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ハルキとのんたん

ー/ー



 最近、妹のミサキの様子がおかしい。
 窓にくっついて、誰かと話をしているみたいだ。

 でも、ここはマンションの三階だし、窓の外には人が立てる足場も無い。
 ミサキが誰と喋ってるのか、気になったからミサキの隣に立ってみた。

 やっぱり、誰もいない。

 窓にうつる自分の顔はひどいもんだ。
 眉間にくっきりとしたシワがある。

「にーに?」

 ミサキに呼ばれ、ボクはハッとする。
 こんな顔でミサキを見たら、ミサキに泣かれるかもしれない。

 泣かせたら、いじめたわけでも無いのに、ママに怒られるんだから、世の中はリフジンだと思う。

 ボクはとりあえずにっこり笑ってミサキの方を見る。
 ミサキはボクと目が合うなり、きゃっきゃと声を出して笑う。
 こういうところがすごく可愛い。

 ミサキの笑顔を見ると、守ってあげるんだって、そう思う。

「にーに、にーに、のんたん」

 ミサキがそう言って、窓の外を指さす。

 のんたん? なんだそれ?

 そう思いながら、ミサキが指さす方へと視線を向けると……。

「ミサキぃ、あぞぼー」

 がらがらとした、不気味な声でそう言う、化け物がいた。
 赤と黒が混ざった色の体。
 目が無くて、耳も、鼻も無くて。
 大きな口だけがある。

 まるで漫画に出てくるお化けみたいで、不気味だと感じたのだけど。
 不思議と不気味だという気持ちが落ち着いていく。

 怖いとも思わないし、むしろ、面白そうな奴だなって、そう思った。

「ミサキ? もしかして、こいつがのんたんなのか?」

 ボクが聞くと、ミサキはにぱっと笑顔を輝かせる。
 そうか、こいつがのんたんか。

 そう思ってのんたんを見ると、のんたんは首を傾げてボクを見ていた。
 いや、目がないから、本当にボクを見ているのかはわからないけど、何となくこっちを見てる気がする。

 のんたんはカクカクとした変な動きで、首を右に、左にと、傾けていた。

「はじめまして、のんたん、ボクはハルキ」

 挨拶をすると、のんたんは肩を揺らしながら笑う。
 そして浅くお辞儀をしたあと、大きな手を窓にぺたりとつけた。

「ハルキ、のんこ、よおじぐぅ」

 のんこ?
 ああ、なるほど、のんこだからのんたんか。

 理解したボクは窓に当てられているのんこの手に、自分の手を合わせる。
 窓ガラス越しなのに、不思議とあたたかく感じた。
 にしても、大きな手だな。
 パパの手より大きいや。

「よろしく、のんこ」

 ボクが笑顔で言うと、のんこはにっと笑う。

「のんこ、いえ、あいいだい」

 一瞬、のんこが何を言いたいのかがわからなくて、ボクは首を傾げた。
 でも、すぐにのんこが言いたい事が分かって、ボクは頭を掻く。

 のんこは、ボクらの家に入りたいって言っている。
 でも、許可もなく人を家に入れたら、ママに叱られるだろうな。

 だけど、何だろう。
 のんこは入れても良い気がする。

 なんて考えていると、ミサキがのんこを見ながら。

「のんたん、のんたんどーぞ」

 と言った。
 何も知らない、無邪気な言葉を聞いたのんこは嬉しそうにケラケラ笑う。

「ちょ、待って待って、ママの許可が無きゃだめだよ!」

 ボクは慌ててミサキに言うと、ミサキはぷくっと頬を膨らませた。

「のんたん、あそぶのぉ」

 ミサキが不機嫌な声で言う。
 こうなると、自分の思い通りになるまでグズるんだよなぁ。

 仕方なくボクは、ミサキの背中を撫でながらのんこを見上げた。

「じゃあ、少しだけ……」

 ママに気付かれたら……という気持ちから、のんこに届くかどうかわからないくらい、小さな声で言う。
 するとのんこは聞こえたらしくて、嬉しそうにケラケラ笑った。

 ちょっとだけなら、きっとバレないよな。
 今ママは買い物に行ってるし、多分、大丈夫。

 ご機嫌がよくなったミサキを見てから、のんこの方を見ると、そこにはもう、のんこの姿はなくなっていた。
 もしかしたら、玄関に回ったのかもしれない。

 ボクはミサキを部屋に待たせて玄関に向かう。

 のんこ、いるかな?

