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第9話 結成! のりこ探検隊

ー/ー



「りょうた。この島にいるUMAの噂、聞いた?」
 勘違い少女のりこは、何やら都市伝説のような怪しい噂を仕入れたようだ。だが、りょうたはそれを話半分に聞いている。
「その名もハナレドン!!」
 のりこは身振り手振りで必死に説明するが、りょうたは興味を示さない。おそらく、これが彼女の平常運転なのだろう。
「おっ、メガロドンきた!」
 りょうたは、例の如くE・Bをプレイしている。彼にとっては、のりこの怪しい都市伝説より面白い。
「ちょっと、聞いてるの!?」
 その態度にのりこは噛みつくが、りょうたはお構いなしの様子。ある意味で、オオカミ少年のような扱いを受けるのりこ。
「むむむ......」
 その態度にもめげず、のりこはりょうたの感心を惹きたいようだ。その精神は、今時のライブ配信者に近いものがある。
「りょうた、これが証拠よ!」
 苦肉の策で、のりこは手書きのイラストを提示する。稚拙でつたない絵のタッチから、何とも言えない哀愁が漂う。
「ふーん。それで、そのハナレドンはどこにいるの?」
 りょうたは姉の必死さに、取り合えず付き合うことにした。気分を良くしたのりこは、途端に饒舌となる。
「地図もあるわ。きっとこの辺りにいると思うの!」
 これまた、のりこが必死に描いたであろう地図。それはあまりにも大雑把で、矢印とともにここ(・・)! と記されているあたり、のりこの切実な思いが伝わる。
「なるほど、ここにハナレドンが棲んでいるわけだね?」
 稚拙な絵だったものの、その概要を読み取ってしまうりょうたはなかなか出来た弟。理解を得られたのりこは、まさに感無量といったところ。
「ハナレドンは空を飛ぶことができるの。急降下して獲物を襲う、とても獰猛な生物なの!!」
 のりこは、舌先三寸で臨場感のある解説を見せる。もちろん、この話はあくまで彼女の妄想。
「何だか、ハナレドンは凶暴そうだなぁ……」
 あまりにも鬼気迫るのりこの語りに、りょうたは思わず耳を傾けてしまう。のりこ、ストーリーテラーの才能あり……か?
「とにかく、私達はこのハナレドンを探索すべきと思うの!!」
 のりこの根拠ない使命感。全ては空想の話だが、ここまで騙り尽くすのりこの才能は光るものがある。
「うん、これは絶対に見つけなくちゃね!!」
 のりこの術中に嵌ってしまったりょうた。果たして、ハナレドンは実在するのだろうか?
「探検の決行は明日! 各自、きちんと休養を取るように!!」
 何故か、のりこが勝手に話を仕切りだした。各自と言っても、たった二人だが……?
「隊長! 了解しました!!」
 りょうたは即座に敬礼。どうやら、のりこを隊長として探検隊がここに結成されたようだ。
ーー
「1! 2! ......よし、全員揃っているわね!」
 早朝から、のりこ隊長による点呼が行われた。たった二人の精鋭部隊だが、のりこ探検隊の出陣式は無事執行された。
「二人とも、何をしているんだ?」
 リビングでコーヒーブレイクをしている良行には、奇妙な光景として映っていることだろう。傍から見れば、ごっこ遊びの域を出ない。
「決まってるじゃない! のりこ探検隊の点呼よ!」
 のりこは当然のように言い切る。当人は至って真面目。
「探検隊かぁ。まぁ、せいぜい頑張れよ」
 良行は話半分に返事をした。今の彼は、ペルー豆の鼻を突き抜けるような香りに夢中だ。
「おとうさん、のりこ探検隊は今からUMAとの遭遇を果たすのよ!」
 のりこは意気込みを語るが、良行は、彼女の話など上の空である様子。焼きとうもろこしを思わせる薫風が、場違いな雰囲気を醸し出しているのは何かの皮肉だろうか。
「のりこ探検隊、出発よ!」
 のりこが号令により探検隊は出発。りょうたは、それに合わせて勝鬨を上げた。
「......おっと、ジャーキーを忘れるところだったわ。ハナレドンは、もしかしたら餌付けできるかもしれないから必携ね!」
 のりこの思うハナレドンは、どうやら
肉食のようだ。その矢先、玄関では当然のようにケンが座していた。
「あら、ケンちゃんは入隊希望かしら?」
 彼が源家から脱走してきたことは、もはや言うまでもない。そんなケンを、のりこはすかさず勧誘する。
「ワン!」
 のりこの問いかけに、是と言わんばかりにケンは吠えた。人外だが、のりこ探検隊に新たな仲間が入隊した。
「ケン、隊長は私だからね!」
 新人に対し、のりこは立場を諭す。ケンは、のりこ探検隊の入隊に喜びを隠せないようだ。
「これは入隊の印! 受け取ってね」
 のりこは第一のジャーキーをケンへ与える。それはさながら、黍団子を貰っているにも等しい。
 新たな仲間を加え、のりこ探検隊の旅は次回へ続く......続くったら続く。


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次のエピソードへ進む 第10話 のりこ探検隊の冒険!


