ウ、眩シ…
目を開けると、神々しい白い光がこれでもどうかと言わんばかりに飛び込んできて、危うく目をやられそうになる。ようやく慣れてきた目を細く開けて観察すると、四方八方際限なく広がる白い光で、目の前に机だけがある。よく見ると、白いヒゲモジャのお爺さんが座って何やら資料をペラペラ見ている。
「あの、ここは…」
「ふむ、名前は朱雀一平というのか。」
「ア…は、はい。」
朱雀一平は紛れもなく俺の名前だ。なんでこんな白ヒゲおじが知ってるんだ?…もしかして、俺は面接試験で寝てしまっていたのか!?いや、別に転職できるんならもっと早くからしてるしなあ…そもそもここ現実世界に見えないしなあ…夢か?
「あの、ここは…」
「へえ、死因は女性を庇って刺されて死亡ねえ…」
「はあ…」
このおじさんどんだけ俺の話無視すんねん。ちょっと面接官にしてもムカつく部類だなぁ…、夢にまでこんなおじさん出てこなくてもいいのに…って、え!?
「俺死んだんですか!?」
「そうだよ。」
俺の叫び声に近い驚愕の声に、初めて白ヒゲおじは応える。さも当然といった声で…
い〜や、待て待て待て待て。たしかに、たしかに俺がある女性を不審者から護った記憶があるけど…まさか、あれで俺刺されたのか!?まじかよ…俺の理想の老後ライフが…
「アチャ〜、しかも女性は助かってないなぁ…」
ヒゲおじの言葉に俺は思わず顔を両手で覆う。
終わってる…俺の犠牲は無駄だったのかよ…ホントに終わってる…せめて助かって欲しかった…
俺が絶望に浸っている間もそのヒゲおじは何やらブツブツ呟き続ける。
「友人は生涯で2人、恋人は0、お、告白は1回って、ああドッキリでされたやつだけか…まあ、もちろん童貞か。」
なんか心臓にグサグサ刺さることばっかり言われてる気がするんだけど、気の所為かな?俺、もう1回ここで死ぬのかな?
「おお!凄いスキルを持っとるの!」
パラリと資料をめくったヒゲおじがさっきまでとは一変、興奮した声で言う。
お、俺にも何か卓越したものがあったのか!
俺もヒゲおじにつられて興奮しながら、
「なんですか!?」
と聞くと、ヒゲおじはうんうんと頷きながら、
「社畜レベルⅩじゃ!」
「おお〜っと?」
ん?全くもって喜べるものじゃなくね?むしろ悲観すべきことなんじゃないの?え、俺が間違ってるのか?
「いや〜、最近《《セカイ》》中で社畜に耐えられる人材が不足しとるんじゃよ…なんかワークライフバランス?とかいうやつのせいで。そのせいで全く発展しないセカイが多すぎるんじゃよ。」
「はあ。」
「しかし、お主の社畜レベルⅩはどんな辛い仕事にも耐え、馬車馬のように働くことができる、神にとってはUR的存在なのじゃよ。いや〜儂にこんな人材が回ってくるなんてラッキーじゃの!」
「道理で月100時間を超える残業に休日出勤が当たり前のブラック企業で過労とか心身疲労による自殺で死ななかったわけだ…」
…なんにも嬉しくない。別に残業とか休日出勤なんてやりたくてやってたんじゃないし。ただ老後ののんびり生活に備えてただけだし…まあ全部サービス残業だったけどな!ってかサラッとコイツ自分のこと神って言ったな。今更驚かんけど。
「まあ何にしろ、お主は死んでしまったわけじゃから、転生して貰うわけじゃが、それについては…分かるじゃろ?」
ああ、分かってる。何度も小説で読んだ憧れのアレだろ?転生した俺は、田舎でスローライフを楽しみます!的な…
「転生して、社畜として働いてもらう!」
▼朱雀一平は目の前が真っ暗になった。
◯豆知識
次から豆知識をここに書いておきます。是非読んでね!