これは夢だ!

ー/ー



「あなたは勇者に任命されました」
「そうなの?」
「はい、その通りです」

初めて見る夢だ。
まあ、夢は何が起こってもおかしくないが。

「装備を決めて下さい」

と、女性の声は言った。

俺は適当に答える事にした。
だって夢だもの。
何の問題も無い。

「じゃあ」

と、俺は答え始めた。

「竹の水鉄砲にカラーボール、それとピコピコハンマーで」
「防具はどうなさいますか?」
「レインコートで」
「失礼。何と仰いましたか?」
「レインコート。雨合羽。雨を防ぐから防具だろう?」
「色はどうしますか?」
「赤で。面倒な事聞くなよ」
「かしこまりました。では最後に、特殊スキルはどうなさいますか?」

なんか妙に細かい。
夢ってもっと大雑把ではなかったか?
まあいい。

「水鉄砲の水を無限に出来るスキルで」
「確定で宜しいですか?今なら変更できますが」
「いいからいいから」

何でこんなに細かいのだろう。

「かしこまりました。少しお待ち下さい」

数秒の沈黙。

ところで俺はどうやら真っ白な空間の中に浮かんでいるようだ。
奇妙だが、夢だからこれも一興か。
しかしそれにしてもこんなに意識がはっきりしている夢は見たことがない。
起きたら忘れないうちに、ブログに書き留めておこう。

またあの女性の声が喋った。

「では、転生手続きが完了しました。幸運を」

何が幸運だ、と思ったその瞬間、俺の周囲がまるでフェードアウトするように暗闇に包まれ、長い長い数秒後、気が付くと俺は岩場の上に立っていた・・・赤いレインコートを身に付け、右手に水鉄砲、左手にピコピコハンマー、腰にカラーボールを二、三個くくりつけているという、まことに奇っ怪な姿で。

そして目の前には、こちらに敵意剥き出しの巨大で強そうなドラゴンが身構えていた。

その時俺は、とても重大な事に気が付いた。

俺は確か、帰宅中に包丁を持った通り魔に襲われ、腹に衝撃と痛みを覚えると共に意識を失った。

つまりこれは・・・

ドラゴンが喉の奥で紅蓮の炎をチャージングし始めた。

何て事だ。

これは現実だ。

いや、このような現実があろうはずがない。
これは夢だ!夢だ夢だ夢だ!夢に違いなーい!

いや真剣に。




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「あなたは勇者に任命されました」
「そうなの?」
「はい、その通りです」
初めて見る夢だ。
まあ、夢は何が起こってもおかしくないが。
「装備を決めて下さい」
と、女性の声は言った。
俺は適当に答える事にした。
だって夢だもの。
何の問題も無い。
「じゃあ」
と、俺は答え始めた。
「竹の水鉄砲にカラーボール、それとピコピコハンマーで」
「防具はどうなさいますか?」
「レインコートで」
「失礼。何と仰いましたか?」
「レインコート。雨合羽。雨を防ぐから防具だろう?」
「色はどうしますか?」
「赤で。面倒な事聞くなよ」
「かしこまりました。では最後に、特殊スキルはどうなさいますか?」
なんか妙に細かい。
夢ってもっと大雑把ではなかったか?
まあいい。
「水鉄砲の水を無限に出来るスキルで」
「確定で宜しいですか?今なら変更できますが」
「いいからいいから」
何でこんなに細かいのだろう。
「かしこまりました。少しお待ち下さい」
数秒の沈黙。
ところで俺はどうやら真っ白な空間の中に浮かんでいるようだ。
奇妙だが、夢だからこれも一興か。
しかしそれにしてもこんなに意識がはっきりしている夢は見たことがない。
起きたら忘れないうちに、ブログに書き留めておこう。
またあの女性の声が喋った。
「では、転生手続きが完了しました。幸運を」
何が幸運だ、と思ったその瞬間、俺の周囲がまるでフェードアウトするように暗闇に包まれ、長い長い数秒後、気が付くと俺は岩場の上に立っていた・・・赤いレインコートを身に付け、右手に水鉄砲、左手にピコピコハンマー、腰にカラーボールを二、三個くくりつけているという、まことに奇っ怪な姿で。
そして目の前には、こちらに敵意剥き出しの巨大で強そうなドラゴンが身構えていた。
その時俺は、とても重大な事に気が付いた。
俺は確か、帰宅中に包丁を持った通り魔に襲われ、腹に衝撃と痛みを覚えると共に意識を失った。
つまりこれは・・・
ドラゴンが喉の奥で紅蓮の炎をチャージングし始めた。
何て事だ。
これは現実だ。
いや、このような現実があろうはずがない。
これは夢だ!夢だ夢だ夢だ!夢に違いなーい!
いや真剣に。