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「りょうた。この島にいるUMAの噂、聞いた?」 勘違い少女のりこは、何やら都市伝説のような怪しい噂を仕入れたようだ。だが、りょうたはそれを話半分に聞いている。
「その名もハナレドン!!」
 のりこは身振り手振りで必死に説明するが、りょうたは興味を示さない。おそらく、これが彼女の平常運転なのだろう。
「おっ、メガロドンきた!」
 りょうたは、例の如くE・Bをプレイしている。彼にとっては、のりこの怪しい都市伝説より面白い。
「ちょっと、聞いてるの!?」
 その態度にのりこは噛みつくが、りょうたはお構いなしの様子。ある意味で、オオカミ少年のような扱いを受けるのりこ。
「むむむ......」
 その態度にもめげず、のりこはりょうたの感心を惹きたいようだ。その精神は、今時のライブ配信者に近いものがある。
「りょうた、これが証拠よ!」
 苦肉の策で、のりこは手書きのイラストを提示する。稚拙でつたない絵のタッチから、何とも言えない哀愁が漂う。
「ふーん。それで、そのハナレドンはどこにいるの?」
 りょうたは姉の必死さに、取り合えず付き合うことにした。気分を良くしたのりこは、途端に饒舌となる。
「地図もあるわ。きっとこの辺りにいると思うの!」
 これまた、のりこが必死に描いたであろう地図。それはあまりにも大雑把で、矢印とともに|ここ《・・》! と記されているあたり、のりこの切実な思いが伝わる。
「なるほど、ここにハナレドンが棲んでいるわけだね?」
 稚拙な絵だったものの、その概要を読み取ってしまうりょうたはなかなか出来た弟。理解を得られたのりこは、まさに感無量といったところ。
「ハナレドンは空を飛ぶことができるの。急降下して獲物を襲う、とても獰猛な生物なの!!」
 のりこは、舌先三寸で臨場感のある解説を見せる。もちろん、この話はあくまで彼女の妄想。
「何だか、ハナレドンは凶暴そうだなぁ……」
 あまりにも鬼気迫るのりこの語りに、りょうたは思わず耳を傾けてしまう。のりこ、ストーリーテラーの才能あり……か?
「とにかく、私達はこのハナレドンを探索すべきと思うの!!」
 のりこの根拠ない使命感。全ては空想の話だが、ここまで騙り尽くすのりこの才能は光るものがある。
「うん、これは絶対に見つけなくちゃね!!」
 のりこの術中に嵌ってしまったりょうた。果たして、ハナレドンは実在するのだろうか?
「探検の決行は明日! 各自、きちんと休養を取るように!!」
 何故か、のりこが勝手に話を仕切りだした。各自と言っても、たった二人だが……?
「隊長! 了解しました!!」
 りょうたは即座に敬礼。どうやら、のりこを隊長として探検隊がここに結成されたようだ。
ーー
「1! 2! ......よし、全員揃っているわね!」
 早朝から、のりこ隊長による点呼が行われた。たった二人の精鋭部隊だが、のりこ探検隊の出陣式は無事執行された。
「二人とも、何をしているんだ?」
 リビングでコーヒーブレイクをしている良行には、奇妙な光景として映っていることだろう。傍から見れば、ごっこ遊びの域を出ない。
「決まってるじゃない! のりこ探検隊の点呼よ!」
 のりこは当然のように言い切る。当人は至って真面目。
「探検隊かぁ。まぁ、せいぜい頑張れよ」
 良行は話半分に返事をした。今の彼は、ペルー豆の鼻を突き抜けるような香りに夢中だ。
「おとうさん、のりこ探検隊は今からUMAとの遭遇を果たすのよ!」
 のりこは意気込みを語るが、良行は、彼女の話など上の空である様子。焼きとうもろこしを思わせる薫風が、場違いな雰囲気を醸し出しているのは何かの皮肉だろうか。
「のりこ探検隊、出発よ!」
 のりこが号令により探検隊は出発。りょうたは、それに合わせて勝鬨を上げた。
「......おっと、ジャーキーを忘れるところだったわ。ハナレドンは、もしかしたら餌付けできるかもしれないから必携ね!」
 のりこの思うハナレドンは、どうやら
肉食のようだ。その矢先、玄関では当然のようにケンが座していた。
「あら、ケンちゃんは入隊希望かしら?」
 彼が源家から脱走してきたことは、もはや言うまでもない。そんなケンを、のりこはすかさず勧誘する。
「ワン!」
 のりこの問いかけに、是と言わんばかりにケンは吠えた。人外だが、のりこ探検隊に新たな仲間が入隊した。
「ケン、隊長は私だからね!」
 新人に対し、のりこは立場を諭す。ケンは、のりこ探検隊の入隊に喜びを隠せないようだ。
「これは入隊の印! 受け取ってね」
 のりこは第一のジャーキーをケンへ与える。それはさながら、黍団子を貰っているにも等しい。
 新たな仲間を加え、のりこ探検隊の旅は次回へ続く......続くったら続く。