突如襲来したカラスの群れ、のりこ探検隊に動揺が走る! とにかく、獲物を死守せねばならない!
「......っ!!」
のりこ隊長は牽制とばかりに睨むが、彼らが退く様子はない。むしろ、嘲笑っているようにさえ見える。
「全員! 退避!!」
差し迫った場面、のりこ隊長は苦渋の決断をした。隊員達は獲物から撤退するが、のりこ隊長だけはその場を退かなかった。
「隊長、逃げて下さい!!」
りょうた隊員の呼びかけるが、のりこ隊長は応じない。彼女は、なおも彼らを鋭い眼光で睨む。
「これは、私達の冒険で見つけた宝物なの! 賊に盗らせやしないわ!!」
どうやら、のりこ隊長はカラス達と刺し違えるつもりだ。刻一刻と、彼女に危機が迫る!!
「隊長ーっ!!」
りょうた隊員の叫びがこだまする。のりこ隊長は覚悟を決した……!
「ピヤーッ!!!」
その矢先、突如として雄叫びとともに天空から舞い降りた影!! 果たして、彼こそがハナレドンなのか!?
「はっ......!!」
のりこ隊長は思わず息を呑む。そこに現れたのは、一羽のタカだった。
「あれは......いったいどういう事!?」
りょうた隊員をはじめ、一同は立ちすくんでしまう。なんと、タカはのりこ隊長を守るかのように、カラスの集団の行く手を阻んだのだ!
彼のただならぬ殺気に、カラスの集団は歩みを止める。彼らは、タカから発する覇気を感じていたのだ。
「何これ……意識を保つのがやっとだわ!!」
のりこ隊長は、その計り知れない重圧を間近で感じている。正直、当人たちはたまったものではない。
だが、カラス達も手をこまねいているわけではなかった。集団の中から、ひと際体格の良いカラスが一歩前に出た。
さしずめ、カラスの頭領なのだろう。彼もまた、重厚な覇気を帯びていた。
「......!!」
のりこ隊長は、両者の重なる覇気に意識を保つのが精一杯だ。ここまでの殺気、立ち会うことすら憚れる。
両者はしばらく睨み合い、微動だにしない。だが、突如静寂は打ち破られた!!
「......クシュン!!」
ケン隊員が不意にくしゃみをした。それを合図にタカが空へと舞い上がる! カラスも逃がさぬ! とばかりに彼を追う!
両者は飛び交い、激しい空中戦を繰り広げた。あまりの衝突の激しさに、両者の羽根が宙を舞っている!
「負けるな! ハヤテ!!」
のりこ隊長は、渾身の思いでタカを鼓舞! ついでに彼をハヤテと名付ける!!
「頑張れ! ハヤテ!!」
隊員達もこれに続く! のりこ探検隊の応援に、ハヤテの飛行は勢いを増していく!!
やがて彼らは空中でもつれ合い......ついに、戦いも佳境へ向かう!!
そんな中、一瞬の隙を突いたハヤテはカラスを羽交い絞め!! これにはカラスも身動きが取れない!!
カラスは必死に抵抗するが、ハヤテの鉤爪が緩むことはない。カラスの自由を奪ったハヤテは、驚きの一手に出る!
「......っ!?」
のりこ探検隊は、眼前の光景に驚愕。なんと、ハヤテはカラスを掴んだまま急降下し始めたのだ!!
カラスは必死にもがくが、もはや無意味だった。両者に残された道、それは弾丸の如く大地へ堕ちていくことだ。
「ドンッ!!」
大地の怒号とともに、両雄は墜落。 彼らは、どうなって一体しまったのか!?
「......???」
だが、眼前の光景にのりこ隊長は困惑。そこにいたのは、脳天を打ち付けて気絶しているカラスだけ。
「......あっ!?」
のりこ隊長の頭上から、羽ばたきが聞こえる。そこにはハヤテの姿があった!
信じられないが、ハヤテはすれすれでカラスを地面へ打ち付け、その反動によって急上昇という荒業をやってのけた。その様子は、アクロバットという表現がふさわしいだろうか。
「ガァーッ! ガァーッ!!」
恐れおののき、カラスの集団は撤退していった。彼らにとっては、それが賢明な判断に違いない。
「やったぁ!!」
のりこ隊長が歓喜、探検隊は安堵感する。ハヤテは上空から踵を返し、のりこ隊長の頭に留まった。
のりこ隊長がハヤテを優しく撫でる。彼は、のりこ隊長の頭がえらく気に入った様子。
「私達を守ってくれたのね。ありがとう!」
のりこ隊長は、仲間の印であるジャーキーをハヤテに差し出す。彼は、ジャーキーをこの上なく気に入ったようだ。
「さて、本日はこれにて撤収!」
ハナレドン、その正体に行き着くことは叶わなかった。だが、この出来事がのりこ探検隊の絆を強くしたことは言うまでもない。