身は、もはやびしょ濡れである。
「りょうた、遅い!」
 そんな彼の到着に、しびれを切らしていたのりこ。彼女からすれば、悪路など無問題といったところ。
 その一方で、ケンは奥にある建物の側で腹ばいになって寛いでいた。その建物は、以前のりこがバスの窓越しに見ていた『羽成神社』だった。外観から察するにかなり老朽化が進んでおり、大昔から存在している神社であることが分かる。
「きっとオーシオはこの先に潜んでいるかも知れない。二人とも、心して進むわよ!」
 のりこは、注意を促しながら社殿を指差す。大潮を海の怪物だと勘違いしている彼女は、両拳を構えて戦闘態勢に入っている。
「この神社、よく見ると扉が壊されてるみたい。一体何があったんだろう??」
社殿の扉が、何者かによって破壊されていることを訝しむりょうた。しかし、神隠しの際にのりこがこの社殿の扉を破壊したことなど彼は知る由もない。
『ワンッ! ワンッ!!』
 その矢先、りょうたの足元をケンがすり抜けた。ケンはまるで、その深奥に吸い込まれるように消えて行った。
「ケン! ちょっと待って!!」
 動揺しながらも、りょうたはすかさずケンの後を追いかけた。しかしながら、ケンは何に反応して深奥へ突き進むのだろうか。
「これはきっとオーシオの仕業ね! 待ってなさいオーシオ!」
 怪物オーシオの存在を信じてやまないのりこは、拳を構えて戦闘態勢を維持して駆け出した。果たして、のりこ達の向かうその先で待ち構えるものは一体何なのか?
 そして、『みなもとのはなれのざいほう』の意味するものとは? その真相を確かめるべく、のりこ達は社殿の深奥へ向かった!