 そう思いながら玄関のドアを少し開けて外を覗くと、外にはのんこが立っていた。
 のんこって、結構でかいんだね、見上げなきゃいけないくらい大きい。

「ハルキぃ、ハルキぃ」

 楽しそうにのんこがボクの名前を呼んでいる。
 ボクはドアを大きく開けて、のんこを家に招き入れた。


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 最近、妹のミサキの様子がおかしい。
 窓にくっついて、誰かと話をしているみたいだ。
 でも、ここはマンションの三階だし、窓の外には人が立てる足場も無い。
 ミサキが誰と喋ってるのか、気になったからミサキの隣に立ってみた。
 やっぱり、誰もいない。
 窓にうつる自分の顔はひどいもんだ。
 眉間にくっきりとしたシワがある。
「にーに?」
 ミサキに呼ばれ、ボクはハッとする。
 こんな顔でミサキを見たら、ミサキに泣かれるかもしれない。
 泣かせたら、いじめたわけでも無いのに、ママに怒られるんだから、世の中はリフジンだと思う。
 ボクはとりあえずにっこり笑ってミサキの方を見る。
 ミサキはボクと目が合うなり、きゃっきゃと声を出して笑う。
 こういうところがすごく可愛い。
 ミサキの笑顔を見ると、守ってあげるんだって、そう思う。
「にーに、にーに、のんたん」
 ミサキがそう言って、窓の外を指さす。
 のんたん? なんだそれ?
 そう思いながら、ミサキが指さす方へと視線を向けると……。
「ミサキぃ、あぞぼー」
 がらがらとした、不気味な声でそう言う、化け物がいた。
 赤と黒が混ざった色の体。
 目が無くて、耳も、鼻も無くて。
 大きな口だけがある。
 まるで漫画に出てくるお化けみたいで、不気味だと感じたのだけど。
 不思議と不気味だという気持ちが落ち着いていく。
 怖いとも思わないし、むしろ、面白そうな奴だなって、そう思った。
「ミサキ? もしかして、こいつがのんたんなのか?」
 ボクが聞くと、ミサキはにぱっと笑顔を輝かせる。
 そうか、こいつがのんたんか。
 そう思ってのんたんを見ると、のんたんは首を傾げてボクを見ていた。
 いや、目がないから、本当にボクを見ているのかはわからないけど、何となくこっちを見てる気がする。
 のんたんはカクカクとした変な動きで、首を右に、左にと、傾けていた。
「はじめまして、のんたん、ボクはハルキ」
 挨拶をすると、のんたんは肩を揺らしながら笑う。
 そして浅くお辞儀をしたあと、大きな手を窓にぺたりとつけた。
「ハルキ、のんこ、よおじぐぅ」
 のんこ?
 ああ、なるほど、のんこだからのんたんか。
 理解したボクは窓に当てられているのんこの手に、自分の手を合わせる。
 窓ガラス越しなのに、不思議とあたたかく感じた。
 にしても、大きな手だな。
 パパの手より大きいや。
「よろしく、のんこ」
 ボクが笑顔で言うと、のんこはにっと笑う。
「のんこ、いえ、あいいだい」
 一瞬、のんこが何を言いたいのかがわからなくて、ボクは首を傾げた。
 でも、すぐにのんこが言いたい事が分かって、ボクは頭を掻く。
 のんこは、ボクらの家に入りたいって言っている。
 でも、許可もなく人を家に入れたら、ママに叱られるだろうな。
 だけど、何だろう。
 のんこは入れても良い気がする。
 なんて考えていると、ミサキがのんこを見ながら。
「のんたん、のんたんどーぞ」
 と言った。
 何も知らない、無邪気な言葉を聞いたのんこは嬉しそうにケラケラ笑う。
「ちょ、待って待って、ママの許可が無きゃだめだよ!」
 ボクは慌ててミサキに言うと、ミサキはぷくっと頬を膨らませた。
「のんたん、あそぶのぉ」
 ミサキが不機嫌な声で言う。
 こうなると、自分の思い通りになるまでグズるんだよなぁ。
 仕方なくボクは、ミサキの背中を撫でながらのんこを見上げた。
「じゃあ、少しだけ……」
 ママに気付かれたら……という気持ちから、のんこに届くかどうかわからないくらい、小さな声で言う。
 するとのんこは聞こえたらしくて、嬉しそうにケラケラ笑った。
 ちょっとだけなら、きっとバレないよな。
 今ママは買い物に行ってるし、多分、大丈夫。
 ご機嫌がよくなったミサキを見てから、のんこの方を見ると、そこにはもう、のんこの姿はなくなっていた。
 もしかしたら、玄関に回ったのかもしれない。
 ボクはミサキを部屋に待たせて玄関に向かう。
 のんこ、いるかな?
 そう思いながら玄関のドアを少し開けて外を覗くと、外にはのんこが立っていた。
 のんこって、結構でかいんだね、見上げなきゃいけないくらい大きい。
「ハルキぃ、ハルキぃ」
 楽しそうにのんこがボクの名前を呼んでいる。
 ボクはドアを大きく開けて、のんこを家に招き入れた。